メンバーと勧誘

 
幻影旅団のアジトに到着した俺たちを囲うようにして、廃墟の建物の中に入っていく。

「アジトへようこそ」

パクノダが扉を開けると、其処には他の旅団のメンバーが勢揃いしていた。

其の中に、あのピエロモドキがいた…。
だからクラピカに旅団の情報を与えられた訳か。

しかし、どうして此処にピエロモドキがいるんだってのはもう抜きにしよう。
此処は知らないフリしてた方がいいかもな。

そう思い俺はピエロモドキから視線を外した。

「(知らんプリ…)」

ピエロモドキも其のつもりらしい。
此れで何事もなく過ごして…

「あ!」

声を上げたのはゴンだった…。

あの馬鹿…。

「知り合いでもいるの?」

「あ!昨日の女!」

機転が利くキルアが腕相撲に挑戦的してきた女を覚えていて、其奴を見て指を指す。

「え?アタシ?」

「昨日、あのガキと腕相撲して負けたネ」

「右手でやったからだろ」

「何で?アタシが負ける訳ないじゃん。
其れにアタシ左利きだよ?」

「シズクは忘れた事は一生思い出さないヨ」

「悪い、俺の勘違いだった」

「でしょ?」

どんな頭してんだあの女。

「へぇ、お前シズクに勝ったのか」

ノブナガと言われた長い黒髪の男が、ゴンに目を向ける。
そして、長い髪を1つに結った。

「俺と勝負しろ」

「待て」

声を上げたのは俺。
ゴンにこんな所で怪我をしてもらっちゃ困る。

「俺が相手になる」

「(面白い…)いいだろ」

此処で幻影旅団のメンバーがどのくらいか力量を計ってても損はない。

緑のテーブルに俺はノブナガと手を組む。

「レディ、ゴー」

合図が終わった瞬間、ちょっと力を入れてみる。

「…中々やるな」

「…」

2割程度じゃやや俺の方が不利だな。

ーバンッ

「…」

「「Σっ!」」

「お前、強いな…」

「アンタが弱いんじゃないの?」

勝ったのは俺。
4割程度の力で勝てるなら他のメンバーも大した事はなさそうだな。

「なぁ、旅団の中で俺は何番目に腕相撲強いんだっけ?」

「旅団の中じゃ7、8番目じゃないの?弱くもないし強くもない」

「そっか。一番強かったのがウボーギンって奴でよぉ。
強化系の単細胞だ」

語り出したかと思えば、ノブナガは涙を流してた。
旅団に入る前からの付き合いでかなりの思い入れがあるらしい。

戦闘で彼奴が負ける筈がねぇ!そう泣きながら言っていた。

「鎖野郎を見つけ出して必ず…!」

「血も涙もない奴らかと思ってたけど、仲間の為に泣けるんだな…っ」

腕を押さえられ、テーブルに押し付けられていた。

「お前、調子乗り過ぎネ」

「フェイタン、止めろ」

「私が何しようとしてるか分かるのカ?」

「腕、へし折るんだろ?」

「最初は爪ネ」

「何処でもいい、止めろ」

フェイタンとか言ったっけ?

