イベントと見極め

 
【ゴンside】

「思ったより付いてくるなぁ…」

「うん、俺たち結構飛ばしてるよね…?」

後ろにいる女の子が、息1つ乱さないで付いてきてる事にかなり吃驚してるんだ。

まぁ、鳴門たちには敵わないけど…。
あの2人は早すぎるよ。

「(基礎体力は中々のものだね。餓鬼の割にはだけど)」

「「Σっ」」

気配を察知した俺たちは立ち止まった。
森の木の幹から姿を現したのは、トレードショップのオジサンが言ってた山賊。

「「やるか!」」

「頑張れよ」

「俺ら見とくから」

「(参加しないのかい?あの2人は…)」

俺とキルアが構えた瞬間、山賊は飛びかかってきた…と思ったのに…

「助けて下さい!お願いします!!」

綺麗に2列に並んだ山賊は土下座をしていた。
しかも、何かゴホゴホ咳込んでもいるし…。






山賊の住処にやってきた俺たち。
とある家に入ると其処には俺たちくらいの小さな子供が布団の中で苦しそうにしていた。

「島の風土病です…ゴホゴホっ!
微熱から始まり徐々に高熱になって…対処法は薬で熱を抑えるしかありません…しかし!薬の効き目は一週間…!」

何とかしてあげられないのかな…?

「此れもゲームの設定だぞ…」

「あ、そっか…」

「バカ」

「アホ」

だって本当に現実世界の人たちみたいなんだもん…。

「何とかお金を恵んではくれないでしょうか!」

山賊の奥さんらしき人がワンワン泣きながらそう言った。

「此れもゲーム語、なの?」

「まぁな。金くれたらお得なアイテムか情報提供しますよって事だな」

「えっと…いくらくらいあれば…?」

情報くらいは欲しい、かな。

「村中かき集めたんですが、14万ジェニー足りなくて…!」

「ほぼ有り金全部、だよね…」

「多分、事前にこっちの経済状況分かってんな…つか、なんてアイツもいるんだよ…」

何時の間にか、あの女の子も付いてきてたみたいで、部屋の隅にちょこんと座っていた。

「あのぉ、私8万ジェニーなら何とかだ…」

「あーもう、いいからちょっと黙っててくれる!?」

キルアもそんな言い方しなくても…。

「(此奴、殺す!!)」

「ププっ…!」

鳴門が笑って…?
何か可笑しい事でもあったのかな?

「気にすんな」

「え?あ、うん…分かりました、14万ジェニーお渡しします」

「ありがとうございます!」

「いやぁ、いいんですよ。気にしないで下さい。
(何かお宝か情報よこせ!)」

「ぅ…寒いよぉ…」

「しっかりしろー!親切な旅のお方がお金をくれたぞ!明日には薬が手に入る!」

「…寒いよぉ…」

アレ、何か嫌な予感がするのは俺だけ…?

「あーーー!何て事だー!
此の侭体が冷えてしまったら此の子は今夜中に死んでしまうーっ!」

「丁度いい子供服があれば…」

チラリと見られた。

「アハハ…」

やっぱり…。







子供服を恵んで光線を浴びた俺たち。
アイテムか情報を求めたんだけど、何もなくイラついてるキルアと鳴門がいた。

「本当に身包み剥がされたね…」

「何で俺らまで!!」

「そんなん言ってっけど其の服どーしたんだよ!」

一緒に服あげた筈なのに、鳴門と鹿丸は違う服を着てる。

「着替え、鞄の中に入れてたんだよ」

「ずりー!」

「準備してないお前らが悪いっての」

「はぁ…服はないわ一気に一文無しになるわ…散々だな。
ま、山を降りれば漸く怪物が出るからな」

「うん、どんどん倒してカード化してトレードショップで売ればお金は貯まってくし!
いよいよ本格的なバトルが開始する訳だね!」

「お手並み拝見させてもらうぜ?」

「そっちそこ!修行の成果を見せてもらうよ!」

因みに鳴門と鹿丸の念能力も気になる所だけど、2人は中々見せてはくれないだろうな…。

ケチだから。←

森を抜けると、今度は岩石地帯が広がっていた。
緑が1つもない荒れた場所。

「怪物もそうだけど、他のプレイヤーの不意打ちにも気を付けないとな」

崖を降りて

「行くぜ!」

「おー!」

気合いを入れた瞬間だった。
大きな岩石の隙間から此れまた大きな怪物が数体現れた!

