牛島選手の追っかけを辞めたい。 | ナノ

05



リオオリンピックも終わり、若利くんも帰国したようで最近はよくテレビで見かけるようになった。バレーボールにファンが増えて嬉しい気持ちと、若利くんのファンが増えたらどうしようという焦りでわたしはメンタルがボロボロだった。だって、若利くんに会えないし。DMも返事来ないし。病む。

そんな中、帰国初試合が決まりわたしはチケットをなんとか手に入れ友人(影山夢主)ちゃんにも声をかけると泣きながら喜んでくれて頑張ってチケット取った甲斐があるなと嬉しくなる。

そしてわたしも今年で大学4年、親からは一人暮らしを辞めて実家に帰ってきて病院で働けと散々言われている。一度若利くんに相談した時は「なまえが本当にやりたいと思うならそうしたらいい」と側から見たら冷たい返だったが、わたしは若利くんなりの応援だったのかなと捉えた。就職すればもちろん今まで通りもう試合を見にくることはできないし、若利くんとも会えない。

「若利くん!おかえり!会いたかった!今日もかっこよかった!」
「ああ、ありがとう」
「わたしに会えなくて寂しくなかった?大丈夫だった?」
「そうだな。勝った後、なまえが嬉しそうに喜んでる姿を見たくなった」
「な、にそれ!ずるい」

突然の若利くんのデレにわたしは思わず顔が真っ赤に染まる。

「若利くん、あっちにもわたしがあげた服とか帽子とかいっぱい連れてってくれてて嬉しかったよ」
「約束したからな」
「ほんとにしてくれるなんて思ってなかった」
「俺は約束は守る」
「へへ。今日も大好き!」

若利くんが優しくてるんるんで家に帰ると、SNSの通知がうるさくてDMを開くと他の選手のファンの子達から連絡がたくさんきていて驚く。

「掲示板見た?影山選手の子、叩かれてる」
「なまえの友達だよね?」
「あの影山選手のオキニ炎上してる」

一通りメッセージを読んで掲示板を覗くと友人(影山夢主)ちゃんが袋叩きにされてて、「割り込みしてた」「繋がってる?」「贔屓しすぎ」など書かれていて思わず友人(影山夢主)ちゃんにすぐ連絡する。
友人(影山夢主)ちゃんはSNSは疎いからあまりやっていないので、掲示板で名前が上がっているのを見る以上通いの影山くんのファン達が書いてるんだろうなぁと悲しくなる。自分のことが書かれたり叩かれたりするのは何も気にならないのに、自分の好きな子が書かれるとこんなに悲しいんだなと自分のことのように凹んでしまった。

友人(影山夢主)ちゃんと電話がつながると、かなり落ち込んでしまってるようでなんと励ましていいかわからない。

「お互い潮時じゃんね!」

と言ってみたものの、わたしの覚悟はまだ決まっておらず次の試合から一切姿を見せなくなった友人(影山夢主)ちゃんのことを考えて寂しくなる。

「最近あの子いなくない?」
「あ〜影山選手のオキニでしょ?」
「オキニってか、ただの古参じゃん」
「まあ最近干されてたしね〜!あんなあからさまに干されてたら私だって降りるわ」
「それな〜?なんかやらかしたんじゃない?影山くんに繋がろうとか持ちかけたりして」
「え〜?!結構歳の差あったくない?それは引くわ〜」

そんな声が聞こえてきて、わたしの心がざわつく。

「さすがにそれはキモいって」
「てか影山選手もキモいって思ったから干したんじゃん?ウケる」
「は?キモいのはアンタたちだわ」

考えるより先に、声が出ていた。


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