財宝と置き去り
最後の扉が開き、中へ入ると其処には鹿丸とキルアの姿があった。
「遅せぇよ鳴門」
「悪い、ちょっとアクシデント発生した」
「…」
鹿丸の視線がトンパへ向く。
当たり前だよな。ゴンやクラピカやレオリオが俺たちの進む道を拒む筈もないし。
5人で進まなきゃならなかったから、と理由を話せば鹿丸はクスクスと笑いトンパに向けて
「アンタも命拾いしたな…三次試験が多数決じゃなかったら死んでたぜ?
鳴は我慢や役立たずが一番嫌いだからな」
そう言い放った。
「Σ…っ」
あの囚人たちとの所でこっそり殺せる事めなかったんどけど、彼奴に化けてやるのが物凄く嫌だったから。
「キルア早かったね!」
「嗚呼、鹿丸だけだったし楽勝楽勝」
他にはピエロモドキや顔に何かが刺さってる奴、半蔵など数人がいた。
三次試験も楽勝だったな。
彼奴がいなかったらもっと早くこれたかもだけど…。
残りの時間、ゴンとキルアはスケボーや釣り竿で遊んでて、クラピカとレオリオはまた体力回復か座り込み仮眠を取っていた。
そして、俺と鹿丸は隣同士て座り、壁に背中を預けていた。
「なぁ鳴門」
「ん?」
「アレ決めたか?」
「…すっかり忘れてた」
ネテロ会長にもらうご褒美。
「鹿丸は?決めたの?」
「いや、まだ」
んー…何しよう。
「此処の世界観っつーの?其れがまだ分かってないから何とも言えないし…」
「まぁな…調べないでハンター試験受けに来たし…」
何かしらの情報は欲しい所。
ハンターが何か、どんなモノか、利用出来るのは何か…。
「金は必要だが、会長ケチ臭いしな…」
「好き好んで金渡す奴なんて見た事ねーし」
三次試験終了。
扉が開き、受験者たちが続々と外へ出る。
「諸君、トリックタワー脱出おめでとう。
私が賞金首狩り、試験官のリッポーだ。
次の会場は此れで移動してもらう」
其の男が用意した飛行船へ乗り込み、次の会場へ。
其処は休息の為に立ち寄った船の宿泊施設。
泊まるのに1人1000万ジェニーと言う高額な料金を支払うよう言われたが、俺たちかそんな大金持ってる筈がなかった。
そして、此の船にバナーという婆さんにお金はいっぱい沈んでるとヒントをもらった。
難破船の多い此の島の周りには財宝がたんまりあるらしい。
其の財宝を鑑定してもらい、値段に応じた部屋を割り当てられる。
「キルア!いこう!」
「おう!鳴門たち、どっちが高値になるか競争な!」
そんな言葉を残してキルアたちはさっさと海へと向かっていった。
「…どうする?」
「やるしかねぇだろ…メンドクセェが」
「では、私も探すとするか」
「ガッポリ儲けてやるぜ!」
各々海へ。
「此処らへんにすっか」
ゴンとキルアが左手に、他の奴らも此処から見える位置にいた。
「沖の方が多いかもな」
そう言って、俺と鹿丸は海へ足をつけた。
「おい、ゴン…」
「え、何?って、ええええええ!!」
「「Σ海の上歩いてるしーー!!」」
ゴンの悲鳴にも似た叫び声に、周りにいたヤツららも何か何かと視線が集まった。
「……あ」
「ま、いいんじゃね?二次試験も壁歩いたし」
「そうだな」
気にするだけ無駄か。
取り敢えず財宝を見つけるのが先。
ゴンとキルアは丁度1000万ジェニーの価値を。
クラピカはクルタ族に伝わる秘宝を見つけ、部屋を貸してもらえる事に。
レオリオはまったく価値のない大砲の玉。
そして、俺たちの番がやってきた。
海の中で分身を10体くらい作って探し出しだお宝は全部で30個程。
値段は一番高額の3億ジェニー以上の値がついた。
ダイヤモンド、サファイア、ルビー、エメラルド、其れも希少価値の高いモノばかり集めてみた。
「此の海にピンクダイヤがあるとはね…其れにこっちのはホワイトダイヤとイエローダイヤ…どれも値が張る品物です」
中でも一番驚いてたのは…
「幻と言われるカシミールサファイア…!
