ボマーと爆弾

 
「アンタたち能力はもう決まったの?」

「うん」

じゃんけんで思いついたゴンの其れ。
グーは強化系、パーは放出系、チョキは変化系。

「ねぇビスケ。念てどうやったら飛ばせるの?」

「そんなの、修行あるのみだわさ」

「やっぱりそう簡単にはいかないか…」

「まぁでも理にかなってて、ゴンはもう問題なさそうだわね」

「コホンっ」

「「?」」

視線がキルアに向いたのを確認して、両手の人差し指を近付けていく。
指先から電気が流れ指と指を繋ぐ。

「充電すれば電力はかなり上がるぜ?
俺も準備はOK」

「へぇ、電気か」

「凄いやキルア!電気ウナギみたい!」

「例え悪いっつーの…」

「(大したもんだわさ。其の年でオーラを電気に変換するとは…でも悲しい子…)」

ゾルディック家での訓練の賜物か。
毒、電気、痛みに対する忍耐ね。

ま、俺も似たようなもんだけど…。

「アンタたち、修行に夢中で気付かなかったでしょうが外の世界はもう新年を迎えたわよ?」

「もうそんなに…」

「あっという間だったな」

「外と同じ時間の流れなの、此処もね」

知らなかったよな、此処が現実世界だって事。
ビスケは気付いてそうだけど、あの2人は絶対其れすら疑問に思ってもないだろうな。

「…あ、しまった!」

「ゴン?」

「キルア!ハンター試験!もうそろそろ申し込まないとっ」

「でもなぁ、此処からどうやって抜け出すんだ?もう何年も抜け出せない奴らがわんさかいるってゆーじゃん?」

其のカードが何なのか、何処にあるのか検討もつかない今探すのにも一苦労だろ?






「わーい!」

「簡単簡単!」

あっさりと外の世界と通じるカードを手に入れた。
俺と鹿丸も念の為にゲットしておいた。

「(そんなに簡単にクリア出来る状況じゃなかったわさ。
全く、可愛げがないくらい優秀だわね)」

「んじゃ、速攻で行って合格してくるぜ」

「うん!あのね?キルア」

「ん?」

「ドーレ港の傍の一本杉のある山にキリコってゆう魔獣が住んでるんだけど、俺の友達だって言えば今回の会場に連れて行ってくれるよ!」

そう言えばいたな、そんな魔獣。

「不合格だけはするなよ、キルア」

「しねーよ!」

去ってくキルアの後ろ姿を見つめていると

「さて、アタシたちはマサドラに戻って修行を続けようかしらね」

「オス!」

走って向かう中、ゴンは念の修行中だった。
人差し指を立て、0〜9までの数字をオーラで作り上げるアレ。

「走りながらでも修行。変化系のレベル1、形状変化!彼奴に分以内にクリア。
まあ最終目標は5秒以内だけどね!」

「ん〜っ…!」

前も見ずに指先に集中して…

「うわっ…いってー…」

其の侭、木に激突。

「前方注意も忘れずに!」

「子供か」

「子供だろ」

「むぅ、鳴門たちはできるの!?」

俺と鹿丸は人差し指を立てた。

そして

「…うぐっ」

3秒程で終わった。
其れを見たゴンが物凄く悔しがってる。

「残念でした」

「俺らはもうとっくにクリア済みだっての」

「ゴン、此奴らに競い合っても勝てっこないんだから諦めなさい!」

そんなこんなでゴンの修行しながら走っていると、気配を感じた。

「誰かくるぞ」

「1人、か」

何時ぞやのように空から現れた其奴は見覚えのある奴だった。
最初の犠牲者の時にスキルに付いて話した小汚い男の仲間となった?男。
緑の服を着た色黒のアベンガネと名乗った。

「俺たちに何の用だ?」

さっとビスケとゴンの前に出た俺と鹿丸。

「まず、俺の話を聞いてくれ。
俺たちは仲間だと思っていた奴に裏切られた。
其奴がボマーで、みんなやられた」

「ボマーって誰だったっけ?」

「プレイヤー狩りの1人」

「あー、そうだったそうだった」

ボマーと言う男は、小汚い男の仲間だった顎メガネだとアベンガネは言った。

命の音(カウントダウン)。
アベンガネたちは命の音を体に取り付けられ、どうしようも出来ない状況に陥っている。

タイマー式の爆弾らしい。

アベンガネの体にも其の命の音が取り付けられていた。

カードと引き換えに一斉解除を条件に出してきたボマー。
其れに乗った仲間たち。

口が立つと言ってたのに其れをまんまと信じたんだ、此奴の仲間たちは。
疑いもせず、此の侭死んでいくんだ。

其の逆で、此奴は多少は利口だと言う事だ。
じっと死ぬのを待つんじゃなく、何かしら策があるんだろ。

「俺らに其奴を倒せって?」

自分じゃ敵う相手じゃないとは理解してる所はまぁいいとして。

「君、ボマーが現れても負けるなんて有り得ないとか言ってたじゃないか。
だから君たちに会いきたんだ」

「言ったけど、無報酬で引き受ける程俺は優しくもお人好しでもない。
ぶっちゃけ、だから何?って感じにしか捉えてないし。興味もない」

「鳴門!」

「ゴン、アンタはちょっと黙ってなさい」

こっちに的を向けるなら話は別。

「分かった。倒してくれとは言わない。
だが、君たちが此の侭突き進むなら、彼奴は必ず君たちの前に現れるだろう」

「うん。其れなら俺の敵として排除するまでだな」

其奴は残りのスペルカードを使って他のプレイヤーにボマーの情報を伝えると言って去っていった。

「ボマー…」

静かに闘志を燃やすゴン。

許せないんだろう。

でも、俺は手を出さない。
ボマーに引っかかる奴らが悪いんだ。

「さて、今からどうする?」

「やる事は変わらない」

「だな、俺たちは今やれる事をするだけ」

「念能力の上達、カード集め」

「そうね。奴らのアジトさえ知らないし、スペルカードにしたってあっちの方が有利だわさ」

俺自身で使う念の練習もしたいしな。
 

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