賞金と尾行

 
ゴンたちの気配を辿り戻ってきた。

「ただ今」

「鳴門!」

「何処行ってたんだよ」

「ゴンが本気出してた女、いたろ?」

「此奴だろ?」

キルアが渡してきた紙には、あの3人の他に数人顔写真が乗っていた。

「1人20億だとよ」

「…」

20億…?
随分と気前がいいな。

「早く捕まえに行こうよ!」

「アホかお前は。20億も値がついた奴を簡単に捕まえられるとでも思ったか?」

「そうだぞ、こんな値段付けられるって事は相当ヤバい奴らだって事だ」

「此奴ら幻影旅団だ」

俺が其れを口にした瞬間、ゴンたちの顔付きが強張った。

「あの女が仲間と落ち合った。
其れを追った先で集まってた連中皆殺しで証拠や死体全て消していった」

「死体…?どうやって!」

「念能力者って事か…」

流石、キルアは頭の回転が早いな。

「そうだ、此の女の具現化系の能力だ。
掃除機みたいなので全部丸呑み。
此のデカいのは放出系で手からマシンガンみたいに弾をぶっ放す。
威力はかなりのもんがある。
此の男は能力を見せずに終わったよ。

クラピカにも会った」

「クラピカ!?」

「ハンターとしての仕事で来てたらしい。皆殺しされた中に仲間がいたとかいってたな」

先ずは情報収集かな。

「此奴ら捕まえる前に西都に目撃情報求めようか」

1人20億か…。
5人で100億…いい金儲けじゃねぇか。

「…鳴門」

「ん?」

「お前、何か目がキラキラしてんだけど…」

「見間違いだ」

よし!1人残らず取っ捕まえる!
此れで決まりだな。








翌日、情報求めた西都にはかなりの件数が書き込まれていた。

「同じように金目的な輩ばっかだな」

「おい、此れ見ろ」

写真付きの投稿か…。
薄紫髪の女と長い黒髪の男。

「此奴らに決定かな」

善は急げ。
メールのやり取りで場所を教えてもらった。

移動して、電話を鳴らす。

「ありがとな、金は振り込んでおいた。アンタらはもう逃げな」

建物の中で俺たち5人はジュースやパフェを頼んで、普通の客を装った。
そして、表のテラスにいた旅団のメンバーと思しきカップル。

「いいか、よく聞け。
彼奴らが幻影旅団だって事を忘れるな。
並の念能力者じゃないし其れとお前らより戦闘経験も桁外れにあっちの方が上だ」

「尾行は俺と鳴で行く。
レオリオたちは此処で待ってろ」

「いや、レオリオだけ此処で待っててもらう」

「鳴…?」

ゴンとキルアにはいい経験になるだろ。
強い奴を相手にする事がどうゆう事か、其れとスリルと判断も。

「じゃあ、絶で気配消して後追うぞ」

チラリと下を見れば、席を立って移動するカップル。

「レオリオ、また後でな」




屋根伝いに、奴らを追う。

「付けられてんな」

「嗚呼」

ゴンとキルアを前に行かせ少し離れた所で俺たちは2人の様子を伺っていた。

ゴンとキルアの後を追う奴もいる。

ピエロモドキ相手に見せたあの気配の消し方と、集中力を俺はかなり評価してるんだぜ?
キルアは元々暗殺家業で見に付いた独特な気配の消し方。

2人とも、合格点だ。
だが、カップルはゴンたちに気付いてる。
場所までは特定出来なかったようだが、かなり警戒していた。

俺たちがいた木の葉でも使ってたトランシーバーを2人に渡してある。
一見トランシーバーだと気付かない優れものだ。

「人気がなくなってきたな…」

「罠だな」

「だろうな」

「どうする?」

「あの2人は少し楽しむクセがあるからな…。やれる所までやらせてみるか」

危なくなったら助ける方向で。

「俺たちには気付いてねぇな、彼奴ら」

「当たり前だろ?」

俺たちの存在に気付く奴らがいたら誉めてやる。
俺と鹿丸はプロの忍者だぞ?
何年暗部のトップやってきたと思ってる。

「忍者でも気付く奴いねぇのに、念能力者が気付く訳ねぇよ」

「最もだな」

追う内に、俺たち廃墟に辿り着いた。
見晴らしのいい中庭の真ん中にカップルが立ち止まる。
ゴンとキルアはカップルを見渡せる廃墟の中に潜んでいた。

「まただな…全く、詰めが甘い」

俺はゴンの鹿丸はキルアの傍にいた。
そう、何時でも助けられるように。