本物を此の目でみられる日があるなんて…」
俺も見た時驚いた。
マジで綺麗なんだ此の宝石。
「そんなにすげーの?此の宝石…?」
「カシミールサファイヤの特徴は、もやがかかったような乳白光沢を持つことにあり、そのため彩度の高い柔らかい青色を呈した。
結晶方向に交差する直線状のインクルージョンがその原因で、他に類のない上品な輝きと色調は、ベルベッティ・ブルーとも呼ばれて珍重されたんじゃ。
このサファイヤは、19世紀の終わり頃、大量に産出した時期があって一時代を築いたというが、現在ではほとんど供給がなく、市場ではまずお目にかかれない代物ですよ」
「同じ海に潜ったと思えねぇ…」
「部屋はお貸しします」
宝石も受け取ってはくれなかった。
見れただけで十分と。
「…よし、何時か売ろう」
「持ってたって意味ねぇしな」
かなりの希少価値があるみたいだし、高く売れれば…v
店に持ってっても、此の値段と同じしかつかない。
だから、もっと値が上がるよう競りにかけねぇとな!←
其れからと言うもの、四次試験までの休暇とは何とも胡散臭いと常々思っていた。
ゴンを始めとする受験者たちは其れに気付く筈もなく、のんびり寛いでいる。
そして、其の夜の事だった。
「こんな夜中に散歩か…」
船の中からバナーとジナーが飛行船へ乗り込む姿を見た。
「怪しいとは思ってたけどな…ったくメンドクセェな…」
「此れも試験か…」
「何か企んでんのか?あの爺さん…」
鹿丸が言ったのはネテロ会長の事。
三次試験か終わって、休日の3日間、なんて…。
何処からともなく飛行船の音が聞こえ、ゴンやキルアたちが気付き、外へ出た時には飛行船が空へ飛び立った後。
翌朝、置いてけぼりを食らったゴンたちは船の船首に集まって、ピリピリしてた。
「腹減らね?」
「あー、言われてみれば」
「お前らは緊張感っつーのがないのか!?」
レオリオが何でこんなに怒ってるのかが俺には分からないけど…。
「置いてけぼり食らって此れからどうするかとか!!」
「…其れする前に腹ごしらえは必要だと思うのは俺だけ?」
此の島は海に囲まれた場所。
食べ物は腐る程ある。
「飯作ってやるから、材料取ってこい」
「は?ちょ、お前!」
「仕方ないだろ?作れるの俺しかいねーんだし、其れに今はどうこう言う前に此処をどう抜け出すかの作戦やら立てなきゃいけないってのに、腹減ってたら其れもグダグダになっちまうだろ」
「っ…分かった」
ゴンやキルア、殆どの受験者たちに魚を取ってくるよう言えば、ゴンは分かったー、と元気よく返事したゴンに続き海へ。
「クラピカとレオリオたちは鳥、捕まえて。
巣とか見つけて卵もあったらお願いね」
「其の先の行程が物凄く気にねるが、分かったぜ」
「では行くか」
俺たちといえば料理の準備。
分身を1人置き、船内へ。
厨房を見てみれば米も調味料もある。
「さて、いっちょやるか」
大量の魚と鳥をもって。
「此の鳥、どうすんだ…」
「え、普通に殺して血抜きして内臓取って使うけど?」
そう言えば、一斉に青ざめる受験者たち。
「…食べたくないならいいけど」
「「食べる!!!」」
厨房で料理をし始めた。
鹿丸には鳥の方を頼み、俺は内臓を取った魚をぶつ切りにし鍋の中へ放り込んだ。
「美味しかったね!キルア!」
「嗚呼、初めて食べたもんばっかりだったけど、マジで味かった!」
「料理の才能あるんじゃねーのか?鳴門」
「見習いたいくらいだな」
そんな中、1人だけ…
「鹿、まだ怒ってんの?」
「…」
余っ程、俺が鹿丸以外の奴にましてやこんな大勢に料理を振る舞った事にかなり不機嫌なご様子。
はぁ、と溜息を付いた。
後で機嫌治さないと…。
腹も満たされ、俺たちはグループを作り情報収集に出かけた。
頑張って此処から抜け出さねぇとな。
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