破一護→白2
アニブリで放送された擬人化編の前にUPした作品の続きとなってます。
ルキアと恋次の死ネタとなってます。
苦手な方はご注意下さい。
斬魄刀たちのアジトを出て向かうは瀞霊廷内。
「まず、何処に行こうか…」
「六番隊隊舎が先だろう」
「あ、そうだったね。
ルキアに袖白雪を返さなきゃいけないし」
手に握る袖白雪。
全く霊圧が感じられない、真っ二つに折れた刀。
「ビックリするだろうね」
クスリ、と笑う一護。
義理の兄である白哉が死神を裏切ったと聞いて、まだ信じてる妹のルキア。
何も知らず、ただ兄の帰りを待ち続けて…。
其れが無駄な事だとは思いもよらぬ事。
兄と慕った男が本当に死神を裏切ったと知った時、どう崩れるか…。
「
あー、本当会うのが楽しみ…v」
目を細めながら小さく呟いて、一護は白哉を連れて歩みを進める。
真夜中、シンと静まり返っている六番隊隊舎にはまだ明かりが付いていて、見張りの死神たちがこちらに気付くと直ぐさま刀を抜いた。
「斬魄刀かッ!?」
「応援を呼ッ…」
言葉が終わる前に白哉が動き、見張り2人を斬り付けた。
「六番隊隊舎を壊す?」
「否、騒ぎを立てておびき出す」
「ふ〜ん」
見張りに見つかるように堂々とした足取りで六番隊隊舎の中に入り込み、ワザと大きな音を立てた。
すると…
「伯Z様!!」
奥から姿を現したルキアは目を見開き、白哉を見つめていた。
隣にいる俺が誰かは聞かないんだ…。
そんな余裕はない?
「朽木 ルキア。お前に土産だ、ほら」
持っていた折れた袖白雪をルキアの足元に投げやった。
「…袖…の…し、ら雪…?」
「ルキア」
「兄様、どうして…」
俺の事は無視ですか…。
「此れ以上、関わるでない。
さもなくば、容赦はせぬ」
白哉は軸を変えてルキアに背を向け歩き出し、俺も後を追った。
今此処でルキアを殺さないのは何でかな…?
「白哉…他の鼠が1匹、やって来たよ」
「此の霊圧は恋次か…」
俺たちは立ち止まり、猿蛇丸を連れた恋次がやってくる。
「隊長!!」
「……」
殺さないの?また…。
「ねぇ、1人2人殺したって構わないよね…?」
「構わん、兄は恋次を…私はルキアを殺る」
自分の手で殺すんだ。
やっと其れらしい考えが纏まったか?
ま、俺は何でもいいけど。
「兄様!」
中から出てきたルキアの前に立ちはだかる白哉。
「隊長!」
駆け付けた恋次の前に俺が立ちはだかる。
「誰だテメェ!」
「ただの通りすがりだよ、恋次」
「煤cテメェ、何で俺の名前知ってんだ…」
「まぁいいじゃん。
其れよりさ、俺と遊んでよv」
ニヤリ、と笑うと恋次は険しい顔で俺を見て刀を抜いた。
「全力でかかってきなよ。
そうじゃなきゃ面白くないしさ」
「言うじゃねぇか!」
擬人化した恋次の斬魄刀が俺を見て眉間にシワを寄せた。
「猿乃、此奴誰だ」
「ワシに聞くな」
「んだよ、知らねぇのかよ」
「ねぇ恋次?まだ殺らないの?」
「其の前に1つ。
お前は斬魄刀の1人か?
其れともあの男の仲間か?」
「2つともハズレ〜。
俺は斬魄刀でもないし仲間でもない。
もちろん、お前らの仲間でもないよ」
「じゃあお前は…」
さっきからグダグダ煩いよね。
そう思って俺はゆっくりと近付いていくと、恋次たちは顔を強張らせて刀を構える。
「たった1人と2匹で勝てると思ってんの?」
「やってみなきゃ分かんねぇだろ!」
分かってないよね。
俺を誰だと思ってんの?
其処らへんにいる反逆起こした斬魄刀や虚なんかとは違うんだよ?
「じゃあ、楽に殺してあげるよ」
響転で斬魄刀らの後ろを取り、刀を振り下ろし、振り上げる。
「狽チ…!」
「蛇乃っ」
2人揃って倒れ、残った恋次が目を見開いていた。
「一撃、で…!?」
「次はお前」
「狽ネ、に…?」
背中に刀を刺す。
そして、恋次の肩に顎を乗せてクスリと笑う。
「ねぇ?俺の名前呼ばないの?」
「ぁ…名、ま…?」
「何時も言ってるじゃん。
゛ 一護 ゛って」
「狽ネっ…!い、ち…ご…!?」
「恋次ってば全然気付かないし、ショックぅー。
髪の色とか声とか一緒だから気付いてくれるかな、なんて思ってたのにぃ。
ルキアも白哉の事しか見てなくて俺の事超ガン無視しちゃってさ!
折角袖白雪持ってきてやったってのに失礼しちゃうよね」
「は、あっ…おま…!
俺たち…を…騙しっ……ぐっ!!」
刺した刀を横に捻る。
「気付いてくれるといいなぁなんて思ってワクワクしてたのに、本当残念だよ。
あ、因みに。
騙してなんかないよ?
