破一護→日

 








あの日の事が頭から離れない。

『黒崎…?』

真夜中のとある場所で見た光景…。
黒崎 一護が死覇装を血の赤い染みを作っていた…。
そして、周りには血を流し倒れている死神たちの姿…。

『黙ってて、ゴメン、ね…?冬獅郎…』

更には…

『藍染…っ!?』

『十番隊の日番谷隊長じゃないかい…
面倒な所を見られてしまったね…一護。どうするかい?』

『どうもしないよ』

元五番隊隊長である藍染惣右介の出現によって、また驚愕した。

『ゴメンね、冬獅郎…行こう惣右介』

『ま、待て黒崎!!』

手を伸ばすと、黒崎と藍染の姿は跡形もなく消えて、真っ暗の中、黒崎に斬られたであろう死神たちが横たわっていた。




















「昨日また殺されたんだってな!」

「あぁ、今度は五番隊の奴らしいぜ?」

「マジかよっ」

「犯人は死神の誰かじゃないかって噂だぞ?」

「うわ、共食いじゃねぇか」

翌朝、昨日の事はもう清霊廷内で其の話で持ち切りだった。

「またあの死神代行が見付けたらしいな」

「あ、あの橙色の…」

黒崎が見付けた…?

どうして、なんだ…。

黒崎が、殺したヤツらを自分で発見した…だと?

其れからまた冬獅郎の頭の中であの映像が流れ出した。

あの黒崎の顔、返り血を浴びてても何故か目が離せずに見惚れていた。
橙に合わそうな赤が、やけに映えて俺の目に映った。

「あ、日番谷隊長!お早う御座います!」

「お早う御座います!!」

「…あぁ」

黒崎も気になるが、何故藍染も一緒にいたんだ…?

藍染は、犯罪者として尸魂界を裏切った奴…。
何でそんな奴と一緒にいるんだ…。























黒崎 一護。
彼奴は年上だとか地位とか関係なく、尸魂界の各隊長や副隊長に馴れ馴れしい奴だと思っていた。

俺を始めとする各隊長副隊長に対して、松本やらはさん付けで…どうゆう差別だコラ。

あの時も、呼び捨てで始まった…。





『冬獅郎!』

『日番谷!隊長だ!』

『冬獅郎って何っ時も堅苦しいよなぁ?』

『煩い。お前が緩み過ぎるんだ』

『そうかぁ?でも、気に入ってる奴の名前は呼び捨てにしたいじゃん?
俺が名前呼びする奴は特別って意味なんだぜ?』

『そうゆうのを緩みだと言ってるんだ』



――気に入ってる奴の名前は呼び捨てにしたいじゃん?

――俺が名前呼びする奴は特別って意味なんだぜ?



「彼奴の事も、名前呼びだったな…」

藍染 惣右介。

黒崎の中で、彼奴は特別なのか…?

「はぁ…何考えてんだ俺は…」

「冬獅郎」

「狽チ!?…く、黒崎…」

いきなり現れた黒崎 一護に驚きを隠す事が出来なかった。

「何処から…」

黒崎の霊圧が全く解らなかった…。

「ん?窓だけど?」

にっこり笑って黒崎は後ろにある窓を指指す。
目をやると、開いた窓から白いカーテンがユラユラと風に吹かれ靡かせている。

「其れよりさ…どうして言わなかったの?」

「…何がだ」

「死神殺しの犯人が俺だって、犯罪者の惣右介と密会してたって」

黒崎から其の話を持ち出すなんて思っていなかった所為か、一瞬、俺は目を見開き、フン、と鼻で笑う。

「俺が言ったとして、信じる奴がいると思うか…?」

「…そっか。そうだよね」

黒崎は尸魂界の救世主は愚か一部には女神とも言われ、崇拝する奴も出てきている。

だから、そんな黒崎が死神殺しに関わっていて、ましてや其の黒崎が藍染と密会なんて話、誰が信じるモノかと。

「何故お前はあんな事してるんだ?」

「もちろん、面白いからだよ」

「面白い、だと…?」

眉間にシワを寄せる。

死神を殺して、其れが面白い…?

「俺はね、命を懸けた戦いが好きなんだv」

「だから、藍染とも関わってるのか…?」

「そうだよ。だって、楽しいじゃん?」

「彼奴は犯罪者なんだぞ?分かって…」

「分かってるから関わってんの」



















数日後…。

此の前のあの出来事があり、だから、今の状況でも冷静に見られる俺がいた。

現世で言う真夜中、空座町の空の上…。

不敵に笑う黒崎 一護。

「其れが今のお前の本心か?」

「本心?って言うか、こっちの方が面白そうだからさ」

藍染の仲間になる、そうゆう意味で黒崎 一護は破面側に立っているんだ。

「そうか…」

「冬獅郎」

俺の名前を言い、ゆっくりと近付いてくる。

「俺はね」

「……」

「嘘は言わないよ」

「…?」

「冬獅郎の事」

「……」

目の前に来て、

「好きだよ」

微笑まれ、手を差し出した。

「………」






















あぁ、そうか。




























差し出された手を、躊躇なく握るなんて、俺も軽い男だと認識した。

今まで尸魂界でやってきた築いてきたモノを、差し出された手を握る事により簡単に崩した自分に笑いが込み上げてきた。























あぁ、そうだったんだな。






















俺も藍染のように






















黒崎 一護と言う男に



















魅入られていたのか……。







End...

ある方に捧げたモノ。

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