呪念と蜘蛛

 
クラピカと合流が出来た。

打倒蜘蛛だったクラピカの顔から、怒が消えていた。

ついさっきの事らしい。
マフィアのボスどもが旅団によって殺され、仇を討つべくマフィアたちが殺し屋に依頼をしたのだとか。

其れにより、蜘蛛全員が死んだんだと。

腑に落ちねぇな。
たかがマフィアが雇った殺し屋に、殺れる程の奴らだったか?

クラピカも呆気なく終わった復讐に、何処か表情が暗い。

「旅団、がねぇ…」

「彼奴らがそんな簡単にくたばるかっての…何かしらのトリック使ったんだきっと」

キルアの言う通り、俺もそう思う。

「だが、私は此の目でちゃんと…!」

ーピピピピピ…

突然、クラピカの携帯が鳴り響く。
そして、中身を見た瞬間、クラピカの目か大きく開いた。

「死体は、フェイク…!?」

「クラピカ!?何処行くの!?」

「待てって!クラピカ!」

ピエロモドキからの連絡だった。
旅団の死体だと思われたモノは全て偽物だった。
其れを証明させるのは、ピエロモドキの目的。
コンタクトを取っていると言ったのがそもそもの証拠になるだろう。

「奴らは流星街の出身だ」

「其れは本当か!クラピカ!?」

「流星街…?」

幻影旅団の出身地が社会的存在してはいない場所だと、クラピカが言った。
政府め関与出来ない空白の場所。
ゴミを放棄し、其のゴミで1千万近くの人間が暮らしている。
中にはゴミと表し武器や貴金属を与える連中がいるのだとか。

其れがマフィアンコミニティ。

「待って!でも、どうして…?」

「旅団とマフィアは深い関わりなのだが、旅団が異質過ぎたのか…」

クラピカに闘士が湧いてきたのだろう。
先ほどとは打って変わって、復讐の炎を静かに燃やしていた。

「俺たちも手伝うよ」

「ゴン!」

「だって、クラピカは仲間だよ?」

「…命懸けでもか?」

「うん」

「分かった…」

俺たちはもうクラピカの念の能力を知っている。
蜘蛛にしか使わないと決める事で倍増した能力。
しかし、其れを蜘蛛以外に使用すればクラピカの命はない。

制約と契約とルール。
其れが念能力に置ける威力を発揮させる事が出来ると言う。

「私の念は蜘蛛に通用するだけの力がある。いや、蜘蛛だからこそ使えると言ってもいいな」

其れ程までに旅団を…。

「其処まで覚悟してるなら、文句はねぇな」

「嗚呼。俺たちも一肌脱いでやるよ」

「…其れは心強いな」
















決行の時がきた。
作戦は俺とクラピカだけが知っている。
ゴンやキルアや鹿丸には話してない。

話したとして、きっと無茶すると思ったから。

ターゲットはパクノダのみ。
パクノダのあの念能力は厄介だ。

「パクノダの顔は分かるか?」

『もち』

アジトの場所は分かるからと、監視と報告はキルアが名乗り出た。

『してやられたぜ。ビルが密集してやがる』

「恐らく具現化系の能力者だろう」

『後ろから声が聞こえたらって思うとちょー心臓バクバクしてんの』

「声、か…キルア一端予定の場所に戻ってくれ。5分後かけなおす」

クラピカは電話を切ると違う所にかけ直した。
かけた相手はセンリツ。
嗚呼、声がヒントとなったな。
キルアと合流させるようだ。

其れからもちょこちょこ連絡を取り合い、向かっている場所が段々と判明してくる。
其の方向にはクラピカの仲間が滞在するホテルがある。

「駅前だ。もう少し近付いた方がよくないか…?」

「ダメだ!此れ以上近付くと私の敵意に相手が気付く恐れがある」

駅までざっと200mくらいか…?