内緒にしてただけだから」
息のない1人と2匹が目の前に倒れている。
恋次はどうせ死んでもらうつもりだったから本当の事言って、びっくりさせてやったんだけど。
興醒めしちゃった。
「…本当に残念」
此処に来なかったら死なずに済んだかもしれないのに。
「兄様ッ、お止め下さい!!」
「…」
目を向けると、すぐ傍では白哉とルキアがまだ交戦中だった。
ルキアの体を見てみると所々から出血してて、白哉との実力の差ってヤツを物語っている。
攻撃を受け流し出来ずにまともに食らってて、白哉は白哉で涼しい顔。
「…」
然し、だよ?
白哉の実力ならルキアなんかすぐ始末出来る筈でしょ?
やっぱりアレ?
義妹だから?
躊躇してるの?
「白哉、そろそろ終わりにしてよ。
こっちもう終わったから」
「煤c恋次…っ!」
「承知した」
そう言った瞬間ルキアの後ろに周り込み、
「兄さまっ!!」
胸を貫いた。
2ヶ所から吹き出る赤い血。
ゆっくりと倒れるルキア。
血が吹き出た場所は心臓と胃の所だった。
覚悟を決めたんだね白哉…。
「さぁ行こうか」
「嗚呼」
倒れた2人を残し、俺は其の場でガルカンタを開き惣右介の待つ虚夜宮へ戻って行った。
霊圧で道を作りゆっくりと歩き出す。
「ねぇ白哉」
「?」
「何で俺と一緒に来たの?」
「兄が面白いからだ」
「俺が?」
白哉の答えを理解出来なかった俺は白哉を振り返った。
「兄は人間でありながら死神の力を手に入れてたった数ヶ月でルキアを助けに6人で尸魂界に乗り込んできた。
其れと本当ならば10年かかる卍解をたった数日で会得している」
「…」
「本当に人間なのかと疑った時もあった。
兄はどんどん成長して、きっと総隊長以外の隊長たちでは叶わぬ程力を付けているだろう?
私はそんな兄をまた疑っていた」
普通の人間はそうも早く成長しないって?
「だからこそ、今回の事でやはりそうだったのかと。
兄には何かしら秘密があるのだろうと思っていたからな。
興味が沸いたのだ」
「そっか」
そして、出口に辿り着いた。
「お帰り、一護」
「ただ今ぁ」
ガルカンタを通り抜けると、何時もの光景。
目の前には惣右介、ギン、要とネルの姿。
違うのは玉座の間に十刃が全員揃ってるって事かな。
「何で死神が此処にいるんだよ」
やっぱりと言うか何と言うか。
口を開いたのはNo.6のグリムジョーだった。
其のグリムジョーに十刃たちは次々と続けた。
「そうだな。
我々と敵対していた側の人間がよくすんなりと此処へ来れたと褒めてはやる」
「しかし仮にも隊長さんな訳だろ?
敵を欺くならまず味方からって言わないか?」
「味方じゃないだろ」
「一護さまに害をなすなら殺すだけの話だ」
上からハリベル、スターク、ノイトラ、ウルキオラ。
「何故其のような男を…」
白哉を睨み付けながらザエルアポロがそう言った。
「気に入った奴は手元に置いておきたい主義だから、だから白哉を連れてきたんだよ」
例え、其奴に其の気がなくても…。
俺は何時ものように惣右介の膝の上に座る。
「おいで、ネル」
そう言うと小さな体がタタタっと駆け寄り、飛び付いてくるのを受け止めた。
「藍染さまは其れでいいのかよ」
「私は一護に従う身。
虚夜宮の王である一護が連れてきたのなら何も言わないよ。
其れが死神だとしてもね」
「皆が心配するのも無理はないけど、まだ行動してないでしょ?
ウルの言った通りの事にならない限り、白哉に手出しは無用だよ?
分かった?」
ウルキオラの言った通り、此処まできといて変な動きでも見せたら…ねぇ。
其れは俺も黙ってないよ?
俺が言った言葉は絶対。
俺が其の言葉を変更しない限り。
「其れにしても、意外やわ」
「…?」
「まさか朽木隊長やとは思わへんでしたわ」
「其れを言うなら東仙もそうだろう?」
「まぁ、そうやけど」
死神の戦力を減らすとかそんな事を思った事はない。
だって、戦力だとか言う前に俺1人でも勝てそうだし。
俺が気に入った奴だからこその引き抜き。
惣右介もギンも要もそうだった。
「さぁ白哉、そんなダッサイ服着てないで着替えておいでよ」
ウルキオラに部屋に案内させるよう伝えると、ウルキオラは白哉を連れて間から出て行った。
「一護が朽木隊長を気に入ってたなんてね」
「意外?」
「だから驚いているのだけどね」
「一護ちゃんの事やからてっきり妹の方か阿散井くんや思ててんけどなぁ」
「其の2人を手にかけてくるとも思っていませんでしたけど」
どうしても、見たかったんだよ。
俺が裏切る行動をした時の反応をね。
恋次のあの驚いた顔。
最高に傑作だったよ。
勝手に仲間と勘違いして
「騙してたなぁんてさ」
俺は一度足りとも仲間だなんて思った事はない。
俺の仲間は惣右介たちだけなんだから。
「ただ今戻りました」
着替えを終えた白哉が戻ってきた。
「似合ってるよ。
さて、白哉。
改めて、ようこそ虚夜宮へ」
闇の世界へ、ようこそ…。
光のない世界を
存分に堪能して。
そして
のめり込んで
抜けられなく
なっちゃいなよ。
end...
[ 10/20 ]