試しの門と暗殺一家

 
試しの門、1から7の数字が刻まれてある。
1の扉の片方は重さ2トン。
両方で4トン。
上に行くにつれ、其れは倍になる。

「鳴門、お前やってみろよ…」

くったくたのレオリオに言われ、俺もどの扉が開くかちょっと興味が湧いた。

「…」

両手を扉に付け、思い切り押してみる。

ーバンッ!!

「Σな、にぃいいいっ!?」

「こんな事があっていいのか…?」

「鳴門凄い…」

「ゾルディック家に勤めて20年ですが、其のお年で6の扉まで開いた方は初めてです…」

6って事は…128トン?

「くそ、7まで行かなかったか…」

「其処なのか!?」

「悔しがる理由が…」

鹿丸がやっても、6の扉だった。

「鳴門より開き具合が悪かったな…」

「お前もか!」

どうせなら7まで開けたかったんだよ。

「取り敢えず、連絡を入れてみましょう」

俺と鹿丸が開けたからか、ゼブロは執事室へ連絡を取ってくれた。
電話と言う機械は遠くの人間と会話が出来る優れものだった。

すると、ゴンに対しキルアには友だちなんかいないとはっきり断られ、怒っていた。

しかし、俺と鹿丸は違った。
屋敷へ入る事が許可されたんだ。
きっとイルミだ。彼奴、親父に言っとくとか言ってたし。

「ゴン、取り敢えず死ぬなよ?」

分身は傍に置いて、報告はしてもらうけど。

試しの門をまた力いっぱい押して、すぐさま中へ入った。

「…来る」

大きな足音とともに、ゾルディック家の番犬ミケが俺たちの前に現れる。

「グルルル…」

見定めているのか、記憶しているのか分からないが、何故か鹿丸が目の前にいる此のミケに殺気を向け睨んでいた。

「ペットの分際で…」

「鹿………消えろ」

ミケに視線を向け、睨みながらそう言えばミケは逃げるようにして去っていった。

「…鹿、殺しちゃダメだよ。人さまのペットなんだから」

「つい」

朱羅を出してミケに斬りかかる所だった。
折角面白いの見つけたのに殺しちゃダメ。←

家族以外懐かないあの番犬ミケ。
懐かせてやる。てゆーか、服従?

「ゴンたちがあの試しの門を開けられるようになるまでに、奴を手懐けてやる…」

「あーぁ、ミケが可哀想でならねぇよ」

俺が求めるのは絶対服従。
そう、完全なる忠誠心だ。

「楽しみが増えた」

「其れはいいこった…」

呆れたのか鹿丸は溜息をついていた。

執事室へ向かう道、俺たちの前に色黒の女の子が現れた。
丸い赤い球のついた杖のようなモノを持った其の少女。

「鳴門さまと鹿丸さまですね?」

「嗚呼、アンタは?」

「使用人見習いのカナリアと申します。
アナタたちをお迎えに上がりました」

其の少女の後をついて行くと、一軒の家が見えてきた。

そして、其の家の前には黒いスーツを着た男たちがズラリと並んでいた。

「お待ちしておりました」

「(あ〜ぁ、殺気立っちゃって…)」

ゴトーと名乗った其の執事は、俺と鹿丸を執事室の中へ。

そして、ゴトーはポケットからコインを取り出した。

「ゲームをしませんか?」

「…試そうって?」

「まぁそう言わずに」

人差し指で眼鏡を上げるゴトーの表情は既に俺たちを敵としか見ていなかった。

「とんだ狸だな、お前」

「待ち構えてた時から殺気出してさ」

「おや、お気付きとは…しかし、6の扉まで開けるとは流石に驚きました。
キルアさまと同じ年で其の数字の扉を開けた者は誰もいませんでしたからね」

ゴトーって奴は分かってないよな。
自分の今の立場。

ゾルディック家の執事だから、俺たちに牙を向く?

「なぁ、アンタ誰に喧嘩売ってんのか分かってやってんの?」

「ぁあ?」

ガチャリ、と俺と鹿丸の首に剣が突き付けられていた。
化けの皮が剥がれてきたね。

「テメェらは黙って俺たちの言う事を聞いてればいいんだよ…」

「うわ、何其れ。人が大人しくしてれば舐めやがって…お前ら、死にたい?」

「(な、何だ此の子供っ…!空気が重く冷たい…其れに、動く事も出来ないだと…!?)やれ!」

瞬身で俺と鹿丸はゴトーの後ろに回った。
俺はチャクラ刀を、鹿丸は朱羅をゴトーの首に突き付ける。

「Σなっ…!?
(何時移動した!?其れに此の剣を何処に隠し持って…!)」

「移動した事も分からないたかだか人間が、俺らを試そうなんて笑わせる」

「本当に死ぬか?」

そう言った俺たちの前に、イルミが現れた。

「家の執事を殺さないでよ。此れでも役に立ってるんだよ?」

「「イルミさま!」」

此れでも、ね。
首に突き付けた其れを離す。

「やぁ、鳴門。いらっしゃい」

「テメェのお陰で苛々してきたじゃねぇか」

「まぁそう言わずに。親父が会いたがってるから、ついてきなよ」

イルミの父親が?

