マフィアと取引

 
「1人20億だからな」

「分かっている」

「お前もちゃんと連れて来ないと金は払わねーぞ」

「安心しろ。お望み通り生きた侭連れて来てやる」

「其の言葉、二言はないだろうな…?」

「当たり前だ」

俺は暗部装束の身を包み、マフィアのボスどもと顔を合わせていた。

もちろん旅団の引き渡しについて。

折角、幻影旅団と接触したのに俺とした事が腹減って忘れてるなんてな。
其れを悔やんでの行動だった。

俺は1人、情報源であるマフィアを探し出し交渉に出た。
マフィアは見た目などは気にしないようで、すぐ交渉に応じてくれたよ。

殺さず、生きた侭の状態で連れてこい。
其れがマフィアたちか望んだ条件。

「5人以上連れてきたら倍払ってやる」

「アンタこそ、二言はねぇだろうな?」

「嗚呼」

ヨークシンの街中にあるデカいビルに連れてくればいいと言われ、俺は幻影旅団のメンバーがいる場所へ気配を辿りながら足早に向かったんだ。



何時かのアジト。
中に入り、旅団の前に姿を晒した。

「お前はあの時の黒ずくめ!」

「何しに来やがった!」

「1、2、3………何だ9人しかいないのか」

5人以上で倍か。
360億にはなるからいっか。

「何しに来たの?」

「返答次第では…」

生きて帰さないって?

「お兄さんたち、1人20億の値が付いてんの知ってる?」

「だから何だ」

「捕まえさせてよ」

此れは俺なりの謙虚な気持ちだった。
本来ならサッと捕まえてパッと売り渡すのが俺なんだけどさ?
常識としてね?あまりにも有無言わせずは可哀想かと思って。

「どうしても金がいるんだよ。欲しいのがあってさ」

「君、面白い事言うね!」

「私たちを捕まえるとか、無理だよ」

「…シャル、シズク、見くびるな。此奴、あの金髪小僧と同じに強いぜ…」

やっぱりノブナガって男は冷静な判断が出来るみたいだ。
あの日、其れを嫌って程知らしめられたもんな。
俺はパクノダって女だったけど、ノブナガは鹿丸に教えられたも同然だろ。

「大人しく捕まってくれない?」

「誰が!」

「う〜ん、仕方ないか」

旅団メンバーたちが戦闘体制に入った。

「…」

さて、どう捕まえようかな。

殺すのは惜しいよね。
クラピカの復讐の邪魔しちゃうかもだし、其れは避けなきゃいけない。
其れにマフィアのボスどもが生きた侭って言ってたし。

「どうしようかな…」

「随分余裕だね…」

「負ける筈がないって?」

「かなりの自信ね」

「ぶっ殺す!」

「楽しそう…☆」

「其の面剥ぎ取ってやるよ」

「アナタも運が悪かったわ」

運が悪いのはアンタらだよ。
あんな大金をチラツかされたら、金に変えない馬鹿はいないだろ?
弱い奴なら兎も角、俺は違う。

捕まえるのは簡単だからサッサと受け渡して金にしたい。

「殺さないから安心しな」

印を組み、術を発動させた。



















約束のビルに旅団たちを連れてきた俺。
とある部屋の中、俺はまたマフィアのボスどもと顔を合わせていた。

マフィアのボスどもが血眼になって探してるから、其れに1人20億だし此の前捕まえそびれちったしな。

「本当に捕まえてくるとはな…」

「若いのに、よくやる」

「俺に不可能なんて文字はない」

計9名。
其の中にあのピエロモドキもいるんだけどね。
彼奴にバレないよう、チャクラ刀は使わずに捕獲してみた。
術に対しての対処法を知らない此奴らを捕らえるなんてかなり楽だった。

でも、結界に閉じ込めようとしたら結構素早くてノブナガしか捕まらなかったけど。
だからチャクラ糸で拘束した幻影旅団メンバーは今、部屋の隅で大人しく座っている。

「おい、黒ずくめ」

「何?」

「此奴らに俺たちを引き渡してどうするつもりだ」

スフィンクスとか言う眉なしの男が静かにそう言った。

「どうしもないさ。俺はただ金が欲しかっただけだし?
後の事は此のオッサンたちが決めると思うよ」

オッサンたちが此奴らを殺す事はきっと無理。
ただの人間だし。
念を使う此奴らにしてみれば赤子同然だろうし。

「連れて来てあげたんだから早くして」

俺は金が入れば其れでいい。

「約束の金は振り込んだ」

「どれどれ…ん、360億ちゃんとあるな

携帯から預金通帳の残高を確認してから、俺は旅団に視線を向けた。

「此れで俺の目的は終わった。
俺もう帰っていいだろ?」

「嗚呼、ご苦労だったな」

チャクラ糸を外してやれば急に動けるようになった旅団たちはゆっくりと立ち上がった。

「やっと動ける…」

「覚悟しやがれ、黒ずくめ!」

「ぶっ殺す!」

其の顔はもう怒りに満ちていた。

「おい!どうゆう事だ!」
「約束が違うじゃねーか!」
「裏切ったな!」

「え?俺、連れて来るとしか言ってないけど?」

クスクス笑ってやればマフィアのボスどもの顔に焦りが見えた。

「お前ら!やっちまえ!」

「死ね!」

幻影旅団のメンバーに刀と銃で向かってくマフィアたちに笑ってしまった。
アホだ。

「じゃ、まったねぇ」

手をヒラヒラと振り、俺は其の場から消え去った。

「待て黒ずくめ!」

「絶対殺す…!」

「邪魔だよアンタたち」

「此処が何処か分かって…」

「煩せぇんだよ!」

「私たちが用があるのはあの黒ずくめネ。お前らじゃないヨ」

「シャル、頼んだわ」

「了解!」
















後々、マフィアのボスどもが幻影旅団により全滅したとか言う情報が入ってきた。

幻影旅団が暴れた所為かビルごと大破したらしい。
そして、狐やら狐面やら黒ずくめやら叫んでいたとか何とか。

「狐面の黒ずくめ…?」

「あ!あの時の!」

昨日の今日だから覚えてて同然か…。

「彼奴!旅団捕まえて金に変えたのか!?」

「先越されちゃったね…」

鹿丸の視線を感じた。

「楽しんで来たのか?」

「捕まえただけだって。戦ってはないよ」

「金は?」

「360億」

「マジで?」

「マジ」

こっそりと内緒話感覚で話している俺たちに気付かず、ゴンとキルアはニュースになってるTVに釘付けだった。

「後はグリードアイランドを競り落とすだけだけど、問題はグリードアイランドを狙ってる奴らがどんだけいるかだな」

「今回のオークション、其のグリードアイランドっての7本出るらしいぜ?」

「7本ね…何とか一本手に入れたい所だな…」

もう少し金を集めないと駄目か。

「此れを売る時が来たか」

何時か海に潜った時に見つけたカシミールサファイア。
希少価値が高いし、今殆ど出回ってない宝石だからな。

鑑定書付きじゃなきゃ信用ないだろうし、オークション当日までに色々準備してかねぇとな!
 

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