夕食を食べ終わり、其れから隊長部屋の中にあるお風呂(勝手に付けた)に惣右介と一緒に入浴中。
惣右介に凭れかかってて、

「一護…」

「な、ン…」

そしたらいきなり耳元に囁かれ、体の奥底から甘い疼きが沸き上がってきた。

「夜になったけど?」

「ぁ…耳元で、喋っちゃ…!」

まぁ何、未来では忙しくて惣右介に触るヒマもなく、所謂欲求不満な訳で。

凭れかかってた体を起こし、惣右介の方を向き首に腕を回した。

取り敢えず誤っておこうか…。

ゴメンね、過去の俺…。

































朝起きたらもうかなりスッキリしてた。

「お早う、一護」

「お早う惣右介」

こうやって目覚めた時に惣右介が目の前にいるのは本当に気分がいい。

「さぁ、今日は手合いの日だよ」

「誰が相手かな…ま、誰だろうと関係ないけどね」

寝ていた布団から抜け出し、死覇装に腕を通していたら、襖が開いた。

「おや、一護ちゃんも一緒やったんや」

「ギン、どうしたの?」

「今日は手合い日やろ?僕見に行くからなv」

「見に来ても勝敗はもう決まってるよギン」

「分かってますて、僕が一護ちゃんを見たいだけや。
3年後の一護ちゃんやで!?そら見なアカンやん!!」

や、見ても変わらないって。
……多分。

「私も結構楽しみにしていたんだよ?」

「惣右介も…?」

意外だな。
勝敗はもう決まってる、とか言ってたのに。

あ、そっか。
3年後の俺と過去の俺の実力が違うから…。

「さ、朝飯食いに行こかv」

「そうだね」

























朝食を食べ終わりやってきたのは手合い会場。
其処には既に隊長、副隊長、他の死神も集まっていた。

「ギン、俺の体預かってて」

「任しときv」

死神代行証を自分の体に押し付け、死神の姿になった。
背中にはどデカい斬魄刀。

「死神代行の黒崎 一護、前へ出よ」

「俺の相手は誰?」

「相手は…六番隊副隊長、阿散井」

恋次か…。
ん、まぁまぁか。
手抜いても瞬殺だろうけど、此処は本当にかなり手を抜かないとな。

「よろしくな、未来からきた死神さんよぉ」

「おう、よろしくな恋次」

「噂通りに名前も知ってるみたいだな…」

「其りゃ、未来ではお前らと一緒にいるしな」

刀を握り、恋次に向けた。

「本気でこいよ?」

「言われなくても」

恋次も刀を抜いた。

「其れでは、始め!」

言葉と同時に俺は恋次に斬りかかった。

―キィィン…

「瞬歩も使えんのかテメェ…」

「其れだけじゃねぇよ?
破道の三十一、赤火砲」

―ズドォン!!

