オークションと念能力

 
パクノダが死んだ後、クラピカは不明の熱に侵されていた。
死者の怨念だろうか?いや、でも殺ったのは鹿丸だし…。
クラピカの念で死んだと思ったんたろうか?
よく分からんな。

一応、医療忍術で熱は下げられたが未だ眠った状態が続いた。
センリツに頼み、俺たちはオークション会場へ足を運んでいた。

オークション前日。
カシミールサファイアなどを競りにかけるべく、支配人に何とかして出させてもらえるよう取り次いでいた。

保証書はなかったが、此れ程のカシミールなら保証書がなくても大丈夫だと言って。
驚く事に、其のカシミール全て競りにかけると10億程値上がり、どっかの金持ち夫人の手に渡った。

「いらっしゃいませ。オークションに参加の方ですね?
カードと登録されたお名前をどうぞ」

「渦巻鳴門だ」

受付のショートヘアーの女にカードを渡した。

「入場料で1200万ジェニーとはな…」

「…利子とか付かないよね…?」

「付けて欲しいのか?」

「無理無理無理!!」

ゴンとキルアの入場料を俺が立て替えた。
ま、あれからまた稼いだし、400億以上は通帳に入ってるからな。

「お、何だお前らも来てたのか?」

「「Σっ!!」」

ホールに向かうと、其処には正装した眉なしと片言の男がいた。
ゴンとキルアは視線に入れた瞬間、入口へダッシュ。
眉なしが其れを先回りして逃げ道を塞ぐ。

別に逃げなくてもいいのに…。

「逃げなくても、誰も取って食いやしねーよ」

「…身構えなくてもいいネ。私たちただオークション楽しみに来ただけヨ」

「…パクノダさん、は?」

「彼奴は死んだよ」

「え…」

「…じゃあな」

敵だった筈の女に、お前は何故そんな顔をしてる?
悲しみにも似た表情をしてる。

「…行くぞ、ゴン」

「うん…」







「本日はようこそお出で下さいました!」

オークションが開始された。
珍品ばかりのオークションで、恐竜の糞の化石とか…集めようとする奴いんの?
そえは思ったけどやっぱりマニアはいるもんだな。

「続きまして、幻のゲームと言われるグリードアイランドでございます。
10億ジェニーから」

大体のサインは分かった。
10億から始まったオークションもどんどん値上がりし、とうとう250億になった。

「…300億」

指でサインを出す俺に、ゴンが慌てて声を上げた。

「ちょっと鳴門!?」

「お前、そんな金持ってんのか!?」

「持ってるけど」

「「何時の間に!?」」

「おっと、307億出ました!」

爺…。
バッテラとか言う金持ちの爺さん。
殆どのグリードアイランドを所持していて、ゴール間近と言われてる。

此処で競うのは金の無駄だな…。
ゲームを買ってハンターを雇いゴールさせる人間に賞金を出してるんだったよな。

「いい事思い付いた」

「…グリードアイランドについてか?」

「嗚呼」

金払うよりもらった方がいいだろ?

