被害者Aの妄言 2017 0914
この体は毒で満ちている 自らの所為ではなく 外界から与えられる物だ 毎日皿に盛られテーブルに置かれる物 盛られた毒を平然と平らげられなかったなら与えられるのは罰 幼心に刻みつけられる無言の圧力のようなもの(虚実めいている)により自由は奪われまた皿には毒が盛られる ひとつ またひとつ 小さな毒は体を侵してゆく 気付けばそれは全身に回って 毒で満ちた体は酷く爛れていた

この体は毒で満ちている と仮定して 誰がそれを証明できるだろう 酷く爛れている筈の体は鏡にすら映らなかった この目には不自然なものは一つとして映らない 凡庸な生物が一匹息をしているだけ 視認できない証明できない ならば果たしてそれは本当に存在するのだろうか 視認できないほどの微小の毒だったのではないか そもそもそれは実在するのか 誰かが一言戯れ言だと零せば瞬間それが真実に取って代わり 以後どれほどの言葉を続けようと全ては戯れ言に形を変える それ程に不確定

弁明自体が不毛だ 証明は不可能だ
この体は毒で満ちている この認識自体が誤りだったのかもしれない この一言で全ては丸く収まる 真偽など第三者視点からすればどうでもいいものだ 騒がしい生物が一匹 静かになればそれで全てが解決する

排除されるべきはどちらなのだろう 倫理観は多数決により決まる たった一匹の騒がしい生物の事など
少なくとも爛れきったこの身は重くて仕方がない 今すぐにでも海へ投げてしまいたい それとも山奥の地中に(不毛だ)
わるいのは日々皿に盛られる毒それとも毒にかてなかった自分自身
どちらでしょう
(不毛だ) more
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -