仲間入り…?

 
「「……」」

ゆっくりと距離を詰めるバンと団長。

「其処の妖精族の子、危ないからこっちおいでよ!」

巨人の娘にそう言われ、向かう。

「2人もボクの後ろに隠れて」

「喧嘩でもおっ始めるような雰囲気だな」

「喧嘩じゃないよ」

すると、パァと表情を明るくさせ2人は連続でハイタッチをし始めた。

「バーーーン!!」

「団ちょ〜〜〜〜〜♪」

ハイタッチの後、バンが団長を凪払うようにすれば、吹っ飛んだ団長は石の壁を4部屋くらいブチ抜いた。

「ほらほらどーした♪」

其れから今度は団長がバンの腹へ頭突きをかますと同じように壁をブチ抜いた。

「なんだよ、無茶苦茶仲いいじゃんかよ!!」

「うん…」

俺は目を疑った!
異世界なのにこんなことって…!!

「人の言葉を喋れる豚がいるのか…!?」

「言っとくが俺さまは家畜じゃねーからな!」

「なんだ、非常食か…」

「おい!」

ちょっとだけ弄ってやったら、プゴと鼻息が…。

「カッカ…!」

「にしし!」

「なんだよ、すっかり鈍ってると思ったら」

「元気そーだな!!」

バンは立ち上がり、団長は服に付いた汚れを叩きつつ二人はまた距離を詰めた。
そして、ガシッと手を掴み、床に寝そべる。

「レディ…」

なんだ、腕相撲でも始めるのかと思った矢先…

「ゴッ!!」

力を込めた瞬間、

ーズ、ゴワッ

「プギャアアア!!!!」

「おお、すげぇな」

「みんなボクに捕まって」

俺は巨人の娘の肩に腰を下ろし、チャクラで吸着させた。

「関心してる場合か!
床が…壁が…いや天井が…全部崩れていくぞーーーーーーー!!!」

喋る豚は崩れて落ちていく岩を利用し、巨人の娘の髪にしがみつく。

「昔からあの2人ってこんなカンジなんだ」

「へぇ」

「どんなカンジだよ!!ってお前は此の状況で冷静すぎる!!!」

「本当、男って子供だよね〜〜。
まぁそんな団長もいいんだけど(ハート)」

うっとりとした感じに見つめていた巨人な娘。

「団ちょ〜との戦績は720戦中、確しか俺が361勝だったよな?」

「バン、お前さては寝ぼけてんな?」

崩れてく中、怯えた女と豚以外何とも平常心だった。

「キャアアア!!」

「のし豚は嫌ァア!!」

「…………」

結構床が崩れてからかなり時間が経つが、一向に地面に着かない。
其れ程にまで、より遥か高い建物なのだろうか。
もう崩れてしまい外観は見られなくなったのは残念だ。

「オレが361勝!!」

「うんにゃ〜〜〜俺だった♪」

「団長がちょっとムキになった顔もカワイイ(ハート)」

やっと、地面へ到達した。

「あ…何時の間に夕方になってたんだ。どうりでお腹が空いたと思ったー!」

「もう無茶苦茶だな!お前ら!!」

瓦礫の中から此の監獄に捕まっていた人間たちが戸惑いつつも外へ出てくる。

「って、何でお前は無傷なんだよ!」

「え?避けたに決まってんじゃん、バカなの?」

「ムキーーーー!」

俺だけ結界張っただけなんだけど。

「取り敢えずまあ〜〜なんだ、団ちょにまた会えて嬉しいぜ〜〜〜〜〜〜♪」

町に戻る一行について行く事にした。
初めて見る空、草、地面で右の左も分からない今、俺は此の土地についてはかなりの無知だ。

同行した方がいいと思って。

フワフワと空を浮遊しながら後を追う。

きっと此れから必要になってくるんだろうな。
其の魔力ってのは。

あの崩れていた建物はバステ監獄といって、聖騎士とやらに逆らい捕まっていた人間もいたらしい。
感謝の声が上がっていた。

巨人の娘の背負っていた鞄の中には、1人のさ少女が傷だらけで横たわっていた。

「エリザベス、傷の具合はどうだ…?」

「メリオダスさま………ディアンヌさま………
バンさまと、セネットさんは…………
其れに、ホークちゃんも怪我して……………」

「人のことよりちったぁ自分の心配してろって。バンもセネットも一緒に帰ってきたぜ」

「ちょっと見せてみろ」

「おい」

見えない特殊な糸を少女の体に巻きつける。
そして、鞄の中からだして、ゆっくりと地面へと下ろした。

「おー」

「あの…?」

「今から傷治すからじっとしてろ」

「あ、はい…」

手にチャクラを集め、少女の体へ翳す。

「あ、れ……?痛みが…」

「どーゆー事だ…傷が治ってく…」

腫れていた頬や折れていただろう腕や肋。
死人以外なら大抵の傷は治せる。

「妖精族にそんな器用な事が出来んのか…?」

「まぁ、気にすんな」

「こんなん見せられて気にしない方が可笑しいだろ!つか!俺!俺も!」

「お前は家畜だろ」

「プギャアアア!家畜じゃねぇーっつってんだろぉおおお!!」

其の後、仕方なく家畜の傷も治してやり、町医者であるダナと言う男に夕飯をご馳走になった。

あの傷だらけの少女の名はエリザベス。
ブリタニア、リオネス王国の第三王女。

エリザベスは言った。
今、聖騎士によって民たちが苦しんでいると。
刃向かう奴は殺されてしまう今の状況を変えたい、と。
其れには七つの大罪のメンバーしかいないと、そう言った。

「七つの大罪、って何だ」

「獣の印を身体に刻んだ、凶悪な大罪人で結成された王国最強最悪の騎士団の事です。
聖騎士たちを止める事が出来るのは彼らしかいないんです!
だから私……!」

「其の聖騎士っての、強いの?」

「嗚呼、強いぜ」

「面白そうだな」

「そうだ、団ちょ♪此奴仲間にしようぜ」

バンがそう言った事に、2人して目を開いていた。
どうやら珍しいらしい。

「大罪人だしよ、此奴。俺らと同じよーなもんだろ♪」

「そうなのか?」

「監獄で300年寝てたみたいで、記憶がないんだ。凄惨の罪って呼ばれて訳が分からない」

「凄惨の罪…?聞いた事ねーな」

「あのジジイが秘密にしてた、なんてのは有り得ねーよな♪」

「だよな」

先ず、俺の事知らなきゃな。
バンたちが妖精族とか何とか言ってたが、そもそも妖精族ってなんだ。



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