擦鳴 バレ

 
此の所、暗部では人手が足りない。
其の所為で此の俺が!だ。
やりたくもないAランクやAA、AAAランクの任務をやらなきゃならない状況に陥っている。

其の理由をあげると、爺曰わく…

「お主が殺生するからじゃろう!」

だそうだ。

俺が殺生するからだと…?
ふざけんじゃねぇ。

「だからなるべくしないようにしてやってんだろ?」

「何がなるべく、じゃ!
今月に入ってからもう30人はくだらんぞ!!4日で30人じゃぞ!?」

たった30人くらいで何言ってんだ。

だからってA〜AAAランクを俺に押し付けんじゃねぇよ。

「だって彼奴らウザい」

「っ…だが鳴門、お主がまた殺生すればする程任務が回ってくるんだぞ?
其れを頭に入れとくんじゃな」

脅しか?

「じゃあ何か?
毎日毎日同じような台詞で弱い奴らが寄ってたかってキャンキャン吠えまくんのを、俺は苛々してるってのに我慢してろって?」

「そうじゃ。お主程の腕と頭があれば他のやり方もあるじゃろ?
命令でもあるからの、もし1人でも殺生すれば、今月の任務でSランクは出さん。
分かったな?」

クソ爺…!

「テメェー、何時かぶっ殺してやるからな…!」

そんなこんなで、また1つ俺のストレスが増えてしまった。

「あ、言っておくがキレた時は知らねーからな」

今までのバカのお陰で多少なりとストレスも発散出来てたんだ。

爆発しちまっても本当に知らねーからな。






















あれから、爺の命令通り殺生を我慢してやってる。
記憶操作やトラップや結界なんかで。

苛々MAX状態な俺。

「鳴門?どうしたの?」

「何が?」

「何か雰囲気が違う気がするのよ…嫌な事でもあったの?」

女のカンってヤツか?

「何にもないってばよ…?」

スゲーな。
気ぃ抜けてたかも…。

「そう…?あんまり無理するんじゃないわよ?」

「…桜ちゃんが、優しい」

「失礼ね!何時も優しくないみたいな言い方して!!」

俺は今、ドベで意外性No.1の渦巻 鳴門なんだ。
集中しろ、俺。
下忍任務で苛々を出すんじゃない。

そう頭の中で繰り返し、言い聞かせる。

「…(大丈夫だ、頑張っ)」

「やぁ諸君、お待たせー」

案山子の脳天気な声に少しだけイラッとした。←

「案山子先生今日も遅刻ですよ!」

「そーだそ一だ!」

「ごめんね…今日は此処に来…」

「はい嘘!」

何時もの事ながら桜の突っ込みは今日も案山子にダメージを与えていた。

「頼むから最後まで言わせてよ…」

「どうせ嘘なんですから聞くだけ無駄です」

最もな答えだな。





今日の任務は川辺でゴミ拾い。

「…つまんねぇーってばよ!」

「文句言わないの」

「でも先生?ゴミ拾いって忍者じゃなくても出来ますよね…」

「皆誰しもやって来てる任務だよ。皆同じレールの上を通ってるの」

他の奴らはそうかも知んねぇ。
だが俺は違う。

生き方も境遇も何もかも、違う。

「ま、中には天才くんもいる訳だけど其の子は特別なレールなんだろうけどね」

「特別?」

会話の途中に感じてしまった。

「Σっ!?」

人の気配を感じた。
数は、8人か…。

囲まれちまってる…。

「…」

どうするか…。
此奴らを巻き込むのは面倒だしな…。

ちょっと抜け出して眠らせとくか。
うん、其れがベストだな。

「案山子先生一」

「何?どーしたの?」

「トイレ行…」

ーサッ

「キャッ!」

「桜?」

「暗部!?」

どうしてこうなるんだよ。
なぁ、待ってられないの?

俺が1人になる瞬間を狙うのが普通じゃねぇ一のか?あ?
しかもさ、同じ木の葉の忍を人質する?

