場所を変えた俺は下っぱと顔を合わせた。
ずっと睨んでたよね。
俺の後ろからついてきてる間ずっと。

「此処なら人もいねぇだろ。
で、話って何?」

「昨日、五番隊の死神が死んだ事件の事だ」

あぁ、此奴俺に目をつけたのか…。
褒めてあげるよ。

でもね…?
君は大分大きな間違いをしてるんだ。

「お前が殺したんだろ!
未来から来たとか言って来た瞬間仲間が死ぬなんて可笑しすぎる!!」

「俺がやったって思ってんのか?犯人は自害しただろ」

「中野はそんな事出来る奴じゃない!」

「だけど、彼奴の刀に付着してた血は5人のモノと判明されただろ?
此れが決定的な証拠になったの、アンタだって聞いたのに?」

「そんなの!どうとでも出来る!!俺は絶対に本当の証拠を掴んでやるからな!」

そう思って其奴は走り去った。

「馬鹿だな…」

ふふ、と笑った俺はパチン、と指を鳴らした。

「お呼びでしょうか?一護さま」

「どうした一護」

魂魄が呼んできたウルキオラとグリムジョー。
此の2人に来てもらったのには、ちょっと意味があってね。

「頼みたい事があるんだけど」

「一護さまのお申し付けとあらば何なりと」

「暴れていいならやってやるぜ」

正反対の2人の言葉に笑いながらも、俺はある事を伝えた。
2人を呼んだ理由じゃない別件だけど。






















―バァン!!

「?」

五番隊執務室の扉が勢いよく開いたと思うと、

「いっち〜v」
「一護〜v」
「仕事中にすいません」
「失礼します、藍染隊長」

女性死神協会のメンバーがいた。

「皆揃って何かあったのか?」

「女性死神協会開催、恒例のお花見の知らせに参りました」

「いっちーも来るよね!?」

「飲み放題よ〜v」

「参加される方は記入して下さい」

渡された書類を持って、惣右介の元へ。

「藍染さんも雛森もどうする?」

「偶には参加もいいね」

「私は遠慮しておきます」

「じゃあ、俺と藍染さんは参加、と」

記入欄に名前を書いて書類を返す。

「では、今夜の7時に花見会場にお越し下さい」

「分かったよ」

女性死神協会の皆は頭を下げ、執務室を出て行った。

「藍染隊長、此の書類は…」

「ああ、其れは6番隊に届けるヤツだよ」

「私行ってきます」

「すまないね」

「いえ」

執務室を出てく雛森。
扉が閉まると同時に指を鳴らした。

「ウル、今夜決行だよ。ターゲットは1人、分かってるよね?」

「はい、もちろん」

「夜になったら呼ぶから」

「…」

頭を下げ、ウルキオラは姿を消した。

「惣右介ちょっと協力お願いね?」

「私は何をしたらいいのかい?」

「花見の席で、俺を口説いてくれればいいよ」

そう言ったら惣右介は一瞬だけ目を丸くし、クスクスと笑う。

「そんな事ならお安いご用だよ」

「ちゃんと口説いてよ?」

「空回りしないよう頑張るさ」


























五番隊宿舎の中。
ウルキオラとグリムジョーを連れて、ドアを開けた。

「…副隊長?」

「どうなさったんですか?」

中にいたのは4人。

「君たちには用はないんだ。
あるのは、こっち」

「な、何しに来た!」

其奴は俺を睨んでた。
目を細めてゆっくりと近付いた。

「君たちはちょっと寝ててもらうよ」

トン、と額を軽く突くとバタンと倒れ、残りの1人は一緒に来てもらおうか。

「さぁ、始めようかv」

拒否権?何其れ。
そんなのある訳ないでしょ?

