擦鳴+自来也

 
面倒な事に、自来也に修行を見てもらう事になった。
蛭子の奴よりかはマシだと思ったが、中々気は乗らない。

三忍と言われるうちの1人。
蝦蟇使いの自来也。

其の自来也が、五代目火影を蹴り名指しで言った人物が綱手だった。
医療忍者のスペシャリスト蛞蝓使いの綱手。
其の綱手を探す旅に、修行目的で俺も同行。

はっきり言って面倒くさい。

祭りで賑わう町で、自来也は用事があるからと俺の財布を持って足早に立ち去った。

「…其れにどうすれと」

取り残された俺。
渡された3百両。

「…ま、見てみるか」

たこ焼き食べてみたり、射的してみたり。

「…」

たこ焼きは美味しかった。
だけど、全体の9割をつまらないが占めていた。

「戻るか」

子供らしく、イカ焼きを買って自来也の元に向かったら、其奴は両手に女侍らせ酒を飲んでいた。

ーイラッ

「おお…鳴門!もう、祭りは堪能したかぁのォ?」

此の爺…!
我慢だ、俺。負けるな、俺。

俺から取り上げた蝦蟇ちゃん財布もぷっくりと可愛い容姿が、何時の間にか干からびた状態へと姿を変えていた。

ーイラッ

「忍の三禁もっかい自分で言ってみろってばよォ!!いきなりトリプルで破ってんじゃねぇぞ!コラァ!!!
俺ってば必死で貯めたお金使い込みやがってぇー!こんな事ならさっさと修行してくれってばよ!!」

イカ焼きを持った侭、ポカポカと殴ってみた。
すると、イカ焼きがスポンと抜け…

ーベチャ…

「くォラアアア!何してくれとんじゃ餓鬼ぃ!」

後ろにいた男の白いコートにシミが付いていた。
兄貴の10万両するブランド服がどうたらこうたらと難癖つけてくる男。
元岩隠れの中忍で、伝説の闇忍??

え、中忍如きで其れ言っちゃう?

「あ?伝説の………何だって?」

「どうやら痛い目に遭いてーよーだなぁ!!」

「鳴門」

サッと自来也が俺の前に立つ。
そして、自来也は右手を持ち上げる。

「丁度いい…今からお前に教える術を見せてやる。よく、見てろのォ」

掌の上に集まるチャクラ、高速で不規則回転、圧縮。
うーん、中々興味深い。

自来也は其れを男の腹へとお見舞いしてやると、男は回転しながら勢いよく吹き飛んだ。

「鳴門!付いてこいのォ!修行だ!」





移動してきたのは、人気のない少し開けた場所だった。

水風船を渡された俺に、自来也はチャクラの流れ云々を言ってみせた。

一度見たら忘れない。
あの高速回転は一定方向ではなかった。
円の中で色んな方向からの回転を圧縮し、留めていた。

「なぁエロ仙人」

「ん?」

「面倒くさいから、」

「…鳴門?」

「バラすわ」

「…は?」

俺は、掌の上で、自来也がして見せた術をして見せた。
チャクラを圧縮したのち、超高速回転で、オマケに風属性を加えて、手裏剣のように突起物が出た。

「お、出来た」

「Σなぁにぃいいい!?
(何っつー量のチャクラ練り込んでおるんだ鳴門の奴っ。
しかも、此のチャクラ…九尾のモノではないのォ…鳴門自身のチャクラだと言うのか?
こんな量を…いや、其れ以前にワシは1回しか此の術を見せとらんぞ!?
見ただけで、出来たのか…?しかも、アレンジまで加えて…何つー餓鬼だ…!!)」

威力はどんなもんかな、と辺りを見渡してみる。
丁度いい対象物が目に入ってきた。

「よし、投げてみるか」

「ちょ、鳴門!何をする気だ!」

「威力見てみるだけ」

そして、力任せに其れを放り投げた。

ーシュンッ

一直線に向かった先には、大きな岩山。

ーブワッ

ーキュイィンっ!!

俺の投げた術が岩山に当たる瞬間、圧縮した力が本来の大きさに戻りチャクラの流れが、岩山を砕き粉々に。

大きな岩山が、跡形もなく、綺麗に消えてなくなった。

「うん、使えるな此れ」

「…」

「色んな応用出来そうだなぁ」

「鳴門、お前…」

「…俺は其処らへんにいる餓鬼とは全然違うんだよ。ま、今回は修行が面倒くさかったって理由だったけどエロ仙人には何れ言うつもりではいた」

蝦蟇の口寄せも使えるようにしたかったし。

「…そうか。他に知ってる者は…」

「今の木の葉には存在しないな」

「(三代目は知ってて鳴門の存在を黙っておったか。自分の孫のように愛情を注いでおったしのォ…)」

「今の術、名前何てーの?」

「螺旋丸じゃ」

「螺旋丸、ねぇ」

「四代目火影が、残していった術だ」

「え、親父が?」

「…知っておったのか…?」

「九尾封印する器を他人の子供にすると思う?
自分の子供だっからこそ、出来た術だと俺は思うけど。
あー、言っておくけど俺は一切親父を憎んだりなんかした事ないから。
九尾がいたから今の俺がいる訳だし、実際の所は逆に感謝してるよ。
九尾とも仲良くしてるし」