「マジかよ、破道も使えんのか!?」

「恋次は苦手なんだよな、縛道や破道は」

クスクス笑ってやると、恋次の額には青筋が浮かび上がっていた。

「テメェ…本当に未来から来たようだな…」

「卍解もまだ、取得してないんだよな」

「っ…ウルセェ!
テメェはどうなんだよ、卍解!」

「俺は出来るぜ?」

そう言った瞬間、観客席からはどよめき声が立ち始めた。

未来からきた死神代行な俺。
死神になってまだ半年にも満たない。
そんな俺が卍解出来るって聞いたら其りゃ驚くか。

「卍解を会得するには…」

「うん、結構長い時間が必要なんだよね。
知ってるよ?でも、時間は関係ねぇ。
強くなりたいって自分が思えばいい、そしたら斬魄刀も其れに答えてくれるさ」

「ムカつく野郎だが、いい事聞いたぜ。
さぁ、手合いの続きだ!吠えろ猿蛇丸!!」





「有り難う御座いました…」

勝者はもちろん俺。

「有り難う御座いました」

「見事であった、死神代行黒崎 一護とやら。
お主、帰る術は知っておるのか?」

「いいや知らねぇ」

「ならば帰るまでの間、我が護挺十三番隊の副隊長にならぬか?」

そんなこんなで話は進み、副隊長が在籍してない部隊が5つあった。

もちろん俺が選ぶのは惣介の所だけど。

「五番隊にする。昨日、世話になってるし?
また違う所行くよか気が休まるし」

「うむ、では黒崎 一護を五番隊副隊長と任命する」

こうして、俺は五番隊の副隊長と任命された。
未来に帰るまでだけど。

「一護ちゃん此れ、どないする?」

「あ、忘れてた…」























「一護、其れは?」

「ザエルアポロ特製、俺専用の魂魄(笑)」

「一護ちゃん専用の?」

俺の体に魂魄を入り込ませた。
普通の魂魄じゃない。
念の為に常日頃常備してる、俺専用の魂魄だ。

「前にね、魂魄を入り込ませた時があったんだけどね…惣右介がキレそうになって」

仮にも、其の体は義骸だが俺が入ってる義骸に変な魂魄を入れるなんてもっての他、なんて惣右介が言い出して…。
ザエルアポロに頼んでね。

其の魂魄がコンじゃなかったらよかったんだがな。

またも義骸は特注の特注品で、魂魄が入れ替わると姿形までもが変わってしまう優れもの。

「聞こえる?」

「はい、セルフィさま」

「今は一護ね。此れ付けてたら俺たちにしか見えないから」

またまたザエルアポロが作ったブレスレット。
此れを付けてると死神には見えない優れもの。

其れを魂魄に渡した。

「俺が呼ぶまでどっかで待機してて」

「御意」

頭を下げ、魂魄は姿を消した。
此れで心配はいらなくなったね。

「ザエルアポロもよくこないなもん作ったもんや…」

「未来では色々とあるんだよ」

色々とね…。

「未来ではもう僕ら此処におらへんのやろ?」

「まぁね、でも詳しくは言わないよ。
前から知ってたら面白くないでしょ?」

「そうだね。では此の話は此れで…
今日は、大事な仕事があるんだ」

「大事な?」

首を傾げると惣右介はクスリ、と笑った。

「そう、大事な、ね…」

「ほな藍染隊長、また後で」

「嗚呼」

ギンは部屋から出ていった。

「今日の夜何するの?」

「ちょっとね、お灸を据えてあげなきゃいけない奴がいてね…」

俺たちの計画の賛同者だった奴が、今になって怖じ気付いたとか?
其れか計画の一部始終を知られてしまったとか?

