牛島選手の追っかけを辞めたい。 | ナノ

02



まあ、こうなるってわかってたけど。結局次の日からわたしは毎週若利くんの試合を見に来ることになった。若利くんが教えてくれたバレーのルールブックもちゃんと買って勉強した。飲み込みは早い方なので1ヶ月も経てば若利くんがどれだけすごい選手かわかってしまった。

「若利くん!今日もお疲れ様〜!なんか若利くん見てたらほんと疲れ吹っ飛ぶ!!ありがとう」
「なまえ、今日もありがとう。お前の応援はよく聞こえる」
「え?!ほんと?」
「お前はよく目立つ」
「なんだろ、髪色?服?」
「それもあるがお前の周りは光って見える」
「なんだそれ!」

わたしがゲラゲラと笑っていると、若利くんも少し笑ってくれてわたしはこの時間が大好きだった。
この時はわたし以外に通ってる若利くんのファンもあまりいなかったし、時間いっぱいわたしと話してくれようとしてくれる若利くんが大好きだった。それでもやっぱり、人間とは欲深いものでもっと、もっとと欲が出てしまう。

若利くんを追っかけて気づけば半年経っていて、これを機に若利くんに何かあげようとリサーチをしてみるがどうやら特に好みはないそうで。わたしが愛用してるブランドのまずはキャップをあげてみる。

「はい!若利くんにあげる〜!」
「なんだ」
「帽子!帰りいっつも被ってるでしょ?たまには違うのもどう?」
「俺の誕生日は夏だが?」
「知ってるよ!8/13でしょ?これはいつもありがとう大好きだよ〜ってプレゼント!」
「そうか、ありがとう」

いつも通り会場を出てからも出待ちをし、若利くんに手を振ろうとすると来た時と服装が違い驚く。もう帽子を被ってくれていた。これは喜ばずにいられるだろうか?無理だな。

「若利くん!!!!やばい!!!大好きになっちゃった!!!」
「サイズ感も問題ないし、デザインも気に入った」
「ね〜〜!!天才!!今日も大好きだよ!写真撮ろ〜?」
「ああ」

若利くんと写真を撮る時、いつもわたしに合わせて屈んでくれる時が大好きだ。帽子をいつもは脱いで撮ってくれるけど、今日は被ったまま撮ってくれるところも好き。嫌いなところなんてない。全部、全部大好きだった。わたしの全てだった。

SNSに今日のことを書くと他の界隈のオタクから反応がたくさんあり承認欲求が満たされていくのがわかる。純粋にバレーが好きな気持ちと、オタクをしてる自分が好きな気持ちが闘ってる。いつもならもうそろそろ推しと喧嘩して降りてる時期だけど、若利くんとは喧嘩する未来は見えなかった。


×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -