神器
聖騎士の女との戦闘は終わった。
あれだけダメージ受けてたらほぼ避けるのは無理だろ。
「…ギーラの気配か消えた」
「フッ、死んだか…最後は呆気なかったな…!!」
「恐らく…今の衝撃で元の世界に戻ったのね。 生身でやって来た貴方たちとは違って魂だけのようだったけど…
其れでも精神に相当の傷は負ったはず」
いきなり現れたのは白のワンピースを着た少女だった。
俺を見るなり近寄ってきた。
「ナルト…!ナルトなの!?」
「…………」
また、俺を知る人物が現れた。
此の少女は一体……。
「エレインは僕の妹だよ」
「…なる程…あまり似てないな」
少女はかなり小柄で金髪のショートでまん丸と大きな瞳。
小柄、って所は似てるけど。←
「其処なの…?」
「兄さん、どうして…」
「ナルトは記憶がないみたいなんだ」
「え…」
記憶がないと言う言葉に少女はショックだったのか、悲しかったのかバンによろけながら抱きついた。
あれ、もしかしてデキてたりする?
「自分が妖精王だった事すらも忘れてるらしい。もしかして、魔力も使えなかったりするのかい?」
「大正解、と言っても其の魔力ってのが何なのかさえ分からない始末だな」
魔力自体使えない世界からやってきたもんで、てんで分かりません。
「…そ…そうだったのね……でも、よかった…
生きてたのね、ナルト…」
「覚えてなくてすまないな」
「ううん、いいの…生きててくれただけで…」
少女の顔が笑みに変わった。
「プゴォオ〜〜〜〜!!」
「ど…どうしたの?ホークちゃん…」
「お…俺の……耳がねぇっ!!」
ーーサラサラ…
俺たちの体が段々と消えてなくなっていく。
「わ…私の体が…!!気持ち悪〜〜〜!!」
「よし!じゃあ気持ちよくするか!!」
そう言ってメリオダスは王女の胸を揉みだした。
「あ〜〜〜〜〜!!何してんの団長!!
って…わっ!!何此れ!?か…体が…!!」
どうなってやがる…。
「“死者の都”が本来此処にいるべきではない生者(貴方たち)を拒絶し始めたようね」
なる程…。
「元の世界に戻されるって訳ね」
「そう。此処は“死者の都”死んだ者の住む世界、生きた人間が長い時間滞在出来る場所ではないもの」
エレインは消えゆくバンにそっと寄り添う。
「会えてよかった…バン」
「またな…エレイン」
うん、やっぱデキてるんだな此の2人は。
兄であるキングをチラリと見れば、複雑そうな表情で2人から顔を背けていた。
「ナルト!」
最後の最後。
「お願い、ね…」
「………………嗚呼」
エレインがそう小さな声で伝えてくるのに対して、俺は1つ返事で返した。
兄のキングを含め、みんなを守れって勝手に解釈したが。
「兄さん、ありがとう」
「エレイ…!!」
「…………戻ってきたか」
元の世界へ戻ってくると、目の前にはさっきの聖騎士の女がいた。
自分の心臓に指を突き刺して、仮死状態となっていたようだ。
「今のうちに殺しておいた方がよさそーだな♪」
「君は野蛮だな、バン。此処は石化にした方がいいよ」
「変わんねーだろ」
まぁ、殺しておいて損はないだろうが。
俺の敵ではない事には変わりない。
「俺に任せろ!」
そう言ったのはメリオダスで。
聖騎士を木に縛り付け、前髪をパッツンにしてからの落書きを施した。
「流石オレ!」
メリオダスは何故本気で戦わないんだろうか。
さっきの聖騎士との闘いで、ディアンヌ抜きで楽に勝てると思ってたんだけど。
「そう言えば、みんな神器はどうしたの…?」
「神器…?」
「神器は持ち主しか扱えない。
リオネス国王から与えられたオイラたち七つの大罪の武器だよ。
さっきの聖騎士はナルトが倒してたけど、神器を使える君たちの相手じゃなかった筈だけど」
ほら、やっぱり俺の目に狂いはなかったな。
しかし、神器ねぇ。
誰にも使いこなせない武器って一体どんな武器なんだろ。
「取られちゃった♪」
「なくしちゃった☆」
「売っちった!」
「Σなっ?!」
なんつーか、アホだな此奴ら…。
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