合格と失踪

 
最終試験は3日後、ホテルを貸し切って会場となるらしい。

飛行船の中、四次試験の合格と最終試験の発表を言いに来たネテロ会長たち。

試験の内容は教えてくれず、1つの部屋に11人。
イルミとヒソカは端に座っていて、ゴンたちは何やら最終試験について会議を始めた。

「ズバリ!筆記試験!」

「「Σなっ!?」」

予測なのに何其の焦り方。

「俺此処何年勉強なんてしてねーっ」
「あ、確か此処図書館あったよな!」
「今からでも遅くない!」

立ち上がり、去ってくゴンたちを見つめる俺ら。
アホらし…。

「と、言う推測なん、だが…ま、いいか」

「…なんだ」

やっぱりじゃん。















暫くした後、アナウンスで1人ずつ呼び出されとある部屋に入っていく。

どうやら、最終試験に至っての下調べみたいな調査らしい。
一番最初に呼ばれた俺は其の部屋へ入る。

「お主はどうしてハンターになろうと思ったのか?」

「ハンター証があれば何かと便利そうだったから、其れにヒマだったし」

「(ヒマだったからハンター試験を受けにきたとは、始まって以来の快挙かもしれぬな…悪い意味での…)
では、此の中で一番注目しておる奴はおるかの?」

テーブルの上に並べられた俺以外の写真。

「ん〜、此奴と此奴かな」

ゴンとキルアを指差した。

「どうして?」

「2人がどう此れから乗り越えてくか興味がある」

「(どうゆう意味かの、今のは…)
では、此の中で戦いたくない奴はおるかの?」

「此奴と此奴だけは真面目に無理」

ピエロモドキとイルミ。

「理由は?」

「きっと…」

楽しくなっちまう。
ああゆう、手足れこそ戦って楽しいと思える。

「殺しちゃうよ、俺…だから無理。
俺もタダじゃ済まなそうだしさ、そうなった場合、傷が付くってのは久々だから余計歯止めが効かないってゆーね」

「ワシの前でよくもまぁ易々とそんな言葉を口にしたもんじゃ…
(44番以上に危険人物かの…)」

ガチャリ、と扉を開ければ其処には鹿丸とゴンたちがいた。

「どうだった!?」

「別にどうも…」

次は鹿丸の番。

ピエロモドキ、ポックルと続き全員が終わるまでそう時間はかからなかった。






そして、翌朝到着したのは豪華なホテルだった。
其処を貸し切っての最終試験。
俺たちはガードマンがいる此の広場で待機していると、豆みたいな奴がドラを鳴らし、ネテロ率いる今回の試験官たちがやってきた。

「今回の最終試験は1vs1のトーナメント戦じゃ!」

「筆記試験じゃなかったのかよっ!」
「あの勉強の意味って…」
「…しかも、トーナメントって事は合格者1人…」

「ホーッホッホッホ、勘違いしないように。最終試験のクリア条件はたった1勝である」

不合格になるのはたった1人、って事?

「クラピカの相手が…」

「負けろ!ヒソカを上にあげるんじゃない!!」

「頑張ってね!クラピカ!」

「嗚呼、勝ってみせる」

「いやだから負けろって言ってんのに…」

試験官が見守る中、最終試験が始まった。
第一試合、クラピカvsヒソカ。

ピエロモドキが先に仕掛けた。
一枚のトランプを投げて、クラピカは其れを二本の剣で防御しピエロモドキへ詰め寄る。
しかし、其の弾いた筈のトランプが後ろから迫ってきていたのをクラピカは予想していたのか頭を下げて避け、飛んでくるトランプをピエロモドキは二本の指でキャッチ。