「…喧嘩するなら此の腕離せ」

「お前、状況が分かってないネ。あまり調子に乗ってると本当に剥がすヨ」

「ほぅ…」

「其処のアンタ、あんまり鳴門を怒らせない方がいいよ」

「…」

キルア、もう遅いから。
フェイタンって奴にちょっとイラっとした。

「Σっ」

片手で印を組み分身を作り、フェイタンに蹴りを食らわせた。
そして、其奴はふっ跳び、大きな音をさせて壁へ激突し土煙を上げていた。

「「Σフェイタン!」」

「ガキが2人!?」

「何時の間に…」

「念能力か!?」

「どうなってやがる…」

分身と並ぶ俺を見て、ノブナガはマジマジと見つめていた。

「此のガキ!」

「やめろフェイタン。お前じゃ此奴にゃ勝てねぇ」

「何だと…私がこんなガキ相手に負ける筈ないネ!」

「今の、ワザと当たったのか?」

「Σっ」

違うよ。
当てるように蹴らせたんだから避けられなくて正解だよ。

もしあれを避けられたなら誉めてあげる。

「俺も見えなかった。
何時其れを出したのかも分からねぇ」

ノブナガとか言う男は冷静だな。

あの攻撃を見切れないなら、戦ったとしても勝敗は分かりきってる。
あのフェイタンとか言う男に、俺が負ける筈もねぇよ。
俺の攻撃が見えるのは鹿丸だけだろうし。

「此奴は、強い」

「当たり前だ。俺が負けるなんて有り得ないっての」

「くっ、はははっ!お前すげー自信だな。気に入った!旅団に入らねーか?」

「…断る。賊の趣味はない」

どうせ上に誰かいるんだろ?

「誰かの下に付くなんざ、死んでもごめんだ」

「本当面白い奴だな!」

気に入られるつもりはなかったんだけどな。
適当にバックレる手筈で大人しくしてたのに。

そう考えていたら、ギュルル、と誰かの腹の虫が鳴り響いた。

「…腹減った…」

どうやら鹿丸だったらしい。

「鹿丸お前はもうちょっと緊張感を持てよ!
つーか其れ今言うべき事か!?珍しく一言も喋らねーと思ったらっ!!」

「飯食ってねぇから減るに決まってんだろ。緊張も何も、鳴だから心配いらねぇよ。
心配しただけ無駄だから…」

そう言えば、此奴ら尾行する前パフェ食べてから何も食ってねぇよな。

「じゃあ帰ろっか」

「どうやって…?」

「まぁまぁ、鹿」

「嗚呼」

分身を消すと俺はゴンの前に鹿丸はキルアの前に瞬身で移動した。

「ヒュ〜…」

「瞬間移動みたい」

「どんな仕組みなの…」

「有り得ないわ…」

「オーラは感じられないが…」

「興味深いね」

そして、俺と鹿丸はゴンたちを抱えた。

「じゃ、帰るわ」

そう言ってアジトを抜け出した。

「消えた…」
「ますます面白れぇ!」
「何だろうね、あの能力…」
「あのガキが鬼とでるか邪とでるか…」
「どっちにしろ、団長には報告しねーとな」

まぁ、また何処かで会うかも知れないし、其の時は暗部用の格好で会えばいいか。






宿泊してたホテルに戻り、腹を満たした。

「其れにしてもよく無事だったな…」

「鳴門と鹿丸がいたから…見つかった時は死ぬかと思った…」

「…ゴン?」

「…」

アジトから一言も喋らないゴン。
気になって声をかけてみた。

「鳴門と鹿丸とは次元が違うって実感した…」

何を考えてるかと思ったら…。

「そんなの当たり前だろ?
同じだったらこっちがビックリするわ。
お前は極普通…とも言えないけど、ミトさんに愛情いっぱいもらって育ってきたんだ」

元々、世界も違うしな。

「お前は其の侭のゴンでいろ。強くなるのは別。
人間皆一緒なんてねぇから」

顔も性格も職業も、其々違うからこそ世界がなり立つんじゃねぇの?

「お前はお前。俺は俺だ」

顔も性格も職業も全部同じじゃつまんねぇよ。

そう思わねぇか?

「…うん」

納得してねぇ面してんな…全く。

はぁ、と溜息を付いた俺はふと疑問に思った。

「…何か忘れてるような…」

何だったっけ…?

「つーか、本当勿体ねーよな。
彼奴ら1人20億だし、捕まえてたら今頃大金持ちだぜ?俺たち」

「…あーーーーーーーーーーーー!」

「うわっ、何だよ急に大声上げたりして…」

「鳴門…?」

彼奴ら捕まえるの忘れてたー!!!!
クソォ…腹減ってたからすっかり忘れてたし…!!

次会ったら取っ捕まえて売ってやる!←
 

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