パチンと指を鳴らし、2人の腕に腕輪を填めた。

「ショータイムをさ…」





















「狽ョぁっ!!」

「やめろ!!」

日が落ちた暗闇の中、不敵に笑う俺がいた。
昼間に俺を呼び出した奴の目の前で、刀を振る。

バタンと倒れる死神。

「…ぅ…う゛っ」

真っ赤な血が地面に広がるのを見て、其奴は目を見開いてる。

「まだ死んでないよ。そんなに睨むなって」

クスクス笑って倒れた其奴の太股に刀を突き刺した。

「あ゛ぁぁっ!!」

「ほら死んでないv」

其奴には見えないウルキオラとグリムジョーが押さえ付けているから身動き1つ出来ない侭、ただ見てるだけ。

霊圧を完全に消せるアイテムを2人は付けてある。
だから、此奴にはウルキオラやグリムジョーの事が見えてる訳で。

「虚みたいな奴と連るんで!
尸魂界に何しにきたんだっ
何がしたいんだお前はっ!!」

「未来から来たってのは本当の事。
死神代行ってのも本当の事。
何がしたい、ねぇ。
強いて言えば今を楽しみたい、かな?」

「楽しみたい、だと…?仲間を殺しておいて…!
何が楽しみたいだ!!」

「俺はまだ殺してないよ?
ほら、此奴はまだ生きてる」

突き刺した侭の刀を引き抜いた。

「くっ…!」

「まぁどうせ殺すけどv」

そう言って俺は心臓目掛けて刀を振り下ろす。

「ぁ……あ……」

「き、貴様ぁあ!!」

すぐに引き抜くとまた広がる赤。
段々と息が途絶えていく中、俺は拘束した其奴に目を向ける。

「余計な詮索って必要と思う?
別に俺は詮索されたって構わないんだよ?
でもね?実際に困るのはどっちかな…v」

目を細めて、ゆっくりと近付いた。

「また明日、ね?」




















酒を交わす場所。
ライトアップされた桜を見ながらどんちゃん騒ぎする死神たち。

俺は今まで其処に座ってた偽の俺と入れ替わり、惣右介の隣に座った。

お帰り

ただ今

小さく交わした声は、どんちゃん騒ぎしてる死神たちの声により掻き消された。

「ほら一護くん、飲んで」

「あ、はい…」

渡された盃に注がれた酒。

「あっれ〜??一護ぉ〜、まだ飲み足りないんじゃない??
藍染隊長に口説かれたからって遠慮しなくてもいいのよ!
じゃんじゃん飲みなさいよ〜v」

酔っ払った乱菊さんがデカい盃を持って千鳥足になって近付いてくる。

「って、」

「「狽ヲえぇえ!?」」
「「口説かれた!?」」

一斉に俺を見る死神たちの目に炎が見えた。

「藍染隊長そんなに手が早かったんですか!?」
「うわぁ先越されちゃったよ俺!」
「皆黒崎副隊長の事狙ってたんですよ…」
「あんなに元気よく俺たちに笑ってくれる副隊長なんていなかったんですから!」

「「僕(俺)の女神さまだったのに!!!!」」

此奴ら馬鹿だ…。

そんなのはお構い無しに乱菊さんが其のデカい盃を俺の前に置いて、どんどん酒を注ぎ出した。

「ちょ、俺そんなに飲めないってば!」

「何言ってんのよ!アンタ男なら決める時はビシッと決めんのよ!!」

理不尽な事言うなよ!

