狼の脅威

 
「俺、強いぜ?」

そう言ってほんの少し殺気を送ってみた。

ーゾクッ…!

「っ…(な、なんだ今の!?)」

「どう殺されたい?」

「何…!」

余裕綽々とかましていた此の女の鼻をへし折ってやりたかった。

だから、此の女には肉体にも精神にもダメージを負わせる必要がある。

まず手始めに。
パチンと指を慣らし、出現したのは1つの手裏剣。

「お、何だありゃ?」

「見た事ねぇ武器だな〜♪」

「あれで戦えるのかな?」

此れは云わば前座だから。

「そんな物で私を止められるとでも…!」

「おいおい、いいのか?そんな事言って…?」

ニヤリと笑い、手裏剣を投げつけてやった。
其れは物凄いスピードで女の頬を掠める。

「っ…!(読み違えた!?)」

「相手の力量を測り違えちゃ、死ぬよ?」

「………(有り得ない!)」

女の頬を掠めた其れはワザと。
一気に殺すなんて事はしない。
此の女に屈辱を与え続けるのが目的だから。

「(速い!!)」

自分がどれだけ過信してきたか。
自分より格上と戦い、其れを嫌って程思い知らせてやる。
此れ以上ない屈辱をね。

「ほらほら、避けないと刺さっちゃうよー?」

此奴の動きは中々なもんだとは思う。
暗部並み、って所か。
其れでも弱いのには変わりないけど。

「(七つの大罪のリストに入ってないたかが妖精族に…!)」

攻撃の手は弛めず、女に屈辱を与える。
頬、腕、腹、太腿、脹ら脛などに掠った傷からは少量の血液が垂れていた。

「彼奴、楽しそうだな♪」

「ナルトって強いのな!」

「キングと戦い方が似てるね?妖精族だからかな?」

女もヤられっぱなしは性に合わないんだろう。
苦し紛れでの反撃を俺に向けて爆炎を撃ち込んできた。

「無駄だってのが分からないみたいだね」

俺の体を結界で囲う。
そして、大きな爆音をさせ、辺りには煙りが立ち込める。

「Σなっ…!?無傷………」

煙りの中から現れた俺を見て、女は驚きに声が震えていた。

息は上がり、相当の疲労が溜まったとみられる。
でもまだ殺さない。

「ダメージを与えられるとでも思ったの?今ので?
だから言っただろ。あまり自分を過信するなって」

ーパチン…

指を鳴らすと、手裏剣たちは煙と共に消えてなくなった。

「頑張って避けてよね?」

風遁、火遁、土遁、水遁、木遁、雷遁とあらゆる術で女に少しずつダメージを負わせていく。
女は俺の術から逃げ回るしか術がない。

「すぐ死ぬなんて事はしないでよ?」

「Σナルト!」

「…アンタ…」

突然声がしたと思い、声のした方を見てみれば、其処には唯一俺の事を知ってるであろう七つの大罪の1人、キングがいた。

「アンタには色々聞きたい事があるからちょっと待っててくれるかな?
先に此奴、始末するから」

キングから俺の事を聞かないとな。
其の後にでも、ゆっくりと聞けばいい。
バンとの仲ものんか解消されたっぽいし。

「余所見してていいんですか!!!」

性懲りもなくまた爆炎での攻撃を仕掛けてくる女。

んー、もうなんか面白くなくなってきたなぁ。
もうちょっと楽しめるかと思ったのに…。

「アンタ、もう楽しくないから終わりにしようか」

俺は最後の仕上げにかかる。
其れは女も同じだったらしい。
俺から距離を取り、高い場所へと登り女は巨大な爆炎を作り出す。
俺も印を組み、頭上に火遁豪火球特大サイズのヤツを。

「彼奴すげーのな」

「ナルトが強いのは当たり前だよ」

「「??」」

「だって彼は、妖精王だった人物だからね。
負けるって事は有り得ないよ」

「マジかよ♪」

「ナルトが妖精王、ねー…」

「キングより強いって事?」

「うん、オイラなんか全く歯が立たないよ。
ナルトは優しかった、みんな平等に。
でもみんな薄々気付き始めたんだ」

「何をだ…」

「ナルトが、妖精族と何かのハーフなんだって事を」

「ハーフ…純血じゃねーのか…」

「妖精族は物を操れる事は出来るけど、魔力で何かを作り出したりは出来ないんだ。
だから、みんなナルトの出生を知りたがってたけど隠さずに話してくれた…
自分が妖精族と魔人族との間に生まれた子だって…」

「「Σ!?」」

「彼は其れを話してくれた後、オイラに王を任せて森から姿を消したんだ」

火遁で女の爆炎を飲み込んだ後、其れは女へと直撃した。

「妖精王、ソウスイ…そう呼ばれていたよ」

 

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