後者はきっと確率はかなり低いだろうけど。

「面白そうだね…v」

決めた!
俺も一緒に同行する!!←






















そして、夜。

惣右介と一緒にこっそりと宿舎を抜け出して、ある場所に向かっていた。
ギンと要とも合流して。

瀞霊廷内の深い深い森の中。
約束の相手は既に其処にいた。

「藍染隊長…」

「待たせて悪かったね」

「いえ」

「惣右介」

俺が言葉を発すると其奴は目を見開いた。

「未来から来た…死神代行が何で…」

「紹介しよう。我々の頂点におられる方だ」

「…!?」

俺の名前を惣右介から聞いてたのか、名前を聞いた瞬間に片膝を付いて頭を下げた。

「セルフィさまとは存じず、申し訳ありません!」

「で、何したの?」

「情報を漏らしてね…」

「狽チ!?」

「イケない子だねぇ…」

目を細めて彼を見ると、目を見開き冷や汗を流している。

「誰に漏らしたの?」

「す、すいません…酒の席で同僚5人に…」

5人か…。

「もちろん、始末出来るよね?」

「煤cで、でもっ」

「出来るよね…」

刀を其奴の首に押し当てる。

「狽チ」

「自分の失態でしょ?なら、自分の手でしなきゃ」

「…御意!!」

頭を下げ、其奴は此の場から去る。

「一護さま」

「どうしたの?要」

「先程の者の処分は如何なさいましょう」

「まだ。ちゃんと始末出来るか出来ないか、見定めてからね」

そして、パチンと指を鳴らす。
義骸が姿を現した。

「お呼びで?一護さま」

「虚夜宮に一度帰って今現在の説明してきてくれる?
其れと、グリとウル連れてきて」

「御意」

闇に消えた義骸に目を細める俺。

「何を考えるんだい?」

「ナ・イ・ショ・♪」

「一護ちゃんはホンマ、悪巧み考える時はよぉそないに早く頭が働くなv」

「悪巧みじゃなくてサブシナリオだよ。メインじゃなくあくまでもサブ」

クスクスと笑い、夜空を見上げる。
綺麗なまん丸の月。
光が俺たちを照らしていて、何とも今日に相応しい月。

「綺麗な月」

「そうだね、見事な満月だ」

満月の夜は、何かが起こる前触れ…。



























次の日…。

「隊長!!大変です!!」

宿舎の惣右介の部屋に駆け込んできた雛森三席。

「どうしたんだい?雛森くん」

「ご、五番隊に所属の5人が死体で発見されました!!
場所は……」

息を荒くして雛森は伝えると惣右介は雛森を先に現場に向かわせた。
俺とすぐ後を追う、そう告げて。

奥の部屋にいた俺は其れが全部聞こえてて、雛森が去った後、襖を開けた。

「昨日の彼、ちゃんとやれば出来るじゃん」

「そうだね。でも、心はもうボロボロだろうがね」

仲間だった奴を殺すなんて事、死神じゃしないからね。
役に立つ立たないなんて見ればすぐに分かるのに。

そんな奴、いらないでしょ?
斬り捨てたらいいでしょ?

其処が死神の甘い所。
弱い奴は何時まで経っても弱いんだよ。

「さて惣右介、死に顔見に行こうか…v」

「そうだね」

2人でクスクスと笑いながら宿舎を後にした。
























現場に来てみると、人だかりが出来ていた。
他の隊の奴らもわんさかと。

「藍染隊長!」

「雛森くん」

「ひでぇ…誰がこんな事…!」

「其れが…」

雛森が顔を曇らせた。

「犯人見つかったのか!?」

「五番隊の門前で自分の腹を斬って自害しているのを、見つけて…これが傍に」

「藍染隊長、此の度の失態申し訳ありませんでした…
身をもってお詫び申し上げます…か」

耐えられなかったんだ。

そう…。
たかが死神5人殺したくらいで腹斬るとかマジで有り得ないから。
どんだけ精神弱いんだよ。

始末したら許してやろうと思ったのに。

「失態って、何だ?何かヘマでもしたのか?此奴」

「さぁ、僕にはさっぱりだ。
多分5人を殺してしまった罪を悔いたのだろう。
其れを失態と言っても可笑しくはない」

「罪を、悔いた…」

「雛森くん人目が多い早く…―――」

























少しの手向け。

5人と罪人1人の死体。
穴を掘り、魂の入ってない其れを埋める。

「馬鹿だよね…話聞いちゃったから殺されるなんて。
其れに自害って…どんだけだよ」

クスクス笑って。
ゲラゲラ笑って。

「あー、やっぱり要にやらしてた方が面白かったかな…?
次の日同僚5人死んでて、彼奴絶対に心が壊れたかもしれないのに…
ああ、勿体無い…v」

「一護ちゃんてば、ホンマによぉ頭働くわぁv」

手向けの場で、俺たちしかいないから堂々と笑える。

「ああもう楽し過ぎ」
























「黒崎副隊長」

「どうした?」

「ちょっとお話が…」

あの五番隊の死神6人が死んだ日から、1日後の事だった。

其れまでは普通に任務して普通に尸魂界で過ごしている。
そんな時に、呼び出しだ。
しかも其奴は下っぱの死神。

「此処、じゃ無理そうだな。
移動するか」

俺を見る此奴の目。
あまりにも明らさまに睨み付けてて、クルリと軸を変えた瞬間、口端を持ち上げた。

あぁまた面白い事が始まりそうだ、と。




















 

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