美食ハンターと探検

 
ゴールすると同時に分身はクラピカとレオリオを下へ下ろし、分身を見えない所で消す。

二次試験は美食ハンターによる料理だった。

世界一凶暴な豚が此処に生息してるらしく、其れを丸焼きにしろとの事。

「…丸焼きは美食に入るのか?」

「誰でも出来そうだよな」

そんな感想を吐きつつ、世界一凶暴な豚を捕らえに。
あの豚の角が何故こんなにも巨大化したか。

「弱点である頭を守る為」

「一丁あがり」

二匹の豚が横たわった。

「さて、焼いて持ってくか」

「だな」

周りに人がいない事を確認し、火遁でいい具合に焼き目を付ける。

そして、一足先に美食ハンターの元へ。
豚を差し出せば、ペロリと平らげる大男。…デブとも言う。←

「早いわねぇーアンタたち」

「どうも」

「…」

男は美味いとしか言わなかった。

其れから続々と受験者たちが豚の丸焼きを持ってくる。
そして、其の豚はデブの腹へ…。

其れでも美味いとしか言わなかった。

「72頭完食」

ドン、とドラを鳴らす女ハンター。

此の後だった。
女の無茶ぶりで寿司を作れと言うもんだから、其々創作料理となっていた。

生きた魚を腹の周りに浮き輪をつけた感じにシャリを…
酢飯の山から顔や尻尾が出てたり…

そんなの続ければ女ハンターも苛々してくる訳で。

「鳴門たちは行かないの?」

「…面白いから見てんの」

「どうせ誰も受からせてくれねぇよ」

そう。
美食ハンターって言うだけ、味には煩いだろ?
こんな素人の寄せ集めの料理に満足するとは思わないな。

そして、服部とか言う此の世界の忍者と言われる奴のお陰で作り方を知る。

其れでも、美味いとは言わなかった。

握りすぎ、ネタの切り方が下手、生暖かいなんて難癖付けられ受験者たちも次第には苛々してくる始末。

腹が満たされ、女ハンターは爆弾を投下した。

「合格者ゼロって事でよろしくー。
また来年頑張って!」

其れに対しては俺も少し頭にきた。
此処が試験会場じゃなかったら、一思いに殺せてたのに…。

「Σっ(殺気!?何処!何処から…!)」

此の判定に殆どの受験者が納得する筈なく、試験官と目が会った俺はニヤリと笑ってみせた。

「(あの子…何者っ)」

頑として合格者を出そうとしない女ハンターに、空から響く声。

「其れにしても合格者ゼロとはちと厳しすぎやせんかの?」

試験会場の真上に一隻の飛行船が空を飛んでいた。

其の飛行船から降りてくる、人間。
着地を綺麗にしてみせた髭の長い爺さんだった。

「頑丈だな…」

「すげー骨」

「突っ込む所は其処じゃないだろ」

レオリオに代わりいい突っ込みをするキルア。

「あんな高い所から落ちて骨が折れていないなど、有り得るのか?」

「…普通はよくて粉々、悪くて即死だろうな…」

女ハンターは其の爺さんをネテロ会長と呼んだ。

ハンター協会の会長…。

女ハンターとネテロ会長の会話が続き、其れを黙って見ているしかなかった。

そして、漸く会話が終わり二次試験の再試験が発表された。

「ゆで卵を作ってもらうわ」

飛行船に乗せてもらい、再試験会場へやってきた俺たち受験者。
マフタツ山と呼ばれる大きな山は其の名の通り、真っ二つに割れてる形だった。

「下が見えねぇ…」

蜘蛛鷲と呼ばれる鳥が敵からの攻撃を守る為、崖の間に糸を張り其処に卵をつるしているのだとか。

「安心しなさい下は深ーい川よ。
でも、落ちたら海までノンストップだから。
じゃあ、お先!」

女ハンターが見本として、何の躊躇なく飛び降りる。
そして、綺麗二に糸へ着地したと思えば逆さまになり足で糸を上手く挟みながら、吊してえる数個のうちの一つを取る。

急な上昇気流が発生し、其れにタイミングを合わせて俺たちのいる崖の上まで飛んで戻ってきた。

「アンタたちには私同様、卵を取ってきてもらう。
どう?簡単でしょ?」

其れを聞いたゴンたちは

「あーよかった」

「こうゆうの待ってたんだよね!」

「走るのより民族料理より余っ程分かり易いぜ」

「同感だ」

キルア、ゴン、レオリオ、クラピカの順に。
先に飛び込んだのはレオリオで、其れに続きゴンたちも崖へ飛び込んだ。

卵を取り、皆が糸にぶら下がっていた。
女ハンターと同じ上昇気流を待っているんだろう。
中には自分の重さに耐えきれず、下へ落ちていった受験者も。

