藍染←擦一護

 
会いたい…。



会いたい…。



会いたい…。



会いたい…。



思ってはいけない事なのに、どうしても、顔が浮かんでしまう…。



俺にとって敵同士とか関係ないけど…。



こんな感情、捨てられなくて…。



あの人に、会いたい…。














初めて見たのは、朽木 ルキアを助けに尸魂界に行った時だった…。

朽木 ルキアの中にある崩玉を奪って虚側に寝返り死神を裏切った、史上最悪の裏切り者として今や敵である藍染 惣右介だ。

「会いたいなぁ…」

なのに、どうしてこんな感情を持ったのか、分からない…。
気付いたら、一護の中で物凄く気になる存在になっていた。

一護は元々霊力も強いし、自慢ではないがそこそこ強いと認識している。
今まで負けてきたのは、『フリ』をしていただけ。
其れで相手の力量も計れるし、楽しめるから一石二鳥だった。

だが実を言うと、最近は死神側にいても面白くない…と一護は思っていた。

同じ死神同士で戦う事もなくなって、今は何時来るか分からない破面の為に修行だの何だの。

「俺もあっちの方に行こうかなぁ…何か面白そうだし…つーか絶対面白いよなぁ…」

真っ暗な自分の部屋のベッドに寝転んでた一護は、天井を見つめながら小さく呟いた。








学校の授業もつまらなくて上の空。
机に肘を付いて、窓の外をずっと眺めていた。

会いたい…。

―そう思ってる俺って、藍染さんの事好きなのか?
ん〜…どうなんだ俺。
会いたい、は何時も思ってるけど…
別にドキドキとかしないし…つーか、会ってどうしたいんだろ…。
何がしたいんだよ俺は…。良く分かんねぇ。



あまりにつまらなくて、授業にも身が入らなくて一護は仮病を使って帰る事にした。

「まだ傷が痛むのか?」

「そうじゃねぇよ。ちょっと気分が悪いだけ…」

「気を付けて帰るのだぞ」

「嗚呼、分かってる」

ルキアに別れを告げて、学校を出た。
鞄を肩にかけて、家へゆっくりとしたペースで歩いていた。

やはり、頭に浮かぶのはあの人の顔…。

「誰か誘拐してくれないかな…」

「望み通り、お前を誘拐してやる」

突然後ろから聞こえた声に驚いて、一護が後ろを振り向くと、其処には…

「狽、ぉっ?!び、吃驚したぁ…って、ウル…キオラ…?」

「ほう。名を名乗ったつもりはないが…」

「ヤミーって人がウルキオラって呼んでたし?
つーか、何で此処に?霊力感じなかったんだけど…可笑しいなぁ…」

「此れだ」

腕を持ち上げた其処に光る銀の腕輪。

「此れを填めていると、破面にしか見えなくなる」

「へぇ、スゲーな此れ」

何時の間にか一護の腕にも填められていた腕輪をじっくり見ていたら、ウルキオラは一護の顔を覗いてきた。

「死神にならないのか…?」

「…?」

ウルキオラの言った意味が分からない一護は首を傾げた。

「刀を抜かないのか?」

「何で?」

「何で、だと…?」

一護がそう言うと思っていなかったのか、ウルキオラは其れを聞いた瞬間、眉間に紫波を寄せた。

「さっきも言った通り、誘拐して欲しいって言ってんじゃん。
死神側に付いてても、面白くなくなったんだよねぇ…あの人にも会いたいし」

―藍染 惣右介に―

「あの人…?」

一護はウルキオラの手を握った。

「早く連れてってよ…あ〜、でも無理矢理破面に連れ去られたって感じの方が面白いかも…ねぇ、どっちが良い?」

「…変わっているなお前」

ふっ、と笑みを雫したウルキオラに一護も釣られて笑っていた。

「俺が楽しめたら其れで良いんだよ。
ねぇ、どっちが良い?」

「此れは任務だ。選択肢はない」

そう言ってウルキオラは一護を抱き抱えた。

「つーか、お姫さま抱っこって…」

「黙っていろ」

「へーい、わーったよ」

空間に亀裂が走り、其の中にある黒い世界へとウルキオラと一護は入って行った…。





虚圏の世界に着いた。
でもウルキオラは一護を下ろさずに、スタスタと歩いてる。

「ねぇ」

「何だ?」

「下ろしてよ」

「ダメだ」

「自分で歩けるってば」

「其の侭じっとしていろ」

「誰も逃げねぇってば」

「分かっている」

「…重いから…」

「重くない」

―おいコラ、恥ずかしいんだよ。
他の破面たちがウルキオラに抱き抱えられた一護をチラチラと見られていて、恥ずかしさで顔が火照るのが分かる…。

「…もう良い…寝る//」

ウルキオラの肩を枕代わりにして、瞼を閉じた…。

「起こしてね…」

「嗚呼」




玉座に座る藍染の元にやってきたウルキオラ。

「お帰り、ウルキオラ」

「黒崎 一護をお連れしました」

「ご苦労だったね…って、寝ているのかい?」

「はい」

「では、私の部屋に運んでくれ」

「畏まりました」






「此れまたよう寝てはりますなぁ…」

「何か術でも使ったのか?」

「いえ、自ら」

ベッドに横たわらせた一護の寝顔を見つめる4つの視線。

「藍染さま。此の死神、死神側に付いていても面白くないと、言っていました」

「死神側にいても面白くない、か…」

ベッドに腰かけて、藍染は一護の髪の毛を撫でると、

「んぅ…」

身を竦めた。

「中々起きんなぁ一護ちゃん」

「疲れているんじゃないのか?」

「そうかもしれないね」
何時の間にか、違う匂いが鼻につく。
柔らかくて優しい…匂い。

「…んっ…?」

ゆっくり瞳を開けると、今まで見た事のない空間が目に映り、目だけを動かしてみると、会いたかった人物が目に入ってきた。

「お目覚めかな、一護君」

「お早うさん一護ちゃんv」

何処かの部屋のベッドに寝ていた事、今までずっとウルキオラに抱えられていたのに、と言う考えは、今はそんな事関係ない…。
市丸 ギンと東仙 要とウルキオラが其処にいるのも、一護には目に入っていなかった。

「…藍染、惣右介…」

―俺の会いたかった人だ。

ベッドに腰かけていた藍染は、一護を見つめている…。

「…一護くん?」

一護は上半身を起こし、藍染に手を伸ばして抱き着いた。

「一護ちゃん中々やるなぁ…俺らの事、見えてへんのとちゃいます?」

「お邪魔虫は消えるとするか」

「…」

其の3人は藍染に背を向けて、部屋を出て行った。

「どうしたんだい?」

「会いたかった…」

小さく呟いた。
そしたら、藍染はクスクスと笑いながら一護の腰に手を回した。

「私もだよ…君を、永遠に私のモノにしたかったんだ」

―何だろ、此の気持ち…。

「良いよ…俺、藍染さんのモノになったげる…」

―好き、なんだ…。
俺、藍染さんの事、好きだ…。

「一生離さないで…」

「もちろんだよ」

「俺だけ見て…」

「嗚呼」

「藍染さん…好き…」

「愛しているよ、一護」


やっと会えた…



ずっと会いたかった…



だから



傍にいさせて…



アナタの傍に…






End...

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