聖騎士ギーラ
バンを探して歩き回っていた俺たちの目の前に、突然現れた長い黒髪の女。
「だ…誰?突然、何処から現れたの?」
「死んできました。初めまして、憤怒の罪のメリオダスと嫉妬の罪のディアンヌ、お会い出来て光栄です、私は聖騎士ギーラと申します」
バンが言ってた魔力ってのが何となくだが、分かってきたかも。
聖騎見習いとは格が違うって訳か。
「い…今此奴死んで来たって言ったけどよ…メリオダスたちやエリザベスちゃんを追う為に…わざと?」
「メリオダス様…此の人…なんか…」
怯えたようにメリオダスの後ろへと隠れる王女。
「大義のためとあらば此の命などは豚畜生も同然」
「豚畜生とはなんだ豚畜生とはっ!コンチクショー!!おいメリオダス何とか言ったれ!此の姉ちゃんやべーんじゃねぇの?」
「嗚呼、本気でヤバい」
「へ?」
女は腰に挿していた剣を抜くと同時に真れを振り上げた。
其の衝撃で家畜は吹き飛ばされ、地面には少しばかりかビビさえも。
やっぱり、敵はこうでなくっちゃな!
「ホーク、エリザベスを連れて出来るだけ遠くへ逃げるんだ。エリザベスも…いいな!行け!!」
「脱豚の如く!!」
「どうか、3人ともご無事で…!」
王女を背中に乗せて、家畜は勢いよく走り出した。
「其れは無理でしょうね」
「凄い自信だね、アンタ」
「ふふ、君は逃げなくてもいいんですか?」
「俺の心配するより、自分の心配してたら?」
でも、最初はメリオダスたちに任せてみるか。
「んじゃ、メリオダスがんばれ」
「ちょっと、ナルトさん其れはあんまりでない?」
「君も戦いなよ!」
「俺ちょっと見とくから。危なくなったら助けてあげる」
「んじゃ、其の時は頼むわ」
ニシシと笑ったメリオダスとちょっとムッとしたディアンヌと聖騎士との戦闘が始まる。
俺は其れを宙に浮いた侭、観戦していた。
2人がかりと、見た目ちょっとアレだけど、女はメリオダスやディアンヌ相手に引けを取らなかった。
中々やるじゃないか。
でも、俺の敵じゃないのは確かだな。
そして、女の一撃がメリオダスとディアンヌに当たり、2人は吹き飛ばされる。
其れを見て、俺は先回り。
飛ばされた方向へ向かえば、其処には家畜とエリザベスの姿があった。
「まだこんな所にいたのか、家畜」
「家畜じゃね…って、へ!?」
「ナルト様!?」
飛んできたメリオダスを風遁で受け止めてやれば、家畜たちに気づいた様子。
「ナルト悪いな!」
「いや」
「ホークまだいたのか!?もっと遠くへ逃げろ!!」
「マジっすかーーー!!!」
「メリオダス、ディアンヌが降ってくるぞ」
「え…」
飛んで来たディアンヌの先に鋭く尖った水晶。
メリオダスば水晶の先に立ち、ディアンヌを受け止めた。
「だ…団長!!」
「重い!」
「ひっどーい!デリカシーないな〜!其の発言!!」
「んな事言ってる場合かよ!つか、ナルト戦えって」
「後でな」
「後かよ…」
余裕綽々と歩いてくる女に、ちょっとムカっとした。
此奴、やっぱ殺しとくか…。
「嫉妬の罪のディアンヌ、七つの大罪でも1、2を争う怪力で体現する魔力は、“創造(クリエイション)”
地と密接な関係にある巨人族特有のものです。
鉄を飴のようにねじ曲げ…地層を塔のように隆起させる事も出来るとか…此の目で見る事を楽しみにしていました」
「ふーん…で、ご感想は?」
「正直ガッカリです。話し程の魔力ではありませんでした」
女がそう言えば、ディアンヌはムッとした表情を見せた。
うん、分かるよ。
俺もちょっと此の女ムカつくから、其の気持ちは分かる。
此の女、かなり調子に乗ってんよな。
「七つの大罪団長メリオダス、伝説通り流石と言うべきですね。
其れに比べて、其処の君はお友だちがやられているのに見てるだけですか?」
「心配しなくても、後から参戦するさ。今はアンタを解析中だから」
「解析した所で何も変わらないと思いますけど、まぁいいでしょう」
俺の魔力ってのがなぁ。
どんなモノなのか、どんな使い道があるのか。
まぁ其れが分かるまでは忍術で我慢しとくとして、そろそろ参戦してやるかな。
「…………」
其れにしても、此の女から俺とメリオダスと同じあの感じがするのは気の所為ではなさそうだ。
俺たちには劣るが、九尾とは違う禍々しいあの感じが微かに女から感じた。
此れは一体なんなんだろうな。
「タフだなぁ」
俺の見つめる先にはメリオダスとディアンヌ。
女1人に手こずっているみたいだが、かなり頑丈に出来た体だ。
あれだけの爆炎を食らってまだピンピンしてるんだから。
普通の人間なら即死もいい所だろ。
其れからバンも戻ってきて3人での戦闘となった。
不死身とは言え、3人でも少し押されている現状には変わりなかった。
仕方ないか。
「メリオダス」
「お、戦う気になったか?」
「疲れたでしょ?3人とも休んでていいよ」
「マジ?じゃ任せた!」
「負けんなよ〜♪」
「頑張ってね!」
此の切り替えの速さ(笑)
ま、でも邪魔されずに戦いたいからな俺。
「君、大丈夫ですか?七つの大罪3人がかりで歯が立たなかった相手なのに、君1人で?」
小首を傾げて俺を見る女。
「アンタさ、あんまり自分が強いと過信しない方がいいよ」
「過信、ですか」
「まさか…勝てるとでも思ってたりする?」
「貴方こそ、私に勝てるとお思いですか?」
此の自信は何処から湧くんだろうな。
相手の力量も見定めないで、此の物言い。
メリオダスたちを見てたら分かる。
あれは本気の戦いなんかじゃない。
其れさえも分からないなんてな、まだまだ此の女も大した事はないな。
「呆れさせんなよ?」
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