トランプが剣で防ぐ事を見通してたのか、ピエロモドキはクラピカへ負けを宣言した。

そして、クラピカが漸く己の剣に亀裂がはいってる事に気づく。

「…」

戦闘力ではやはりピエロモドキのほうが上だな。
クラピカもまぁまずまずの腕なんだろうけどピエロモドキに勝とうとするなら、其れは無理がある。

攻防を続け、クラピカの反撃で己のトランプがピエロモドキの肩に突き刺さる。
肩に刺さったトランプを抜いたと思えば、ピエロモドキの顔が最早カオスだった。←

「…!!」

そしてピエロモドキがクラピカに近付き、耳元で何かを囁いた。
すると、クラピカの目がまた赤く染まっていた。

「僕の負けでいいよ☆」

何を思ったかピエロモドキが負けを宣言した事により、クラピカハンター試験合格。

休憩を挟んでの、トーナメント再開。
ゴンと半蔵は半蔵の押し負け。
あらゆる拷問の名手だろうが、其れはゴンに通用する筈がなく戦意喪失ってヤツ。
其れでもゴンは納得がいかないと、最早駄々に近い事を言い続けていたら半蔵がキレ、顎へアッパー。
其の後、救護室へ連れてかれたゴン。

ゴンはかなりの頑固者だ。
其れはあの試合を見ていた対戦した奴らがよくわかっていた。

合格を納得させる役にサトツさんが名乗り上げ、試験は続行された。

次は俺とボドロって言う筆記試験とかポロッと言ったヤツの戦いが始まった。

「始め!」

瞬間だった。
俺が瞬身で背後に回り込み、首へ少し重い手刀を食らわすと、バタンと倒れる。

もっと骨のあるヤツとやりたかった…。

鹿丸もポックルとか言うヤツにあっさり勝利。

レオリオはピエロモドキに対して一応頑張ってたけど負け。

キルアはポックルと当たり、つまらない理由から棄権した。

そして…

「始め!」

イルミとキルアの兄弟対決。
キルアが戦闘態勢になった瞬間…

「キル」

「…!」

キルアの顔に、恐怖の色が見えてきた。

「気付かなかったようだね」

顔についた針を全て抜くと、また変形していった。
見るの2回目だけど、キモいしすげーよな。

「…あ、兄貴…」

「母さんとミルキを刺したんだってね?」

「ま、ぁね…」

「母さん泣いてたよ?」

「そら息子に刺されたら…」

レオリオが静かに突っ込みを入れる。

「感激してた」

「あらっ…」

反対の言葉が返ってきて、予想もしてなかった事に盛大にズッコケるレオリオ。

「あの子が立派に成長してて嬉しいってさ」

暗殺一家ってのは、凄いんだな…。

「でもまだ外に出すのは心配だからって其れとなく様子を見てくるように母さんに頼まれたんだ。
だけどさ、奇遇だね?
まさかキルがハンター試験を受験してるなんて」

イルミは次の仕事でハンター証が必要だとか言ってたけど、本当にそうなんだろうか。

キルアの様子を見についでに自分も取っておいて損はないし、な感じたったんじねぇの?

「別に、なりたかった訳じゃないよ…」

「そうか…安心したよ。其れなら心置きなく忠告出来る」

段々とキルアの顔が青ざめていた。
兄と言う存在が、恐怖なのだろう。
いつものあのキルアさは、何処にもなかった。

「キル……お前はハンターには向かないよ。お前の天職は殺し屋なんだから」

動揺さえ隠せない程、怖れてるんだな…。

「お前は熱を持たない闇人形だ」

「(ちがう…)」

「何も欲しがらず、何も望まない」

「(違う…)」

「お前が唯一、喜びを抱くのは、人の死に触れた時…」

「違う!!」

「違わない。何故なら、俺と親父にそう育てられたからだよ、キル」

其れでも、キルアは後へは引かなかった。
欲しいものが、望んだモノがある、と。


“ゴンと、友達になりたい…”


お前はゴンとの時間、どう思って過ごしてきたんだ?

「キルア」

「Σっ…鳴門…?」

「お前はゴンと友達じゃなかったのか?」

「…え…?」

「ゴンはもう、お前と友達だと既に思ってるぞ?」

そう言ったら少しだけ

キルアの顔が綻んで見えた。

俺たちからの目から見ても、もうお前らは友達だよ。

其れでも兄の容赦ない言葉の圧がキルアに注がれた。
ゴンを殺そう、とあっさり言った所を考えたらイルミは余程キルアを大事に間違った方向で溺愛してるらしい。

レオリオのもうダチだろ、と外野からの言葉にイルミもゴンと同様に対象になった。

「俺の…負けで、いい…」

「そうだキル。口煩くして言い続けてきたよな?
敵わなち敵に挑むなって…いい判断だ、キル」

そして、キルアは姿を消した…。
 

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