「いきなり出たー!」

振り下ろす棍棒を避けて、向かってくるパンチも避ける。

「いきなり出てきた怪物のレベルが此れかよ!」

俺は拳に念を込めて、1つ目の怪物の顔にパンチをお見舞いした。

其れなのにびくともしなくて反撃で棍棒が向かってくるのを避けた。

風圧で此れだけなら、直接当たったらヤバいかもっ!

「アホかお前ら」

「こんなのに手こずっててどーすんだよ」

何時の間にか、鳴門と鹿丸は怪物をやっつけていた。

「ちゃんとよく見ろ。攻撃すんのパターンだから」

「因みに弱点は目」

倒した怪物がカード化して、其れをヒラヒラ仰いでいた。

「くっそー!彼奴らマジムカつく!!」

「目だね!分かった!」

俺たちを見つめる影が1つ。
崖の上にいた女の子だった。

俺とキルアは気付いてなかった。
怪物を捕まえるのに必死だったから。

「ふぅん、うごきには無駄が多いけど中々だね。
あっちの2人は、もう完璧だわさ。
念も使わずしてあの洞察力とスピード申し分なし」

カード化限度枚数がマックスになった。
カード化されない怪物が其処らじゅうに倒れてる。

「一つ目巨人は入手難度Gか。見かけ倒しだな」

「カードから戻っちゃったしね…」

「其々弱点とパターンが設定されてある。其れをちゃんと冷静に判断し、理図目で処理しろ」

「見た目に惑わかされんな」

そうは言っても、あんな短時間で其れか解っちゃう鳴門たちと同じレベルになるにはどれだけ時間がかかると思ってるのかな…。

「よし、此の調子でマサドラ目指すぞ。
次からは俺たち何も言わねぇから」

「自力で頑張れよ」

「キルア、頑張ろうね!」

「おう」

そう言って鳴門たちが消えた瞬間、岩石と岩石の間から、大きな怪物が現れた!

「「…うわーっ!」」


【鳴門side】

逃げ回る2人を見て溜息が出た。

「アホだ…」
「アホがいる…」

岩石の上で見守りつつ、怪物倒してアイテムゲットと思ってたのに。

「ふふ。さぁて、どうするつもり?」

岩石の上に座り、2人を見つめる女。

「無理だよ。あんなの何処攻撃したってビクともしねーじゃん」

「弱点の設定とかなかったのかな…?」

「偶々一つ目巨人にはあったのかもな。
ランクGだし。さっきのトカゲはランクAと見た!」

「(ランクAねぇ…)さてと」

女が動きを見せた。
先回りして、さっきのトカゲを見極め、カード化。

「(ブッブー、ランクはEでした)」

蛇みたいなトカゲみたいなの、さっきの一つ目巨人と同じにただデカいだけ。

「(やっぱりまだ青っちぃわ)」

よく見れば背中にあるだろうが。
黒子を庇う微妙な動きをしてるって事。

「なぁ、鹿」

「ん?」

「あの女、やっぱ強いよ」

「見定めてんな、俺らの事。いや、ゴンとキルアか」

「相当な手練れだぜ、きっと」

其れから、ゴンたちは出くわす怪物に手を焼いていた。

観察力も行動力もスピードもてんでダメ。
此奴ら本当にあの2人か?と疑いたいものだった。

「(折角いい目持ってるのに、宝の持ち腐れじゃないのよ!)」

「ま、あんなんばっかりだと早くマサドラに着きそうだな」

「うん」

「(馬鹿言うんじゃないよ!急に強くて素早いの出たらどうすんだ!)」

ゴンとキルアの後を追う女の顔には、少しずつ苛立ちが現れていた。

そして…。

「馬、だよね?一応…」

馬のような体と大きく丸い開いた口、そして尻尾は箒みたいなフサフサの毛がついていた。

其の怪物は、大きな丸い開いた口から赤と白の透明なシャボンを大量に吐き出し、フサフサの尻尾を振りゴンとキルアに向けてシャボンを飛ばしてきた。

白いシャボンは触れた瞬間、爆音と爆風を放った。
逆に赤の方は触れても何ともならない。
だが、其の赤は岩に当たった瞬間、白と同じように爆音と爆風を放つ。

「絶か…」

「素早く絶の入れ替えするなら捕まえられそうだな。
つーか、シャボン避けて行けばよくね?」

まぁ俺らはそうだけどな。
問題はあの2人だろ。

此れをどう修行つけるかが問題だな…。
 

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