「そうか、恨んではいないのか…ふむふむ、九尾とも仲良く…な、仲良く!?」

「何驚いてんの」

「普通驚くだろうが!九尾だぞ!?」





其れから俺は螺旋丸の応用出来そうな術の開発をしつつ、自来也は綱手の行方を探していた。

「短冊街?」

「嗚呼、其処に綱手がいるらしい」

自来也が言うには綱手は10代の頃から博打が大好きだとか。
付き人は静音と言って、こちらも医療忍者だとか。
色々と探し回る俺たち。
有力な情報も出てこない侭、辺りは夕日に染まっていた。

「飯でも食うかの」

「居酒屋か」

なら、そう思って俺は変化した。
20代其処ら。暗部用の容姿に。

此れで酒飲める。

「器用だのォ」

そして、居酒屋に入った瞬間

「ん!」

「!」

「綱手!」

案外、あっさりと探し人が見つかった。
見た目は20代半ば〜30くらいかな。

此の女が伝説の三忍、蛞蝓使いの綱手姫か。
其れにしても、自来也と同い年なのに随分若作りしてんのな。

「率直に言う。綱手…里からお前に五代目火影就任の要請がでた」

「…!」
「!」

「三代目の事は?」

「(三代目…やはり本当に…)」

「大蛇丸がやったんでしょ…聞いたわ奴から直接ね」

大蛇丸…どっかで聞いた名前だな…。

「あー、あの薄気味悪い奴か」

「…お前知っとるのか?」

「中忍試験ん時に、爺と其奴の戦いを見てた。
あの頑固爺、俺がどんなに説得したって聞く耳持たなかったんだ。
死ぬのは目に見えてるってのに、其れでもあの爺…俺に最後を見届けてくれって」

あんまりしんみりした話は嫌いだ。

思い出してしまうから…。

「三代目、が…」

「情けねぇ、たかが大蛇丸如きに殺られるなんてな」

「お前のォ…」

「随分自身がある餓鬼だね」

「まぁの…此奴は強いぞ。ワシなんか軽く悪しらわれるだろ」

「(あの自来也さまでも!?)」

俺の事はどうでもいい。
今は綱手の五代目火影就任話たろ。

綱手に其の話の続きを振ると、五代目火影就任を断った。

「……あの四代目ですらすぐ死んだ。
里の為に命までかけて…
簡単に掛け捨てするのは、バカのする事だ」

「其れは違う」

「(鳴門?)」

「「??」」

「四代目が死んだ理由は、四代目にしか分からない。其の時九尾が襲撃した事とは別に、四代目なら九尾を違う所へ封印出来た筈だ。天才と言われるなら其れ相応の対処だって可能だっただろ。だが、四代目は其れをしなかった。
何故か、其処に渦巻 櫛奈と子供の鳴門がいたからだろ。
お産したばかりの妻と生まれたばかりの子供。
其の2人を庇いながら戦うのは至難の技だ。
勝手な思い込みは控えておいた方がいいぞ、婆」

「…!火影なんてクソよ、馬鹿以外やりゃしないわ」

「つ、綱手さまっ」

「俺は何れ火影の名をもらうと決めてる。
其の俺の前で爺や四代目を馬鹿にする奴は、女だからって容赦しねぇ」

「落ち着け」

五代目火影就任は先に俺に決まっていた。
あの爺の計らいだ。
だけど、相談役たちの反対があった。
まだ俺が火影になるには、少し早いと。
下忍の侭、里の反応からしてまだ無理だろうとな。

だから俺は諦めてやったんだ。
自分なりに納得して、少しずつ里の反応みながらって。

「どうして火影の名で其処まで噛みつく…」

「三代目に託された」

「!?」

「お前が影になれば、里は前を向いて平和な日々が続くだろう。
戦争も何も、お前がいればおきなくなる」

「猿飛先生が、そう言ったの、かい…?」

「お前が火影になるのはワシの夢だから、そう言われたらやるしかないだろ…」

其れを言った時の綱手の顔。
目を見開いて、驚きと哀愁漂わせて固まった。

「三代目は俺の大切な人だ。死んだ今となっても、其れは変わらない。
俺は三代目と四代目以外火影として誰1人として認めちゃいない。
だけど、三代目が残した木の葉を繋ぐ為なら何だってするさ」

「…表へ出な、餓鬼」

「綱手…」



外に出ると、綱手は戦闘態勢に入っていた。

「俺が勝ったら、五代目火影就任、受けるよな?」

「…お前が勝ったらな!」

綱手の五代目はもう確実。

だって…

「行くよ!」

俺は負けないから。



end…

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