グリードアイランドはバッテラの出した307億で落札。
そして、会場を出ていくバッテラの後ろを追った。

「最後の50億はもったいなかったですね」

「いいんだよ、此れで。私は此れの為ならいくらだって払うよ」

ロビーのソファに座るバッテラの爺さんに近付き、

「ゲームクリアの手伝い、させてくれない?」

俺はそう言った。

「俺らプロのハンターなんだ」

すると爺さんはいきなり笑い出した。

「すまない、笑ったりして。
ハンター証は持ってるかい?」

「ほら」

証カードを取り出し、見せてやる。

「本物のようだね…驚いた、其の年でプロのハンターとはね」

「俺も狙ってたんだぜ?其れ。
知り合いの親父が作ったゲームでさ、其の知り合いが親父を探してる。
其の中で何かを見つけられるかもしれないからって」

「君は其の人の為に金をバラまくのか?」

「300くらいすぐ集まる」

実際、旅団捕まえて360億の儲けだったし。

「手伝いをしてもらうのは構わないよ。
だが、グリードアイランドは命が失われるかもしれない…分かっているのかい?」

「命?そんなの、とうの昔から落とす覚悟はしてる」

物心ついた時から俺は死を間近に見てる人間だ。
何時死んでも可笑しくない状況の中生きてきた俺に、そんな脅しは効かないよ。

「仕方ない。では、今度開かれる選考会に来るといい。だが、自分の念の能力を見つけてからおいで。
でないと本当に死ぬ。君たちのような若い蕾を早々になくさない為にも」
















あの後、面接の場所と日時を教えてもらい俺たちはクラピカの元に戻った。
また熱がぶり返してきたらしく、クラピカはかなり魘(うな)されていた。

「クラピカは私が見てるわ。何かやる事があるんでしょ?」

「あー、まぁな」

心音ですぐ変化を捉える。
本当、すげーよな!俺も早く考えねぇと…。

とは言っても、能力ねぇ…。

「いよいよ本決めだな」

「そうだな…」

ゴンとキルアは早速、爺さんの横にいたツェズゲラと言う男を納得させられるだけの能力を考えると、其々部屋にこもってしまう。

「神化系か…」

「全部使えるってのは、メインを決めちまえば色んなのが試せるって事だよな?」

色んなの…?

そうだよな、何も1つ1つ決めなくてもメインの能力を決めればいいんだ。


“マスター、どうか私を使って…”


「…!!」

「…?いいの思い付いたか?」

今、声が聞こえた…。
低くもなく高くもない。

「いや、何でもないよ」


“マスター…”


やっぱり聞こえる。

「鹿ももう決まったのか?」

「内緒」

「…其の様子だと決まったんだ」

「つー事で、クラピカの所にいるから」

鹿丸が部屋から出ていく。


“私を使って…”


「…使ってってどーゆう意味だよ」

聞こえてくる声に苦笑い。

俺のイメージはもう決まってる。
人型で、白と黒って感じのイメージ。
光と闇、かな?

其れを作り出すには、具現化と操作だな。

「よし!やってみるか!」

大体のイメージか膨らんだ。
目を閉じて、其のイメージを形にしてみる…。


“マスター、ありがとう…”


ありがとう…?
どうゆう意味か分からず、目を開けると其処には俺のイメージ通りの人型がいた

キラキラと輝く反面、深く暗い色も持ち合わせてる。まるで、光と闇みたい。
黒い包帯で目は隠れ、見えるのは鼻と口のみ。
髪は金色で襟足が太腿まである其れを黒い包帯で結っている。
長い爪は真っ黒なマニキュアが塗られていた。

黒い生地の着物で足元に行くに連れ、白になっていく。
其の足元に流水紋と赤い花が刺繍されている。

「完璧だな!」

すると、人型がすぅと指を立て、念で文字を作り出した。

〈私を使ってくれてありがとうございます〉

「…さっきの、声の奴?」

此奴、自分の意志があるのか?
其れに念も…?

〈マスター、私は一度死んだ人間の魂。
此の地にまた返り咲きたいと思って彷徨っていました…〉

「お前、死んでんの…?」

〈魂だけとなりましたが…マスターのお陰でまた此の地に足を付ける事が出来て嬉しく思っています〉

にっこりと笑う其の人型。

「魂を固定出来るもんなのか…?
いや、でも現に出来てるみたいだけど…俺、何かしたっけか?」

〈マスターには特殊な力を感じます…
私がこうして此の念の人形に入れたのも其のお陰だと思います〉

特殊?チャクラか?九尾か?神化系か?
よく分かんねぇな…。

「お前さ、俺が能力発動しなきゃ出て来れないって事なのか?」

〈私は何時もマスターの傍にいます…
なので、ご心配いりません♪〉

今度、ウィングに連絡して聞いてみっか…。

「お前の名前は?」

一応いるだろ?
其れに、一度死んだ人間で名前は付いてただろうし…。

〈マスターがお決めになって下さい〉

「…じゃあ、光と闇(アンダーグラウ)ってのはどうだ?
長いから呼ぶ時はグラウでいい?」

〈!!〉

「…?どうした?」

〈…いえ、マスターがお呼びになられるのなら私は何でも嬉しく思います。
(生きていた頃の私の名前…グラウ…此れも、何か運命の導きなのでしょうか…)〉

「所で、グラウは女?男?」

〈……………秘密です♪〉

女顔っちゃ女顔なんだけどな…。
胸はないし…あの声はどっちともとれるよな…。

「ま、どっちでもいいか!」

自分の意志があるなら其れも朱羅みたいで楽しみがあるよな。
会話出来るし。
何より、鹿丸が羨ましいとずっと思ってたんだよ!←

「久しぶりなんだろ?だったら、少し外歩いてみるか?」

〈…いいのですか?〉

「構わないよ」

あまりにグラウが嬉しそうな顔してたから。
いや、実際は口で判断したんだけど。

俺の能力の形となったグラウ。
きっと、そんじょそこらの能力とは違う。
此れからそうしていく。

俺しか出来ない能力を。
 

[ 28/43 ]
[*prev] [next#]
[しおりを挟む]
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -