藍染破一護+日

 
「ねぇ惣右介。俺を連れ去って」

いきなりそう発言したのは、虚夜宮の王である黒崎 一護だった。
そんな一護に藍染は一瞬だけ目を点にし、くすりと笑った。

「どうしたんだい?君が自分からそう言う日がくるなんて、思ってもみなかったよ」

「そや、逆にまだ遊び足りひんのかと思ててんのに」

「どうかなされましたか?一護さま…」

虚夜宮の玉座の間に座る藍染の膝の上に乗る一護。

此の2人の此の格好は何時もの事で。
一護が死神で遊びながら、偶に帰ってくると殆ど藍染の膝の上に座っている。

そして、久しぶりに帰ってきたと思ったら一護からあんな言葉が飛んできた。
今までの一護と言えば、自分の道楽の為に、死神とつるみ破面だと隠しながら其の状況を楽しむような人物な筈なのに、連れ去ってくれだなんて…。

「死神側から観覧するのが飽きたんじゃなくて、偶には違うストーリーを歩んでもいいんじゃないかなって思ってねv」

にっこり笑う一護の頭を一撫で。

「そうだね。偶には違うストーリーも悪くはない。
其れを実行した後は、もちろんずっと此処にいてくれるのだろう?」

「もちろんだよ、何時もの姿にも戻るしさ」
「其れなら協力せなあきませんな(笑)」

「王の仰せの侭に」

ギンはニコリと笑い、東仙は頭を下げた。

「其れとね、仲間にしたい奴がいるんだけど…」

「死神の中に?」

「うん、ダメ?」

甘えるように一護は藍染の首に手を回した。

「私は構わないよ。此の虚圏の王は一護だから、ね」

「有り難う惣右介v」

そう言って一護は藍染の頬にキスを送る。

「で、何時何処で何をすればいいのかい?」

「其れはね…―――」
























舞台となるのが此処、尸魂界。
尸魂界は今、平和と言ってもいい程、何もなく1日が過ぎてゆく。
事件が起きる事もなく、慌ただしくもなく平和な日常。

そんな日常が一変する時間が刻々と迫っているとは、誰も知る事はなかった。

此の2人以外は…。

「冬獅郎?」

「一護か。どうした?」

「アレ、出来たよ」

「そうか」

にっこりと笑いながら一護が言った瞬間、かけていた椅子から腰を上げて2人揃って執務室を後にした。























「藍染!市丸!」

「元隊長を呼び捨てとは、偉くなっもんやねイヅル」

「何しに来たッ」

突如として現れた、藍染 惣右介と市丸 ギン。
白い死覇装を身に纏い、尸魂界、瀞霊廷に降り立った。

「久しぶりだね、三番隊副隊長の吉良くん」

「まぁええわ。其れより、イヅル元気やった?」

ニコニコと笑う2人とは違い、イヅルは物凄い形相で睨んでいた。

「何しに、来たんだ…」

「『何しに』?
其れはね、私の一番欲しいモノを取りに来たんだよ」

「…一番、欲しいモノ…?」

「そうゆう事や。悪いけどイヅル、其処、退いてくれへんやろか?」

表情は其の侭イヅルは刀を抜いた。
其れを見たギンは肩を竦め、藍染を見る。

「誰がッ!!」

「タダでは通してくれないんだね…
其れなら仕方ない…」

藍染は刀を抜き、

「どうしても私たちの邪魔をすると言うなら、君もタダじゃ済まないと…」

「買b早…い…!?」

藍染の姿が消えたと思うと直ぐさま後ろから声が聞こえてくる。

「思うんだよ、イヅルくん」

「な…!?」

―ブシュッ

振り返ろうとした瞬間、イヅルの背中から夥しい量の血が吹き出した。

「……」

イヅルは其の侭膝を付き、藍染を見上げる。

「悪いが、通してもらうよ」

「すまんなイヅル。僕ら時間がないんよ」

そう言い、2人は瞬時に姿を眩ませた。

「早く此の事を、知らせな…」



















瀞霊廷内部が騒ぎ立て始めた。

「冬獅郎、もう来てるみたいだよ」

「もうか」

ゆっくりと歩く冬獅郎は黒い死覇装ではなく、白い死覇装を身に纏っていた。

ゆっくりとあの場所へと移動中、ダダダダダ、と走り寄る足音とともに声も聞こえてくる。

「一護!貴様そんな所で何しているのだッ!!」