「渦巻 鳴門、今日こそ確実にお前を始末してやる」

「鳴門を、始末…だと…?」

「ウスラトンカチ、何しでかしたんだよっ!」

「何もしてねぇよ、俺は…」

主犯であろう奴は桜の首元にクナイを押し付けている。
そして俺たちを囲う暗部たち。

取り敢えず桜を助けるか。
そう思った俺は、素早く片手で印を組み、分身を作り上げた。
其の分身は草陰に潜ませ、今度は変わり身を応用した術で桜と俺の分身を入れ変えた。

「Σっ!?誰だ!」

ポフンっと音と共に分身は煙となり消えてった。

そして、案山子、桜、佐助の3人を結界の中へと閉じ入める。

「鳴門っ!?何してんのよ!」

「ちょ、何だ此れ!」

「結界…?でも誰が!?」

「皆、ごめんな。少しの間其処で大人しくしててくんねぇかな」

3人に背中を向けた侭、俺はそう言った。

「鳴門!」

「何する気だ!」

「死ぬつもりか!鳴門!」

「大丈夫。俺、死なないから…」

もう我慢の限界だった。
殺気立った俺の目が暗部たちを捉える。

「お兄さんたちさ、今日はちょと度が過ぎてたね…」

「っ、お前は誰だ!」

「今まで殺すのずっと我慢してあげてたのに、残念だよ…」

右手にチャクラ力を作ると、後ろの結界の中にいる案山子が声を上げる。

「其の、刀…!」

「案山子先生…?」

「チャクラが、刀の形をして…そんな…そんな筈がっ…」

案山子が暗部を辞める前、よく案山子と任務が一緒だったんだ。
覚えてても不思議じゃない。

よく此れ使ってたから。

「…蒼翠、さま?」

「「Σなっ!?渦巻 鳴門がっ」」

「「そんなハッタリだ!」」

此奴ら、名前だけは知ってるようだがもう遅いんだよ。

「「蒼翆?」」

「……」

「暗憔部隊長、暗部総取締役兼総隊長。
多分、ううん、きっと此の忍の世界で最も強い人だよ…。
俺は蒼翆さまと一緒に任務した事があるから分かる…あのチャクラの形は、蒼翆さまにしか出来ないんだ」

「そんなに…?」

「肉眼で見える程のチャクラと刀の形に留めるコントロールは、歴代の火影様たちでもきっと無理だ…」

そうだ。
此の俺でさえ難しいと思ったくらい。
そんじょそこらの奴がマネ出来るようなモンじゃねぇ。

「取り敢えずさ、此奴ら片付けるから話は後な」

そう言って俺はゆっくりと主犯であろう暗部に近付いた。
その動きに合わせて暗部たちも、俺との距離を保つようにジリジりと。

「我らの総隊長がお前のような餓鬼な筈がない!」

「総隊長を語り我らを動揺させようとは…
悪あがきもいい所だ!」

「木の葉の為、未来の為!」

「死ね!渦巻 鳴門!!」

8人の内の2人が後ろから刀を振り下ろして来た。
其れを難なく避け、首を跳ねた後其の首を上手くチャクラ刀でキャッチしてみせる。

其の首を軽く真上に投げ、チャクラ刀の先端に突き刺さる。
首の重みでゆっくりと深く刺っていく中片手で印を組めば、ボッと蒼い炎が着火して跡形もなく焼き尽くした。

「っ…」

「1人1人なんてつまらないよ?」

一気においでよ、そうクスクス笑いながら言えば怒りを露にしていた。

「楽に死ねると思うなよ…
お前らはやってはならない事を今日で3回もしたんだからな」

「何を訳の分からない事を言ってる!」

あ、今のちょっとムカついたかも。

「訳の分からない、だと?
なら聞くが、お前らの狙いは誰だ?」

「貴様に決まってるだろ!」

「なら何故関係ない人間がいる時にのこのこと出て来た?ましてや下忍を人質に取るような行動を取った?
こんな奴らを部下に持ってたなんてな…
恥ずかしくて仕方ねぇーよ」

「「Σっ」」

此奴らにとって俺はたかが下忍だろ?
そんな下忍に対して人質とか、マジで有り得ねぇし。

「暗部なら暗部らしくしろ。暗闇に紛れ相手に悟られる事なく確実に息の根を止める」

だろ?と言った後、

ーボトボトボト…

「うわぁっ!」

「腕がっ」

「俺の、足…?」

「暗部たる者相手に悟られるようじゃ失格なんだ。
お前たちみたく知らず知らずの内に、斬られた事も分からないようにすんのが暗部だろ?」

此のチャクラ刀によって切断された腕や足が地面に無数に転がる。

「お前らがやったのは暗部ではなくただの賊のやり方だ」

分かったか?と言うような視線を向ければ、腕がまだ残ってる奴がクナイを無数に投げつけてきた。

「…馬鹿な奴らだな」

印を組むと、其のクナイが空に浮いた侭止まる。
一種の操作系の術だ。
指先からチャクラを出して
目の前に張り巡らせて動きを止めつつ、かかったものを自由自在に操れる。