「一護くん、ヒック…乱菊さんに捕まった…ヒック…ら終わりだよ//」

吉良まで…。

「ほら、飲みなさい!此のアタシが注いだ酒が飲めないって言わないわよね…」

「の、飲みます!(汗)」

「そうこなくっちゃv」

ガシッと掴み、覚悟を決めた。

そして、

「一気一気一気一気一気!!」

ゴクゴクと飲み、大量に注がれた酒を全て飲み干した。

「っ…此れでどうだ!//」

「まだまだよ〜v」

「狽ヲえっ!?//」

はい次はい次、と注がれ飲み干した俺を見ながら惣右介は横でクスクスと笑っていた。
何回連続で飲まされたか定かじゃないけど、もう既にベロンベロンに酔っ払っていた。

酒は昔から苦手なモノ。
慣れない、そんなんじゃなかった。

「一護くん、大丈夫かい?」

「も…飲めな…////」

「だろうね…(汗)」

























頭痛い…。
昨日乱菊さんに飲まされ過ぎた…。

五番隊執務室の中で項垂れていた俺を心配そうに見る惣右介。

「大丈夫かい?」

「聞いてますよ。昨日のお花見で乱菊に飲まされたみたいですね?
二日酔いに効く薬です」

はい、と雛森が水の入ったコップと其れを目の前に置いてくれた。

「有り難う、雛森…」

ダルい体を動かして、薬を飲んだ。
此れで少しはダルさが取れたらいいけど…。

「雛森くん此れを九番隊に届けてくれないかい?」

「分かりました」

書類を受け取り執務室を出ていく雛森を見て、惣右介は席を立つ。

「本当に大丈夫かい?」

「薬飲んだから大丈夫だと思う…」

「水、まだいるかい?」

「いる〜」

持ってきてくれた水を一口喉に通す。

「昨日の彼、どうなってるだろうね」

「昨日の今日で動きがないなら、まだ壊れてないかも。
何時まで保つか、遊んでやろうと思ってんの」

昨日はまだお遊び。
昨日から始まったんだ、彼奴を地獄へ落とすお遊びがさ…。

「証拠なんて1つも残してやんない。
死神のクセに俺を睨んで…いい度胸してるよね?
そんな愚か者は身を持って知ればいいの…」

「彼も可哀想に。一護に目を付けられたら終わりだと言う事を、まだ知らないなんてね」

刻々と少しずつ。
一歩ずつ地獄に向かってるなんて、知らないんだろうね…。

まだ許してやんない。
彼奴が壊れたら、許してあげるかもね。






















昼過ぎるとダルさも抜け、調子を取り戻しつつあった。

そして、今。
昨日の彼奴を、流魂街で見つけて笑みを零す。

「狽チ……」

彼奴も俺を見つけて、目を見開きすぐ反らす。

あぁ、まだ壊れてない。

足早に俺の横を通り過ぎようとするからちょっとイタズラしてやろうと口を開く。

昨日は楽しかった?

「狽チ!?」

クスクスと笑って、通り過ぎる。

きっと、俺の背中を睨んでるんだろうね。
其れが何時まで続くかな…v
























月の明かりを浴びて、彼奴と俺とウルとグリ。

「一護さま、連れて参りました」

「有り難うウルv」

「誰でもよかったんだろ?」

「うん、グリも有り難うねv」

彼奴と他1人の腕に填められた銀の腕輪。

「また、殺すのか…!」

「そうだけど?」

「其の人は死神でもないだろっ!!」

「だから?」

グリムジョーが連れてきたのは流魂街の住人の男。

ウルの刀を抜いた。

「今日はアンタが殺そうか」

「狽ネっ!?」

「昨日と同じじゃつまんないでしょ?」

ウルキオラとグリムジョーが拘束を解く。
そして、俺が握ってた刀を其奴に握らせる。

「ど、どうして…!?」

其奴の耳元にそっと囁いた。

「さぁ、獲物は目の前にいるよ」

カタカタと震え始めた其奴はゆっくりと男に近付いた。

「あんまり焦らすと可哀想だからスパッと、首跳ねちゃおうか…v」

「いや、だ…!!動くな…やめろぉぉおお!!!!」

―ブシュッ…

見事に体と首を切り離された男の首はコトンと落ちて転がり、其奴は力なく地面に座り込んだ。

「どう?スッキリしたでしょ?」

「……………」

あれ、と思って顔を覗き込むと其奴は泣いていた。

「俺が、殺した…」

「……そうだよ、アンタが殺した」

「俺が…此の手、で…」

あれ、壊れ始めたかな。
でもまだ許してやんない。

完全に壊れるまで…。
 

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