牛島選手の追っかけを辞めたい。 | ナノ

番外編



仙台と東京の遠距離恋愛なんて、ポーランドに比べたらほんと隣町くらいの気持ちだし。一方的に若利くんを見るのはもう何年もしてきて慣れてるし。ただ、慣れないのが若利くんと過ごす甘い時間で。今日だって若利くんとご飯を食べたあと、洗い物をしていると若利くんが後ろからわたしの体を包み込んでくる。

「会いたかった」
「、今?」
「俺に笑ってくるなまえが愛おしいと思う」
「もー!ちょっと、恥ずかしいから黙って」

洗い物を終えて手を拭いていると、我慢できない。と言わんばかりに若利くんがわたしの後頭部を片手で抑えて舌を絡めて何度もキスをしてくる。わたしも求められるがまま若利くんのキスに必死で答える。

「なまえ、今から抱いてもいいか」
「...聞かないでよ。バカ」
「お前は最近ベッドの上でしか甘えないからな」
「恥ずかしいの!なんか、だって、若利くんとこうやって...付き合うなんて」
「...?」
「幸せすぎて、夢じゃないのかなって不安になる」

思わず若利くんのシャツをきゅ、と握ると若利くんがわたしの髪にキスをして耳を甘噛みしてくる。もう、ドキドキが止まらなくて若利くんの顔をまともに見れそうになかった。耳を甘噛みしたあと若利くんの顔がわたしの首筋へ。「痛、っ」と無意識で声が出たのと、若利くんがわたしの首筋をがぶりと噛んだのはほぼ同時だった。噛んだ本人は満足そうにその噛み跡を舌で舐めていて、その感触でわたしは体熱くなるのがわかる。

「も、だめ...だってば」
「悪いが、今日は我慢できそうにない」
「ちょっ...!わか、としく」

腕を引かれて強引に寝室に連れて行かれ、そのあとは皆さんの想像にお任せします。言わせないで、恥ずかしいから。現役を引退してもロードワークも筋トレも欠かさない若利くんの体は、うん、凄かった。若利くんは終わった後、絶対に腕枕をして寝てくれる。わたしはそれが嬉しくて、若利くんのこと大好きだなぁってにこにこしちゃう。

「腕痺れないの?」
「現役時代なら、しなかっただろうな」
「ふーん。じゃあ、わたしがはじめてだ!」
「ああ。こうしてなまえのことを腕に抱いて寝たいと、いつからか思っていた」
「、ばか...」
「今、この俺の腕はなまえを抱いて寝るためだけにある」
「あはは、んなわけないでしょ!もう」

ケラケラと笑って若利くんの胸元に手を置くと空いてる方の手できゅ、と握られ指を絡められる。若利くんの腕から少し抜け出して、若利くんの顔がよく見えるように胸元へ体を乗り上げる。整ったあの顔が側にある。嬉しくなってしまって、自らキスをすると一瞬で体勢が入れ替わり見下ろしていたはずの若利くんに見下ろされる。

「まだ、足りなかったか?」
「違う!じゃれてただけ!」
「...俺は、足りていない」
「ま、って...!こら!も、無理だよ...!」

わたしのパジャマを脱がしていく若利くんを必死に止めようとするが、全く聞く耳を持たずわたしはまたぐずぐずにされてしまう。明日、無事に起きて若利くんをお見送り出来る自信がなくなってきた。

若利くんに散々甘やかされ、へろへろになったわたしはほとんど夢の中にいた。若利くんはまだ全然余裕そうで、体力の差に恐れ慄くし今後の自分の体が心配になる。パジャマを着せてもらうために手をバンザイにしてうとうとしていると、いきなり若利くんがわたしのパジャマをシャツインしてきて驚いて目が覚める。

「何?!」
「腹が冷えるだろ」
「ちょっと、嫌なんだけど!せっかくパジャマ可愛いの買ってきたのに!若利くんの前では可愛い姿でいたいの!」

もう、と怒りながらシャツを出そうとすると若利くんの手に止められる。

「女性がそこを冷やすのは良くない」

するりとお腹を撫でられ、くすぐったくて変な声が出る。

「や、それ...!くすぐった、」
「なまえには俺達の子を産んでもらわないといけないからな」
「...もう...!」
「わかったら早く温めて寝ろ」
「若利くんのせいで目、覚めちゃったもん」

頬を膨らませながら寝ている若利くんの頬を摘むと「やめろ」と眉間に皺を寄せてわたしの頬を掴み返してくる。

「若利くん」
「なんだ」
「今日もね、大好きになった!」
「...その言葉、懐かしいな」

早く寝ろ、と言わんばかりに若利くんがわたしの瞼にキスを。夢の中の若利くんは、今よりずっと若くて懐かしい気持ちになる。目を覚まして隣の若利くんが少し老けてて面白くなってしまった。わたしの笑い声で目覚めた若利くんが優しい声で「おはよう」と言ってくれる。ずっとこの幸せが続きますように。

「おはよ!今日も大好きだよ!」


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