俺と鹿丸は本邸へ向かった。
何とも凄い家。

薄暗い一本道を抜けると、テーブルも何もない、ソファと椅子が置いてある部屋に付いた。

そして、其の部屋に入る前からビンビン感じる圧に、俺たちは口端を持ち上げていた。

「連れてきたよ、親父」

「ご苦労だったな、イル。もう下がっていいぞ」

流石は暗殺専門のプロ。
気配も匂いも、凡人ではきっと気付かないだろう。

「鳴門と鹿丸とか言ったか?」

「嗚呼、アンタは?」

「シルバだ。そう警戒するな、取って食おうなんざ思っちゃいない」

「そう言うアンタこそ、其の武器出しなよ」

そう言うと、素早い動きで投げてきたナイフ。
俺に向かってくる其れをパシッと鹿丸が素手で捉える。

「ほう、此れを受け取るとはな…
(其れにしても、あの鳴門と言う少年、俺が投げたナイフに気付いていながら微動だにしなかった…
隣の少年が取ると始めから分かっていたのか…
其れに、あのスピードを軽々と…侮れんな)」

「俺たちを舐めてもらっちゃ困る」

「執事といい家の主といい、試すのが本当好きみてぇだな」

「済まなかった。イルが君たちを絶賛していたからな、気になったんだ」

イルミが絶賛…?

だからか、シルバとか言うキルアの親父は、俺たちの腕を買いたいと言ってきた。

「働いた分の金は払う」

「其の条件は飲んでやる。俺たちでよければ手を貸すよ。金もらえるなら万々歳だし?
其の代わりと言っちゃあ何だが、1ヶ月、ゴンたちを黙って見てやってくんね?
出来ればキルアに会わせてやっても欲しいかな」

「キルの友だちだとか言ったゴンって奴らをか?」

取り敢えず此奴に許可取ってたら、ゴンたちの安全は確保したも同然だろうし。

「試しの門開けれるようになればいいんだろ?」

「…分かった。1ヶ月待ってやる」

「ありがとう。あ、其れから…」

「まだ何かあるのか?」

「キルア今何処いんの?」

シルバからキルアの居場所を聞き出し、俺たちは独房へ向かった。





扉を開けると、手枷足枷され鎖て宙ぶらりんなキルアがいた。

「よぉキルア」

「お邪魔してまーす」

独房覗いた挨拶ではないが、スルーして。←

「Σ誰だ!お前ら!」

「…鳴門、鹿丸…何で此処に…」

随分派手にやられてんな…。

「招待されて、今さっきシルバと会ってきた」

「親父と…?」

「ゴンたちも来てるし、ま一応挨拶がてらにな」

其の事を伝えたかっただけ。

安心しなキルア。
ゴンに危険が及ぶようね真似はさせないから。

独房から出れば、其処には一日一殺と書いてある服を着た爺さんがいた。

「アンタ誰」

「ゼノじゃ。お前さんたちの事を聞いての、会いにきたんじゃが…
ふむ、年はキルとあまり変わらんのぉ」

「同い年だったぜ?」

「12だよな?キルアも」

「キルと同い年とは思えんの。よぉ鍛練されとる。
あの子に見習わせたいもんじゃ」

「爺さん、いい目持ってんね…」

「ゼノでよいぞ、特別じゃ」

暗殺一家ってのは飽きないな。

「じゃあ遠慮なく。ミケってさ、ゼノの言う事聞く?」

「ん?聞くが、其れがどうかしたかの?」

「ミケを懐かせたりしたら、面白いかなって思って」

「止めておけ、ミケはワシら以外の者に懐くなど有り得ん。
死にたいなら話は別じゃが」

死ぬ?俺が?其れは絶対ない。
ゼノは絶対に懐かないと思ってるみたい。

「面白い…」

絶対お手させてやる!!←
 

[ 14/43 ]
[*prev] [next#]
[しおりを挟む]
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -