あれから100年もの年が過ぎた。

俺、セルフィ・ラ・カルトは虚圏と呼ばれる世界にある虚夜宮に来てから、段々と見た目が変わってきた。

目の回りには少しずつ破れた骨が付き始め、今や目を囲む程にまで。
其れはもう大きくなる事はなかった。
目も、白かった部分は黒くなり、黒かった部分は金色に近い橙色になった。

そして、髪の毛も太股の所まで伸びている。

傍に仕えるネル…とは言っても小さい頃からずっと傍にいたネルは、あの頃と変わりなく、小さい侭で俺にとっては可愛い存在だ。

「セルフィさま〜!」

「ネル?どうしたの?」

小さい体で一生懸命俺に走り寄る姿は本当に可愛いものだ。

「どうしたの?じゃないっス!!また破面1体殺したって!!」

あ〜、あの。

「だってさ、生意気だったんだもん」

「生意気だからって、殺しちゃダメっスよ!!(汗)」

「彼奴はいらない。あんなのよりネル、お前が傍にいればいいのv」

「セルフィさまっ」

ネルを抱き上げて、クスリと笑った。

「惣右介は今何処にいるの?」

「(また話反らされた…)藍染さまは今、現世に行ってるっスよ?」

「着々と準備は進んでるんだね…v」

死神どもを地獄の底に連れていく準備が。

「さて、俺もこうしちゃいられない!」

「な、何をする気っスか!?」

「ナ・イ・シ・ョ♪」

俺だけじっと虚夜宮で時間を潰すなんてつまんないじゃん。

どうせ死神たちを滅ぼすんなら、俺も其のシナリオに加わらせてもらわなきゃね…v


























ザエルアポロに頼んで、霊圧を抑えるモノを作ってもらった。
其れが今、首にぶら下がってる銀色に光るネックレスだ。

此れで霊圧が10分の2に抑える事が出来るらしい。

俺の本当の姿は帰刃(レスレクシオン)と言って、死神の斬魄刀と同じ原理だ。
死神が斬魄刀を卍解する事により、本来の斬魄刀の姿になる。
不愉快だけど斬魄刀の道理と同じで帰刃により、俺は本来の姿に戻る事が出来る。

今の姿は、橙色の髪の毛は短髪で見た目は普通の人間に見える。
始解もしていない状態だ。

今現在、俺は死神代行として敵である死神の中に入り込み色んな事で楽しんでる。

偶にこっそり殺しちゃったりしてる(笑)
バレてないけど。

最初の頃はよかった。
尸魂界に旅禍として来たばっかの時はかなり面白かったんだけどな。
内面的には面白いけど、此処最近は戦闘が少なくなってきてる。

破面との戦闘に備えてだの何だので、個人で腕を上げてるとかそんなのばっかり。

だから、偶に死神殺しちゃったりするんだよ(笑)

「一護」

「狽、ぉっ…ビックリした…脅かすなよ…」

何時ものように押し入れから顔を出したルキア。

「今、尸魂界から連絡が来た。総隊長がお呼びだ」

「山本の爺さんが?俺に何の用だよ…」

「分からぬ…取り敢えず、行ってこい!」

「おい、ちょっと俺私服の侭だぞ!?」

スルーされてルキアに無理矢理尸魂界に送られた。


























尸魂界に着いた瞬間、溜息を付く。

「ったく…てか、死神の姿じゃない格好で来たのって、もしかして初?」

そう考えながらも山本の爺さんに呼ばれたと言う事で、足を動かす。

「一護!」

「お、恋次!」

あの宝玉事件から早くも3ヶ月が過ぎた。
破面との戦闘になったりならなかったり。
毎日あっても構わないんだけど、惣右介がまた慎重に事を進めてるからね。

死神なんて、あっという間に殺せるのに…。

「来てたのか?」

「今来た所だよ。爺さんに呼ばれてるんだ」

「総隊長に…?てか、死覇装じゃねぇのか?」

「まぁ、色々あって。じゃあまた後でな」

「おう」

恋次と別れ、爺さんの元へ。

何で呼ばれたかはまだ知らないけどな。




















扉を開けると其処には格部隊の隊長たちがズラリと並んでいた。

「何だ、皆揃ってんのじゃん」

「よく来たな。黒崎 一護」

「爺さん、何か用か?」

「山爺、一護くんも呼んだのかい?」

「あやつがいたら戦力になるだろう」

「で、俺は何……!?」

突然地響きがして、皆の顔が強張った。

「一護!!」

「え…ぇええ!?」

いきなり捻れた空間が現れ、一瞬で中に引き摺り込まれてしまった。

「黒崎!」
「一護!?」
「黒崎 一護!!」

本当に一瞬の出来事で少しだけパニックに陥った。

え、また惣右介の仕業?
こんな昼間っから?
まぁ、何…
皆が証人なんだけど、拐われたって事にはなってないよな…?
だって、捻れた空間に引きずり込まれただけだしな…。

てか、こんな事考えられるのにパニックに陥ったのか?
いやいや、かなり冷静だな俺(笑)

てか、マジで此れからどうなる訳…?

まぁ何とかなるか…。



























変な空間に引き摺り込まれた俺。
暫くすると、目の前には…

「え、尸魂界?」

変わらない光景。
其れと、集まる人。

「貴様、何奴じゃ…」

え、山本の爺さん?

「俺だよ、黒崎 一護。死神代行の」

そう言って、浮竹さんに貰った代行の証を見せる。

「うむ、本物のようじゃが…」

てか、皆いるじゃん。
否、でも引き摺り込まれる時にいては可笑しい人物もいた…。

「藍染 惣右介…」

「どうして僕の名前を知っているんだい?」

もしかして、此処、過去?
だよな。
だって、惣右介やギンや要が尸魂界にいる訳ないんだし…。

宝玉事件から早くも3ヶ月経ってて、今や惣右介たちとは敵同士な訳だし…。

「み、皆の名前も知ってるよ?」

「じゃあ、僕は?」

「市丸 ギン」

「じゃあ、私は?」

「卯ノ花 烈」

「俺の名前は?」

「日番谷 冬獅郎」

やっぱり過去しか考えらんない…。
こんなに俺の事知らないとか、有り得ないし。

「黒崎 一護と申したな」

「嗚呼」

「お主、儂らの事を知っておるとはどうゆう意味じゃ?」

今日あった事を話してみた。
未来からきた事、其れだけ。

惣右介たちの事を話す筈ないんだけどね(笑)

「じゃあ、3年前か…」

「総隊長、此の者の実力が知りたくはないですか?」

惣右介…。

「うむ、そうじゃな…では明日、誰かと手合わせしてみせよ」

「分かった。出来れば強い奴がいいな」

「?どうしてじゃ?」

「俺もちょっとは強いって思ってっから、強い奴の方が観客側も面白いだろ?」

「うむ」

爺さんからの許可をもらい、明日は隊長格との手合わせが決まった。

そして、明日までの寝床はと言うと…

「こっちだよ」

俺は五番隊を選んだ。
惣右介以外の場所に行く訳ないし。

五番隊の宿舎に到着した。
普通に普段着の侭で来たから、惣右介が着替えを貸してくれるらしい。

惣右介の部屋の中に入るや否や、惣右介は俺を振り返った。

「3年前の惣右介も、ちっとも変わんないね」

「セル…」

本当の名前を言おうとした惣右介の口に人差し指を押し付けた。

「ダメ。今は黒崎 一護」

「本当に、未来から?」

「うん、丁度爺さんから呼び出しくらってさ。隊長たちの目の前で変な空間に引き摺り込まれちゃった(笑)」

もしかして、過去の俺と未来の俺が入れ替わったとか、ないよね…?

ま、其れは其れで面白そうだけど(笑)

「貴方と言う人は…では、此れが着替えです」

「何時ものように、呼んでよ」

「…一護」

「敬語もなし」

上半身裸の俺に惣右介に後ろから抱き締められた。

「3年も経つと、こんなに傷が増えるのかい…?」

「全部治せるけど、敢えてしないだけ」

そう言うと、惣右介は俺の肩にキスを落とす。

「其れは夜までお預けな」

惣右介が死覇装に腕を通してくれて、着替え終わった。

「さて、何もする事ないし五番隊の執務室行きたいな。雛森にも顔見せしなきゃ」

「じゃあ、行こうか」





















五番隊の執務室にやってきた。
扉を開けると、其処には雛森と吉良がいた。

「あ、藍染隊長!
えっと…そちらの方は?」

「未来からきた死神代行の黒崎 一護くんだよ」

「み、未来ですか…」

「よろしくな、雛森に吉良」

「どうして名前…」

「だから言ったろ?未来から来たって」

「今さっきの出来事でね、知らないのも無理はないよ。
明日、彼の実力を総隊長の前で披露するんだが、よかったら雛森くんも吉良くんも見に来るといい。
で、吉良くんはどうして此処に?」

「うちの隊長がまた仕事もせずに…」

「市丸隊長も困ったものだな…」

吉良は頭を下げて、執務室を出ていった。
また探しに行くのかな…。

「今五番隊は副隊長がいなくてね、雛森くんは三席」

「よろしくお願いします」

「こちらこそ!」

確か、惣右介の事信じきってたよね…。
何か分かる気がする。
操りやすそ…。

「雛森くん、後頼んでもいいかい?
瀞霊廷内を案内したいんだ」

「はい」

執務室を出た俺たち。
ゆっくりと肩を並べて歩きながら、四番隊、六番隊、七番隊、八番隊、九番隊、十番隊、十一番隊、十二番隊、十三番隊と顔を出して回った。

中にはよく思われてない奴もいたけど。

五番隊宿舎に戻って来た頃にはもう日が暮れていた。

窓を開けて、夕日が沈んでいく様をじっと見つめると惣右介が近付いてくる。

「一護、疲れたかい?」

「…ちょっとね。其れにしてもさ、白哉のあの興味のなさ…初めて会った時と同じだね。
未来の白哉のが断然絡み易い」

「他の男の話なんて、妬いてしまうよ」

クスクスと笑いながら、抱き締められる。

「思ってもない事言わないの」

「おや、心外だな。私は何時も妬いていたのだよ?」

「誰に?」

「私以外の存在にだよ」

ギンとか要とか?

妬いてくれてる事を知った俺は少し嬉しかったり。

2人して笑い合う。

最近は虚夜宮、現世、尸魂界此の3つの世界を行ったり来たりで、こうやって1日中ずっと一緒にいられるのが滅多にない。
会ったとしても、すぐ帰んなきゃいけなかったり。

「何か、こうして惣右介とゆっくり出来るなんて久しぶり」

「そうだね。一護が未来へ帰るまでは、ずっと一緒にいられるよ」

見つめ合い、触れるだけのキスをした。

「…過去の俺に怒られるかな」

「同じ一護だよ。其れに、私も同じ。こっちの一護も未来に飛んだみたいだからね」

「何で分かるの?」

「1つの世界に同じ人物が2人と存在しない。きっと今頃、虚夜宮では大変な騒ぎになってるかもしれないね」

嗚呼、過去の俺が急にいなくなれば其れはもう大問題だ。
ネルは大泣きしてる…。

「かも、否、そうだろうね」





























 

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