感謝とステップアップ

 
ゴンとキルアがビノールトと戦闘を始めてから、今日で10日。
3日くらいから1人でも圧倒出来るようになり、日が経つにつれ其れは一目瞭然。

スピード、パワー、察知、回避、判断。
始めた時より確実に上達していた。

「もういい、俺に勝ち目はない…」

ビノールトは戦意を喪失していた。
ハサミを地面に落とし、ビノールトは両膝を付き下を無向く。

2人に敵わないと理解しつつもよく耐えたなと評価はしてやる。

「殺せ…」

「ビノールトさん、ありがとう!」

「Σっ」

「お陰で俺たちスッゴく上達しました。
押忍!!」

「此処を出たら自首する…其れで見逃してくれるか…?」

「行きなさい」

去っていくビノールトを見つめる俺たち。

「アンタ、初めから此のつもりだったのかい?
相手は第一級殺人犯だわよ?」

「うん。でも、教わったのは俺たちの方だし」

ゴンはまだ甘い。
見逃すだけが善じゃないって事をまだ知らない。

殺す事も時には善となる。

「ゴン」

「ん?鳴門?」

「今日のはお前やキルアの修行の為とは言え、彼奴を見逃すのを黙って見てやったけど。次はないからな」

「…どうしても?」

困ったように眉を下げるゴンを見て、溜息が出る。

「どうしても」

此れはお前らの安全にも繋がるってのを理解してないな。
自分から飛び込むタイプならまだいい。
だけど、経験不足でましてや子供なんていい標的じゃねぇか。

そんなんじゃすぐ死んじまう。
ま、其の為の修行なんだけどさ。

つか、死なれたりしたら俺が困る。

「…」

「此処でお前が死ぬより過激派の奴らがいなくなった方が安心するって鳴門は言ってんだよ」

「安心…って?」

「危険がなくなるって事だわさ。
グリードアイランドで普通にプレイするだけの連中になる」

ま、何れまた過激派とは出会うだろうからな。
此処でゴンには釘を差しておけば滅多な事はしないだろう。

…納得はしてないみたいだけど。

其れから、俺たちはマサドラへ目指した。

「凡そ70キロくらいか。ま、3時間あったら余裕だわね」

「おいっ…3時間ってマジかよ…」

「当たり前でしょ?」

先を歩いていたビスケは振り向き、人差し指を立てた。

「「数字の9!」」

「ピンポーン。でも反応が遅い!」

「鳴門たちはしてねーし!」

「俺らはやっても意味ないし」

「何で!?」

「師匠潰しだから」

「「…へ?」」

ゴンとキルアがビノールトと拳を交えてる間、其れやってたし。

「此の2人はアタシもお手上げだわさ。
尽くクリアしていくんですもの」

「仕方ないって。天才だから」

そう言ったのは鹿丸で、其の鹿丸を見てキルアが青筋立てていた。

「其のどや顔ちょームカつく!!」

「…キルア、もう諦めようよ。何したって鳴門たちには敵わないんだから…」

「ま、でも念は俺らもヒヨッ子だからお前らと一緒のメニューはこなしてくつもりだから」

「そー、なの?」

「まぁね。戦闘に関してはもう言う事ないけど、念はまだ覚えて間もないからね」

「ってな訳で、2人とも腕立て200回」

「えーー!?」

「くそっ」

早速腕立てをし始めた2人。

え、まさか終わるの待たなきゃいけなって事?

マジで…?

「でも、マサドラに着けばスペルカードが買えるね」

「嗚呼…でも金を何とかしねーとな」

「ほら、無駄口叩いてると3時間じゃ着かないわよ!」

マジで待たなきゃいけないらしい。





200回の腕立てが終わり、足を進めると途中にある村に差しかかった。

「村ってか、キャンプみたいだな」

キョロキョロと辺りを見渡すゴンとキルア。
村の家の中を覗きみていた。

人の気配か全くない。

「此の村、無人だぜ?」

「…うん」

「2人とも早くしなさい!」

村を抜け、湖が見えてきた。
其の湖を水辺に沿って進み、暫く走った先にマサドラを見つけた。

「あ、アレだ!」

何とも奇妙な色をした球体が所々に浮かんでいたり建物にくっついてたり。

マサドラに到着したそうそう、ビスケは俺たちを置いてちょっと用事があるとかで、1人何処かへ消えて行った。

「来たそうそう此れかよ…全く何処うろついてるんだか」

「何処行ったんだろうね…ビスケ」

「女だからじゃね?」

「あーなる程な」

「え、何が?」

「…どうゆう意味?」

流石にキルアは分かったと思ったのに、まだまだ子供だな。

「おまたせ!」

帰ってきたビスケ。
ツインテールの片方をビノールトに切られてしまったから、美容室に行ったんじゃないかと思ってた。

案の定、現れたビスケはツインテールだったのをポニーテールにして戻ってきた。

年は年でも観てくれは気にするもんだよな。
誰だってそうだろうし。

「ビスケ其の髪!」

「どう?イメージチェンジしてみたの!」

「うん、凄く似合ってる!」

「ババアが色気づいてどうすんだ…」

「(此のガキ!まぁ今日は気分がいいから許してあげる)」

ビスケとも合流し、漸くスペルカード補充出来る。
町の中を歩く俺たちは、ショップを見つけるのに辺りをキョロキョロと見渡していた。

「スペルカード何処で売ってるんだろ…」

「ショップが見当たらねーな…」

「ちょっとアンタたち。そんな事よりデパート探して、デパート」

デパート行って何するつもりだ…?

「…デパート?」

「何買うの?」

「ふふ、ヒミツ!」

俺も鹿丸もビスケが考えてる事はさっぱり分からない。
一応、後を追ってみる。

「結構広いな…」

「人も多いし、迷いそう…」

中に入り、ゴンとキルアはスペルカードについて赤白の服着た白髭のジジイに話を聞いていた。

どうやらスペルカードも此のデパートの中に売ってるらしい。

「サンキュー」

「ありがとう」

「ビスケは?」

「え?あ、彼処!」

何やら1人真剣な表情でカードと睨めっこしているのを見つけた。

「スペルカードの売り場が分かったよ」

「そう。で、アンタたち疲れてない?」

「「全然」」

「なら、さっきの岩石地帯まで戻るわよ」

「「Σえーーー!?」」

此処に来た意味って何だったんだ…。

「俺らも?」

「当然」

「メンドクセェ…」

此れも修行の1つって?
 

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