「ルキア、何の騒ぎだよ此れ?
何かあったのか?」

「藍染と市丸が現れた!
貴様も早く来い!」

「藍染が!?分かった!」

通り過ぎるルキアを横目に、一護は冬獅郎と目を合わせた。

「本当に見えないんだな、此れ…。
其れにしても、随分と演技派だな」

「もう慣れっこだよ」

冬獅郎の姿が見えなかった其の正体は此れだ。
冬獅郎の手首にぶら下がるブレスレット。

「破面にしか見えないって、ザエルアポロもよくこんな便利なもん作ったよ」

「そうだな。
其れより、先を急ごう」

























双極(←?)の丘に、藍染とギンは其処にいた。

駆け付けた一護を見て、藍染とギンは慌てる様子もなく目を細めて笑うだけ。

目の前にある光景、其れは無惨なモノだった。

狛村も、浮竹も、京楽も、ルキアも、恋次も、皆が深手を負っていて、今辛うじて立っているのは冬獅郎だけだった…。

「…藍染!」

刀を抜き、一護は前に出る。

「やぁ一護くん、丁度よかった。
今日は君に用があって来たんだ」

「俺に、用…?」

「そう。どうしても、君が欲しくて」

「「狽ネッ!?」」

「黒崎!」

瞬時に一護の目の前に現れた藍染は、一護に手刀を食らわした。

「…ぅ………」

倒れ込む一護を受け止めて、藍染は一護を横抱きにして抱え上げた。

「さぁギン、欲しいモノも手に入ったから帰るよ。
長居は無用だ」

「そうですね」

「黒崎ーッ!!」

―キィイン…

刀を抜き藍染に振りかざした人物がいた。
其れはギンにより食い止められたが…

「日番谷隊長、わざわざ殺られに来てからに。
そないに血ぃ流して僕らに勝てると思てはるん?ん?」

「黒崎を離せ!藍染!」

「僕の事見えてる?無視せんとってぇな。
日番谷隊長冷たいお人やね」

「ギン、ついでだから日番谷も連れて行こうか」

「ほな、死なない程度に」

受けた刀を弾き、直ぐさま振り下ろした。

―ブシュッ

「…な…!?」

胸をばっくりと斬られた冬獅郎は、倒れ込んだ所をギンが受け止めた。

「日番谷隊長ッ!!」

「では、邪魔したね」

「ほな、また」

一護と冬獅郎を抱いた2人は、尸魂界を去って行った。
























「何じゃと…?
日番谷隊長と黒崎 一護が連れ去られたとな?」

「申し訳ありません。
私が到着した時には既に深手を負った者たちが倒れており、藍染の姿は何処にも」

「うむ。報告ご苦労であった」

藍染により傷を負った死神たちは大事には至らず、今四番隊に運ばれている。

隊長格が次々とやられ、瀞霊廷内は不安の渦に巻き込まれていた。

一方、虚夜宮では…
























「冬獅郎、やっと堅苦しい場所から抜け出せたね」

白い死覇装を着た一護と冬獅郎の姿があった。

「そうだな。其れにしても、鏡花水月と此のブレスレットの能力は便利だ。
お陰ですんなりと事が進んだな」

最初に一護が言っていた『アレ』とは、鏡花水月の能力でもう1人の冬獅郎を送り込ませ、尚且つ本物の冬獅郎はザエルアポロが作ったあのブレスレットを付けて。

今回は一護が元の破面に戻る事を前提とした、言わばサプライズ的なショーなのだ。

死神に絶対的な力を見せつけて戦力である一護と冬獅郎を奪い去る。

「俺はやられたフリしただけだし、何の面白身もなかったけど…」

「其れを言うなら俺は何だ。
偽物は切られて本物は誰にも見えない侭だぞ?
見えてる分マシだろ」

「拗ねてんの?」

「………」

黙り込んだ冬獅郎を見て、一護はクスリと笑った。

「大丈夫だって、此れからうんと面白くなるからさ?
遠慮なく死神を殺せるんだよ?」

「其れは悪くないな」

2人で笑い合い、目の前の大きな扉を開けた。



さて、此れからは暴れまくりだよ。



「行こうか冬獅郎」

「嗚呼」



End...

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