「此処から駅までが私の攻撃範囲だ。
ゴン、1秒でいい…」

「いや俺が行く」

「ううん、俺に行かせて?」

「…死ぬなよ」

「分かってる……!」

奴らがきた。
ゆっくりと階段を上がってくる其の様は隙も与えてはくれない。

「ホテルへ向かうつもりか…?」

そして、奴らは走り出した。

「(は、早い!)」

「クラピカ?其の仲間って死んだりしたら嫌?」

「何を…当たり前な事を…」

「特徴は?」

「色黒で…多分、犬が近くに…」

「なら俺と鹿で助けてくるから」

「絶対動くなよ?」

匂いで分かるだろ。

素早く印を結び、暗部装束へ変化した。

「あー!!」

「キルアには内緒だぞ?」

フードを深く被り、俺と鹿丸は車を下りた。
念の為分身を作り出してクラピカたちを見張らせる。

「行くぞ、翔赫」

「御意」

あのくらいのスピードなんて、早いうちには入らない。
奴らを捉えるのに、5秒とかからなかった。

気配は消してある。オマケに絶状態。
気付かれるなんて有り得ない。

「翔赫、先回りしろ」

「では、後程」

俺たちはスピードを上げた。
雨の中、鹿丸はもう一つのクラピカの匂いと犬の匂いを追っていった…。

「クラピカとゴンの奴…動くなっていったのに」

分身の報告で分かった2人の行動に溜息をついた。
俺はいい。気付かれる心配はないから。

問題は2人。

「付けられてるな」

ほら、やっぱり気付かれてるし。

「え?ウソ、追うのに必死で気付かなかった…」

「鎖野郎かな…?」

「パクノダ、コルトピ、ノブナガは前に。残りの俺たちは後ろの…」

ザザッとスピードを殺し、振り返った。
逆さ十字のリーダーと、マチとシズク。
シズクは既にデメちゃんを手にしていた。

2人も其れに気付き、咄嗟に身を隠したのはよかった。

「見えたか?」

「影だけ」

「ゴミ箱に1人、路地に1人…」

「鎖野郎かな?」

「凝を怠るな」

流石にリーダーなだけある。
瞬時に頭で考え、言葉にして行動する。

中々やるな。
其れにしてもあの2人には困ったもんだよ。

ゆっくりと近付いてくる3人。すると…

「ごめんなさい、もう追っかけてりさしないから!」

ゴンが3人の前に出て両手を上げた。

「アンタ…」

「例の子供か?」

「其処の路地にもう1人いるだろ?
隠れてないで出てきな」

ゆっくりと出てきたのはキルアだった。
追い付いたからよかったもんを…。

「何の用だい?もうアタシらに賞金かけてるマフィアはもういないよ」

「Σえ、本当!?」

「黒ずくめが全部持ってっちまったからね…!」

「黒ずくめ…あ!あの変な面被った奴?」

変な面とは何だ。変な面とは。

「どうする?団長」

「…捕まえろ」

逆さ十字がそう言った瞬間、2人には早すぎるスピードでマチにより瞬時に捕らえられていた。

「「Σっ!?」」

「此処で始末しといた方がいいんじゃない?」

「お前のカンがあるからな。どっかで鎖野郎と繋がりがあるかもしれないからまだ生かしておく」

「あんまり信用されてもね…」

さて、どうしようかな。
助ける?其れとも、見守る?

「ねぇ、1つ聞いてもいい?どうして関わりのない人を殺せるの?」

「白旗を上げた割には敵意満々な顔だな…
何故だろうな…関係ないからじゃないか?んー、改めて問われると返しがたいな…」

此奴、名前何だったっけ。
クロロでよかったっけか?

クロロが言った言葉は俺も同感だ。
関係ないから、其奴が死のうがどうでもいいんだ。
だって、人間なんて所詮はそうゆう生き物。
殆どが自分がよければいいなんて思ってる。

だけどな、此奴らは違う。
クラピカの後ろに降り立った。

「クラピカ、3秒くれてやる」

「…鳴門?」

「レオリオに連絡しておけ」

「分かった」

レオリオに連絡を入れ終わるのを待ってから、俺はマチの後ろに移動した。

「Σっ!」

「マチ!」

「…誰だ」

奴らが俺の姿を確認出来たのは、刀を首に押し付けた状態で。

「黒ずくめって呼ばれてるけど?」

「ノブナガたちが言ってた男か…」

「女、子供たちを離してもらうぜ?」

「団長…」

「離してやれ…!!」

「「Σ団長!!」」

路地から見えない鎖がクロロの体に巻きついた。

ージャラジャラ…

今更凝をした所で意味がない。
そして、クロロは路地に引き摺られていった。

「…行け」

「恩にきる!」

「な…黒ずくめさんありがとう!」

馬鹿ゴン。今鳴門っていいかけたな…。

2人を行かせれば、追おうとする旅団。

「おっと、お前らは此処で大人しくしときな」

「やっぱりグルだったのかい!」

「其処をどいて!」

「早死にするよ?」

殺気を向けると、顔を強張せる2人。

「心配するな。殺しはしないさ…」

多分な。
 

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