目覚めた罪

 
目が覚めると、其処は牢屋だった。

「…………」

うーん、どうしたもんか。
手枷に足枷、厳重にも体に巻かれた太い鎖。

オレナニシタノ…(笑)

記憶がない。
つーか、異世界の書の印組んで飛んで来たのには変わりないんだろうけど、此れはなし。
説明してちょーだい。

「…………」

俺はナニして捕まってんのか。
俺の名前はなんなのか。

九尾とは違う、此の体の奥底から湧き出るようなモノは一体なんなのか。

取り敢えず、此の枷を外すか。
そう思い、手枷足枷は引っ張れば簡単に千切れた。
体に巻かれた太い鎖も、縄抜けの術でジャラジャラと、地面に落ちる。

すると、

「??」

急に体が空中に浮かんだ。

「え、何此れ…」

其の次の瞬間だった。
部屋全体に強烈な風が巻き起こった。
其れは俺を中心に竜巻のようにグルグルと。

強烈な風で、此の部屋にある何かの装置も吹き飛ばされ壁に激突して壊れていく。

「何が起きて…何だ此の風は!?」

「すぐ報告を!」

ゴチャゴチャと人の話声が聞こえてきた。
と思えば、今度は吹き荒れていた竜巻が嘘のようにピタリと止まる。
止まると言うか、俺の体に吸い込まれるようにして収まった。

ーシュウゥゥ…

「………」

俺の体の中に取り込まれたらしく、今まで感じた事のない感覚に襲われた。
チャクラとは違うナニかを。

「た、大変だ!」

「凄惨の罪(ヴォルフ・シン)が目覚めた!」

ヴォルフ・シン…?
俺見て言ってる気がするけど。

其れにしても俺、浮遊スキルなんて持ってなかったのに。
宙に浮いてる…。

「300年もずっと眠った侭の凄惨の罪が…」

「此の世の、終わりだ……!」

「さっきから何か煩せぇな。取り敢えず死んどく?」

「「狽チ!?」」

300年もずっと眠ったまんまとか何なんだよ。
俺はたった今、此の世界に来たってのにさ。
意味不明な事ばっか言ってんじゃねぇぞ 。

苛々をぶつけるように2人を沈め、牢屋から出る。
其処で気が付いた事。

「髪が…」

踵まで伸びた髪の毛。
300年もずっと眠ったまんまだったから?
其れにしては短い気もするけど。

暫くどうしようかと其処から動かずにいると、俺と似たナニかを感じた。
此れは一体何なんだ…。

「誰だお前♪」

上半身裸の男が俺の目の前に現れた。
其れと其の後ろに怯える様子の女。

「アンタこそ、誰?」

何か特別な力を感じる。
其れは相手も同じなようで…

「お前の其の魔力、すげぇな♪」

「魔力?」

「無自覚かよ〜♪」

魔力って何だ。
此の世界では、此の力?の事を魔力って言うのか?
其れにしてもどんな使い道があるんだろうな。

「(此の魔力、桁外れだな)」

「??」

フワフワと浮く俺は其の男に近付いた。

「俺さ、なんか300年も此処で寝てたみたいで何が何だかチンプンカンプンな訳」

つっても、木の葉からきたらそんな設定だったからちょー笑えるけどな。

「ふーん、で?」

「仲間になんない?俺、行くところないし、此の世界よく知らないし」

「(妖精族だからか?でもまぁこんな魔力持ったヤツ野放しにして敵にでもなった日にゃ、俺ら危ねぇだろうなぁ…)」

「あ、まさか既に仲間いるとか?」

「いるっちゃいるけど、大丈夫だろ♪
うちの団ちょ〜物好きだからなぁ。お前、名前は?」

「ナルト。さっきの兵士にはなんか、凄惨の罪とか言われてたけど、覚えてない」

「んだよ、お前も大罪人かぁ♪」

此の男、強欲の罪(フォックス・シン)、不死身のバンと名乗った。

「あ、バン…!!」

「あ、団ちょ…」

細い道の先に、2人と1匹がいた。
其の一人は少年で、もう一人は巨人の女。
1匹は豚だった。

「そ…そうです!!あの男は伝説の“七つの大罪”の一人、バンで………!!
…ってどうして、知って………団、ちょ…?」

娘は逃げるようにして俺たちから離れ、団長と呼ばれた男の後ろに隠れるように回り込む。

あ、バンが言ってた仲間なんだ。
しかし、七つの大罪って…?
 

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