「どっちが悪あがきだよ」

何かつまんなくなってきたかも…。

カチャン、と音をさせクナイがゆらゆらと向きを変える。

「取り敢えず死ね」

有り得ないスピードで其れは暗部たちめがけ飛んでいく。
そして体中に突き刺さった。

息のない其れ。
素早く印を組む掌の上で蒼い炎が出現し其れを塊が転がる一帯に投げてやれば、草や土の色を変える事なく肉体、骨、血だけを全て焼やし続ける。

何もなかったかの様に元通りに。

背中に突き刺さる程の視線。

クルリと軸を変えて向いてみれば、案の定ジっと見つめる3人。

取り敢えず結界を無くしてやれば、

「…」

「「…」」

沈黙が続ぃた。
其れをぶち破ったのは俺だった。

「…俺が怖いか?」

「怖くないわ」

「寧ろ、魅入ってた…」

「…お前ら…」

拒絶されるかと思った。
実際、アカデミーの頃に何人か拒絶されたし。
記憶操作したから覚えてないだろうけど。

「鳴門、ごめんなさい」

「何で謝る?」

「だって、今までずっと一緒にいたのに気付かなかったから…。
鳴門をちゃんと見てなかった証拠でしょ?」

「悪かった…」

桜も佐助もらしくねぇよ。

そう思えば、何だか笑えて来る。

「お前た…」

「蒼翆さまーっ!」

気持ち悪い声と共にバカは俺に抱き着こうとしているのを、チャクラ刀を作り其の先端をバカの喉元に…。

「近寄るな変態!」

「変態!?…酷いっ!」

「キモいんだよテメーは。一々抱き着こうとするんじゃねー」

「久々に会えたのに!」

「俺はお前に会いたくなかったよ」

「…グスン」

そんな場面をただ見つめる2人。
佐助は少し呆れた様子だったけど。

「鳴門?」

「…」

桜は1人冷静だった。

「鳴門が強いのは、里にとって極秘なの?」

「…嗚呼、そうだ。
此れを知ってるのは里の中でもただ1人」

他に知る人物などいないんだ。

「三代目火影さま…」

「嗚呼」

「こんなに強いのにアカデミーに通ってたのは何で…?」

「任務だ。旧家の子供たちを他国の忍や賊から守るには其れが一番いい方法だったからな。
其れにあのクソ爺が飛び級させてくんねーし」

俺の会話を真剣に聞いてくれていた。
こんなの今まで爺以外なかったから、何だかこそばゆい。

「鳴門、お願いだから桜たちの記憶を消さないでくれない?」

「…どうしてだ?」

「やっと本当の鳴門に出逢えたんだよ?
2人にとってはこっちの状況の方が色々といい環境だと思うんだ。
其れに鳴門も此処では気を張らなくても済むじゃないの?」

「桜たちにいい環境ってどうゆう意味だ」

「いい見本にもなるって事だよ」

見本ね…。

「其の言い方だと、2人の面倒を見ろとも聞こえるんだけど…?」

「駄目かな…?」

きっと水晶玉で見てんだろうな。

「俺は甘くないぞ?其れは案山子が一番理解してるだろ?
俺についてくるなら其れなりの覚悟が必要だって事も。
死んでも知らねぇぞ?」

「私、頑張るから!」

「俺も、覚悟決めた」

ちょっと脅し足りなかったか…。
まぁでも、仕方ないか。

「分かった。
取り敢えず面倒は見てやる。
チャクラの増幅と術、実践も兼ねて俺の下で働いてもらう。
其れで期待出来ないと俺が思った時点で終了だ、いいな?」

記憶も消して何時もの日常に帰す。
こんなんでいいだろ。

「案山子、お前は暗部復帰な。
今人手が足りないからただ働きしろ」

「Σえ!?」









任務が終わり、報告書を出した後。

「珍しい事もあるもんじゃな」

「何がだよ」

「桜たちの事じゃよ、ワシはてっきり記憶を消すかと思っとったんだがの」

「此れはごっこでも何でもねー。
今まで誰かを育てた事なかったからな、いい機会だと思っただけだ」

「うむ、鳴門の思うようにしたらよい。
ワシは何も言わぬ」



胸の辺りが、まだこそばゆい。

此れが何なのか

俺はまだ理解する事が出来なかった。

end...




久しぶりにアンチじゃないバレネタw
スランプ続きの中仕上げたもんだから見れたもんじゃねぇ…(ノД`)

何時にも増して文才なくてごめんなさい…。

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