「さて、行くか」

「嗚呼」

俺と鹿丸は受験者がぶら下がってない糸へ着地し、難なく卵ゲット。
そして、ゆっくりと糸をたどり、崖の壁に片足を付ける。

「鳴門?まだ風来ないよ?」

「何するんだ…」

「お先にー」

「…」

そして、俺たちは壁を垂直に歩きだす。

「「ええええええーー!?」」

驚く声が崖に響き渡った。

ま、普通は歩けないか。

上に上がれば女ハンターは目が点になっていた。
ネテロ会長に至ってはホッホッホ、と笑ってるだけ。

「崖って歩けるものなの!?」

「…一応?」

漸く、ゴンの声により一斉に上昇気流の風を利用して上に上がってくる受験者たち。
上がってきたと思えば、ゴンやキルアたちの他にも駆け寄ってきた。

「今のどうやったの!?」
「どんなカラクリだ!」
「人間離れしてるとは思ったがっ
お前ら本当に人間か!?」
「非現実的行動だ…どんなに鍛えていたとしても無理だ!」

ゴンたち以外も一斉に喋るもんだから何を話してるかさっぱり分からなかった。

「今のもにんじゅつってヤツなの!?」

「忍術だと!?有り得ない!」

「…」

「…メンドクセェ」

スルーした俺たちはスタスタ歩き出し、女ハンターの元へ卵を持って行った。

鍋に投入した其れ。
美食ハンターが食べる品だけあり、濃厚な味だった。

「はい、美味しいよ」

「お前…」

飛び降りる事が出来なかった賞金首狩り志望のトードーとか言う奴に、ゴンは食べていた卵を差し出す。

お人好しもいい所だな…。

二次試験終了。
合格者は44名、半分以下になっていた。

合格者のみネテロ会長が乗ってきた飛行船に乗り込み、次の試験会場へと向かった。

「腹減った…」

「同じく…」

到着時間は翌朝の8時と言われ、其れまで各自自由時間。
寝るもよし、修行もよしとされていて、俺たちはゴンとキルアを引き連れ、食事が出来る所へ向かい、木の葉にはない料理を堪能した。

「はぁー食った食った」

「まぁまぁだったな」

「美味しかったよね?」

「上から目線だし…つか、高級店で出すような品物だぞ?アレ」

「舌が肥えてんだよ、キルア。
此奴らに普通を求めちゃいけねぇよ」

「其れは言えてるな」

其れからクラピカとレオリオは体力を取り戻したいと部屋に戻り寝る事を選択した。

「なぁゴン、探検しよーぜ!」

「いいね!ねぇ、鳴門たちも行かない?」

「まぁ暇つぶしにはなるか」

「メンドクセェけど…」

2人の気が済むまで、後を追うだけ。

「何処行くの?」

「馬鹿!飛行船っつったら先ずはコックピットだよコックピット!」

だそうだ。
ゴンに手を引かれ、走り出す。

立ち入り禁止を無視し、中へ入っていくゴンとキルア。
俺と鹿丸は外で待機。
壁に背中を預け、出てくるのを待っていると、コックピットの中にいた人物から追い出される始末。

「ドケチ!入られたくなかったら鍵でもつけとけっつーの!」

「…怒られちった」

怒鳴るキルアとは真逆に、こちらに背を向けて座りこけてるゴンがいた。

「「…」」

其れが数時間続きやっと歩き回るのを止め、外の景色が見える所に。
ベンチに腰かければ…

「キルアのお父さんとお母さんは何してる人なの?」

そんな事をいきなり聞いていた。

「殺し屋」

「2人とも?」

「………アッハハハ!面白いなお前。
マジ面でそんな事聞き返してきたのお前が初めてだぜ!」

「だって本当の事でしょ?」

其れから始まったキルアの暴露。
ゾルディック家と言う、有名な殺し屋一家だそうだ。
金さえもらえば誰でも殺す、か…。

「鳴門たちも驚かないんだね」

「…驚く必要が何処にあるのかわからないけど」

「俺たちも、同じような仕事してるし」

「え、そうなの?」

「1日で最高何人殺った事あんの?」

「…えーっと、600くらい?いや、700だったかな…?」

「昔の事だから覚えてねぇよな…」

「「Σはぁ!?」」

任務が3つか4つで、全部対象200越えのヤツ。
戦好きな俺たちの世界はそんな話しょっちゅう舞い込んでくるけど…。

「忍者、だから?」

「…任務だから」

「レオリオが言ってた通り、人間離れしてるよな?鳴門たちって」

人間離れって、ゴンもそうだと思うけど…。
 

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