牛島選手の追っかけを辞めたい。 | ナノ

番外編



「そっか〜!おめでとう、うん。おめでとう」
「何その顔...」
「いやぁ、なんかいいなぁって。公開プロポーズなんて素敵じゃん〜!!!」

先日の若利くんからの公開プロポーズぶりに、今日は影山家に遊びに来ていた。飛空と飛茉は影山くんが外に連れて行ってるらしくて今は家に2人きりだった。

「それ、本気で言ってる?影山くんなら今でもやってくれそじゃない?」
「いや...わたしはほら、もう結婚して長いじゃない?」
「へ〜!友人(影山夢主)ちゃんが公開プロポーズして欲しそうだったよって影山くんに言っちゃお〜!」
「待った!ダメ、飛雄くんやりかねないからダメ」
「いや、本当にやばいよ。トレンド若利くんの話しかなかったし昔のオタク達からバカ連絡きたし掲示板も阿鼻叫喚だしもうなんか一周回って死ぬほどウケた」

友人(影山夢主)ちゃんと話していると、ついつい当時のノリで話してしまうので年相応の話し方が出来ず口も悪くなってしまう。こんなんで、若利くんの彼女が務まるんだろうか。しーらない。

「なまえちゃん、牛島選手のファンからめちゃくちゃ嫌われてたもんね」

あはは、と目に涙を浮かべながら笑ってくる友人(影山夢主)ちゃんも大概良い性格してるなとは思うけど事実なので特に否定はしない。

「DMちょーーきたよ!しね!とか言われたし!こんなに幸せなのに死にません!みたいな」
「わたしそんなの来たら怖くてSNSすぐやめちゃう...」
「まあわたしもずっと放置だったんだけどさ、みんなすぐ見つけてきてすごいの!」
「感心してる場合じゃないでしょ...」
「引退したからって、していいことと悪いことがあります!とか、いや知らねーよ!どっちかというとわたしも巻き込まれた側なんだけど!って思いながら無視してる」
「なまえちゃんが!!!大人になってる!」

なんて失礼な!と反論するが、確かに昔のわたしなら真っ先に噛み付いてSNS上で派手にやらかしてただろうし、スルースキルが皆無だったのでこんな風にDMを無視できなかっただろう。

「そんで多分、SNSに若利くんの後ろ姿とか寝顔とか載せちゃってただろうな...」
「うん。本当に今付き合うことになって良かったと思う」
「...わたしもそう思う」

2人でまた笑い合っていると、玄関から「ただいまー!」「なまえちゃんまだいる!?」と元気な声と共に子供達の足音と影山くんが「っす」と顔を出す。

「お邪魔してまーす!」
「あ、牛島サンの...」
「いやいっつも普通に呼んでるじゃん」
「おやつ準備するから子供たちお風呂お願いしてもいい?」
「ん」

影山くんはごく自然に友人(影山夢主)ちゃんの頬にキスして子供2人を抱き上げ風呂場へと向かった。あまりにも自然な出来事でわたしは「わー...!」と感嘆の声を上げてしまう。

「ってことが今日あってね」

と、若利くんとほぼ日課になりつつある就寝前のビデオ通話で今日の影山夫婦のラブラブっぷりを報告してみる。

「俺たちもそうするか」
「何を?!え、てかどの部分?」
「俺も外国で暮らしていたし、不自然ではない」
「頬チューの挨拶?やだよ!恥ずかしいもん」
「お前の恥じらうポイントがよくわからん」
「ねぇ、それちょっと酷いこと言ってる自覚ある?」
「ない。すまない」

ビデオ通話に慣れてない若利くんは基本顔がずっとドアップだから、何回通話しても面白い。悪戯心から投げキッスをし「おやすみ」と若利くんに言うと若利くんも真顔で投げキッスをしてきて可愛い気持ちと面白さで戦った結果、面白いの優勝だった。

「、ふふっ、ちょ、真顔って...!」
「なんだ」
「そういうとこ、好きだなって思ったの」

ヒィヒィ笑いながら涙を拭うと若利くんが楽しそうに微笑んでくる。この顔、ずるい。

「俺も好きだ。おやすみ」

若利くんのおやすみで眠りにつく時は、とっても良い夢が見れそうな気がする。


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