力量と愛用武器

 
「其れか、鳴のは」

地面に寝そべりながら、鹿丸はグラウをまじまじと見ていた。
見せるの初めてだったしな。

「光と闇(グラウ)だ」

〈よろしくお願いします!〉

何時ものようにオーラで文字をつ作り出すグラウに、

「Σっ」

鹿丸は驚いた表情を見せる。
滅多とそんな顔しない鹿丸がだけど、此れは流石に驚かない方が可笑しいか。

「よく分かんないけど、魂定着しちゃったみたいでさ。俺と契約したんだ」

「またすごいのを…」

そうは言っても俺何もしてないからな。
ただ能力決めただけだからな。

其処を勘違いされては困る。←

「鹿丸のも見せてよー」

「嗚呼、いいぜ」

特質系の鹿丸の能力。
現れたのは、狼だった。

「戦闘用じゃねーの?」

「戦うのは俺でいい。此奴は情報と移動とかそんなんひっくるめての偵察係り」

「へぇ」

「で、どんな事できんの」

「グラウはさ、元戦闘員な訳よ」

「ふーん」

「きっと強いぜ」

俺が言うんだ、間違いない。

〈ではマスター、刀を拝借出来ますか?〉

「刀か」

巻物を持ってきていて正解だったな、そう思った。
暗部用の刀を取り出しグラウに渡す。

〈ありがとうございますマスター!〉

ゆっくりと鞘から抜き、グラウはしっかりと握り締めた刀で近くにあった板に向かって一振り。

ーシュンっ

木や技が揺れる事なく、先についていた葉だけが枝かう離れヒラヒラと落ちていった。

「グラウ」

〈はい?〉

「5人いるから、全員殺っといて」

〈承知しましたマスター〉

グラウの雰囲気が一変し、隠れていた雑魚どもが姿を表した。

「ブック」

1人が唱えるともう1人また1人とバインダーを出現させる。
どうやら一緒に行動してる仲間らしい。

「グラウ、頼んだぞー」

〈はい〉

「君たち、バインダーを出さないのかい?」

ニヤニヤと笑う雑魚。

「其奴倒せたら、バインダ一出してあげる」

「困ったなぁ…」

そして、各々オーラで作り出した能力を披露した。
強化系具現化系変化系と武器などを引き連れグラウを取り囲む。

さて、どんなやられ方をするのやら。

「知らないよ?」

「其の子死んでも…」

「大丈夫、グラウは死なないから」

幽霊だもん。
其の肉体はオーラで作り出した偽物だから、と言うのは此奴らには理解出来ないんだろう。
普通に人間だと思い込んでるみたいだし、倒せるとも思っているんだろうな。

〈では、始めましょうか〉

構える事なく、グラウは刀を握ったてを下ろした侭ゆっくりと近付いていく。

雰囲気が変わった事には気付いたみたく、少し後退りするプレイヤーたち。
其れでも向かってこようとする事は誉めてあげたいね。

元戦闘員だっただけあり、グラウは落ち着いていた。
迫り来る能力も何の其の。
刀一つで体一つで作られた能力を消し去る程の圧倒的な差。

やはりだな。
俺の目に狂いはない。

数分とかかる事なく、グラウの周りに横たわる其れ。

「どうせ、元いた場所に戻るなら、消さなくていいよな」

〈マスター、有り難うございました〉

「ご苦労さん」

〈でわ、マスターまた…〉

「其の侭いれば?退屈だろ?」

〈いいのですか…?〉

「嗚呼。其れに、グラウの武器決めないとな」

「武器か」

「ほら、今は特質と具現化で肉体作ってる訳だし?
強化、操作、放出、変化の能力使わないのは勿体ないだろ」

強化系はもう決まってる。

「大鎌って格好よくね?」

「和服に大鎌か?」

「衣装チェンジするよ、もちろん」

目を閉じて、俺は頭の中でのイメージを形にしてみた。

白いフード付きのポンチョと黒のハーフパンツ。
脹ら脛まである黒のブーツに見えてる肌には所々に包帯巻いて。
そして、極めつけが、グラウの身長より大きな鎌。

〈…!〉

「中々、いい感じじゃん」

「和服よりは動きやすいな」

「光と闇の裁き(アンダーグラウ・クリシス)。
素早さと破壊を持ち合わせた云わば接近型だな」

大鎌なんて、具現化で作ってチャクラで切れ味上昇させれば問題はない。

んー、やっぱり俺って天才!←

「次は遠距離型、光と闇の魔法(アンダーグラウ・ソーサリィ)」

黒の魔女ハットに白いロングドレス、黒いマントで、木製の杖。

「魔法使いだからな、主に魔法で戦える」

〈でもマスター…〉

「何だ?」

〈…魔法って何ですか?〉

其処からか。

「グラウ」

〈…は、い…〉

「1日だ。1日くれてやるから、完璧にマスターしろ、いいな?」

〈ぜ、善処します…〉

ゴンたちが戻ってくるまでの間、ありとあらゆる手段でグラウに魔法を叩き込んだ。

「頭で考えろ。お前は今、何を出したいかどんな形でどうゆう風に敵に向かっていくか、自分で決めるんだ」

水、風、炎。
取り敢えず此の3つに決まった。

水、人差し指を立てると其の上に水が集まり、顔程の大きさとなる。
凍らせて個数飛ばせる事も可能。

風、グラウの周りを流れる風。
鎌鼬のように、刃と化した其れは岩をもぶったぎる。

炎、掌から着火した青い炎はゆらゆらとグラウの傍で浮遊。
目標に向かって猛暑スピードで飛び、目標に当たるまで飛び続ける。

「うん、中々いいんじゃね?」

「スピードも申し分なしだな」

〈…良かった、です〉

「あれしきでバテてんのか?お前、死んでる間に体力落ちてんじゃねぇの?」

〈200年も動いてなかったら、落ちると言う次元じゃないと…思うんですが…〉

「一理あるな」


[ 39/43 ]
[*prev] [next#]
[しおりを挟む]
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -