死者の住む世界…

 
此の世界での俺を知ってる奴が現れた。
七つの大罪が1人、怠惰の罪のキング。

「……」

詳しく話をしたかったのだが、キングは背中を向けて直ぐ飛び去った。

「なんだったんだ?」

「其れにしても、キングがナルトの事を知ってるような感じだったな♪」

「妖精族だからじゃなくて?」

「うーん、謎だなぁ」

取り敢えずキングが去った後、俺たちは豚の帽子亭に戻った。
俺が駆けつける前にバンと一緒にいた子供2人から、死者の都の情報を入手する事が出来た。
どうやら、死者の都の入り口は此の寂れた町にあるらしい。

外に出て、入り口と思しき場所にやってきた。

「普通の場所、だな…」

「入り口は此処らへんらしいな」

「でも迷信なんでしょ?」

何でも、代え難い死者との思い出が都へと誘う、ね。

「仮に死者の都があるとしても…だ。あの世じゃあ、行きようがねぇだろ」

「あの世だけに死ねばいけるんじゃねーの?」

「バカかお前!!」

「死者との思い出が導く………か。私…物心付く前に亡くなった母に会ってみたいです」

「じゃ、ダメだろ」

「そ…そうですよね…思い出…ないですし…」

「おい、見てみろ」

下を向いた時、一面の花畑。

「此の花はなんでしょう?」

「さっきまで咲いてたっけ?」

いや、咲いてなかった。
入り口は此処か…。

「どーでもいいだろ花なんてよー。食った所で腹の足しになるわ訳でもーーー」

家畜が花に顔を近付け、匂いを嗅いだ後、プゴ、と鼻息を吹きかけた。

ーーーふ…わっ

「花びらが一斉に…?」

舞った花びらが、吹雪のように勢いよく俺たちの周りに吹き荒れる。

「何が起きた?」

そして、花びらの勢いが止んだと思ったら、目の前に現れたのは別の世界だった。
水晶のような結晶が固まって出来たような地形だった。

「………」

「だ…団長…」

「…………嗚呼」

此処が死者の都…。

「ひょっとして、私の母に会いたいという想いが……私たちを此処に導いたのでは…?」

「いや……俺が食いそびれた残飯たちへの強い想いかもな…」

「家畜のクセに」

「貴様ぁぁあああ!!」

「心当たりなし」

「ボクも〜〜〜!」

キングが其処にいるのに、此奴ら気付いてないのか。

「Σ…誰だ」

「「え?」」

ちょっと先に、人影が見えた。
白い服を着た少女のようだった。

「Σ…!」

其の姿を見たバンが、

「バン!?」

走り出す。追いかけるように。
そして、

「待て!!」

隠れていたキングも血相を変えて、バンを追いかけるように俺たちの横を過ぎていった。

あの少女は一体誰だったんだろうか。
其の少女を追いかけるバン、どんな繋がりなんだろうか。
そして、必要以上にバンに執着するキングも。

あの2人に一体何が…。

「あの2人喧嘩でもしてんのか?」

「さぁな、俺たちがこうやってまた顔会わすのは10年振りだからな」

「団長、どうしよう?」

「ひとまず追っかけるか」

歩き出した俺たち。
土地勘もなく、感で進むしかなかった。

「バーン」

「キングーーー」

「バン様ーー」

「キングーーー」

「…」

「もーー2人とも何処行っちゃったのー!?」

「しっかし、“死者の都”って割には幽霊の一匹もいねぇじゃん。なぁ、エリザベスちゃん?」

「い…いたらいたで怖いですけど…
メリオダス様…どうしてキング様はバン様を追いかけたのだと思います?」

「其れも気になるけど…じゃあ、バンは何を追っかけているんだ?」

メリオダスの其の言葉で、王女と家畜が恐怖に固まった。

「幽霊かもな」

「ヒイイイィィィ!!」

「幽霊さんですか!?」

死者の都だってのに、なんでそうもビビる必要があるのか分からないけど。

「そう脅かしてやるなって、ナルト」

「いや、家畜が此処までビビるとは思ってなかったよ」

「だだだだ、誰がビビってるって!?」

「あ、後ろ…」

「ギャアアアアアア!!!」

「ビビってんじゃん」

アホだな……。

 

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