ーピピピピピ

男の携帯が鳴り、緊張が高まる。

そして、男がキルアを捉えた。
瞬間、ゴンとキルアはダッシュで扉に近付くが他の幻影旅団のメンバーにより阻止されてしまう。

仕方ないか。
鹿丸に心話で暗部用に変化するよう伝え、変化した格好で俺たちはゴンたちの前に顔を出した。

「Σっ…誰!?
(何処から来たの!?気配が全く読めなかった…!)」

「其の子を離してもらおうか」

黒のスーツを着た女の首に刀を押し付ける。
身長も声も変え、匂いも感知出来ないまでに消してある。

ゴンが気付く事はない。

「…Σパクノダ!」

「…おっと、動くなよ?動いた瞬間此の女の首を斬る」

「…っ」

「止めなさい、マチ」

薄紫の女はマチか。

「さぁ、案内してもらおうか」

ゴンとキルアには、いい経験になっただろ。
此れから先は俺たちの仕事だ。

「ゴン!」

「キルア!」

「取り敢えず、二重尾行ご苦労様。
此の子たちは気付いてなかったが、誰かをつける時は心臓の音も消した方がいい」

「胸糞悪い野郎だな…」

「全くだよ。アタシたちが気付かないなんてね」

「俺たちを嗅ぎ回って何が目的だ?」

オーラも桁外れにデカいな。
ゴンとキルアだけじゃ死んでたなきっと。

「マフィアたちがアンタらに莫大な懸賞金をかけてるんだ」

「…」

「此のガキどもと知り合いか?」

「いや、無謀な子供だったからな助けてやろうと思ったんだ」

「取り敢えず、其の刀を下ろしてもらおうか」

「そっちは其の子たちを離してもらうよ」

旅団の2人ともゴンたちを離して、俺たちも刀を下ろした。

「鎖野郎を知ってるか?右手にジャラジャラ付けてる野郎だ」

「生憎、そんな奴は知らないな」

「俺らも知らない」

「パクノダどうだった?」

「嘘は付いてないわ」

何故そう言い切れる?
パクノダとか言う女はゴンを捕まえてたっけ?

「パクノダがいうなら確実だな」

念能力者か。
触っただけで分かる能力か…。

なら、念には念を。

「何捕まってんの?」

「お前らアホか」

「「Σっ!?」」

分身が現れた瞬間、旅団のメンバーが顔を強張せる。

「鳴門!鹿丸!」

「今まで何処行ってたんだよ!」

「え、見てたけど?」

「助けようともしねーで!?」

「煩い。此れで分かったろ?
お前らじゃ此奴ら相手にすんのは100年早いっつーの」

「(黒ずくめといい、此の金髪らといい…)」
「(どうなってんだい…)」
「(此の子たち、強い…!)」
「(面白れぇ…)」

此れで多少は目眩ましにはなるだろ。

「其処のツンツン頭につり目」

「…俺の事?」

「…つり目言うな」

「お前たちの絶は誉めてやる。だけど、後ろの敵にも気付かないのはマイナスだな」

「間抜け」

「「むっ」」

そう言って俺たちは分身と入れ替わるようにして暗部用の方を散らせた。

「「Σ消えた!?」」

「違う、あの窓から出てった」

嘘だけど。←

「其れが分かる鳴門って…」

そして、残った俺たちと旅団メンバー。
さて、どうするかな。

「お前ら、さっきの奴らと知り合いか?」

「いや。知ってるか?」

「メンドクセェ…聞くだけ無駄だろ」

どうやら帰してはくれそうにないらしい。
用意してた車に乗った。

「ねぇ、本当に鎖野郎を知らないの?」

「知らないってば」

「アンタは?」

「俺も知らないって。しつこいぜ?」

パクノダとか言う女は鹿丸にも触れて同じ事を聞いていた。

鎖野郎ね。
きっとクラピカだ。
彼奴、本当に殺したんだなあの露出狂。

俺に触れたらきっと顔が分かるな…。
どーするかな…。

「アンタたち其の鎖野郎と何か因縁でも持ってんの?」

「仲間が其奴にヤられた」

やっぱり殺したか…。
クラピカの念が強力だったって事だな。

「見つけ出してぶっ殺す。其れだけだ」

仲間想いなこった。
血も涙もない幻影旅団さんが、人を殺す事に楽しみさえ感じてる奴らが何を抜かすかね。

ゴンはきっと…

「…」

ほら、怒ってる。
 

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