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【マイルーム計画】1


エドワードがPC内のアルフォンスの存在を容認して以来、アルフォンスはいつもデスクトップ上にいた。
たまに作業が長引いたり容量一杯でフリーズ直前になると、アルフォンスは「寝る」と言い残してウィンドウの後ろに消えていったけれど、実際エドワードはアルフォンスが寝ている姿を見た事はない。寝る、というのはアルフォンスがシステムの制御から手を引くという事で、実際人間のように横になって休む訳じゃないのはわかる。

でも気になる。
PCの電源を落としている時のアルフォンスは一体どうしているのかとか、ウィンドウの後ろに消えていった後、一体何をしているのかとか。

それとは別に、エドワードの言葉に返答し感情のような物も見せ、こうも人間味溢れる言動をされると、多少なりとも情も沸いてくると言うものだ。

先日はウィルスからPCを守ってくれた訳だし。
お礼、という訳ではないけれど。







「プログラミングに詳しい奴ねぇ…居ないこともないけど…」

以前エドワードにメモリを譲ってくれた友人に訊ねてみると、該当する知人がいるようだった。

「ポスペみたいなやつでいいんだけど」
「うん、居るよ。そういうの作んの得意な奴は…でもなにすんだよ、そんなの。ポスペハウスの改造でもすんの?」
「んー、そんな感じ?」

ポスペじゃなくて、うちのPCに住み着いた妖精が着の身着のまま寝床もなくて可哀想だから、部屋作ってやりたいんだよ。
なんて言ったら、エドワードは間違いなく友人を数人失うだろう。
自分だって友人の誰かがそんな事を言い出したらうわーコイツやばくね?って思う。

でも今も小脇に抱えたノートPCにアルフォンスが休眠状態だか覚醒しているかは知らないけど居座ってるし、エドワードはその妖精にファイルの整理から論文用のデータベースの管理まで何かと世話になっているんだから仕方ない。

適当に言葉を濁すと、友人はノートを一枚破ってそこにスラスラとアドレスを書き始めた。

「これ、詳しい奴のメアド。いっつも機械科の実習室に居るけど、たまに居ない時もあるから一応。教えてくれっかわかんねーから、直接きいてみて」
「おっ、あんがと!」
「自作OSとか作ってる奴だから、出来ないって事はないと思うけど…まあ、俺の名前出して話してみて」

エドワードは、希望の人材を紹介してくれた礼として友人に考査期にノートのコピーを優先的に回す事を約束した。
PCには疎いが学業では学内一の成績を誇るエドワードのノートは下手な教授の講義より解りやすいと評判で、考査期ともなればこっそり高値で取引されているのだ。

「ちなみにこいつ、いっこ下のニ回生。お前と同じ特待生だから名前は聞いたことあんだろ――名前、アルフォンス・エルリック、な」
「――ア?」
「ア、ル、フォ、ン、ス!実習室の奥に居ると思うけど、見たらすぐに分かるよ。無駄に顔のいい奴だから」
「――…」

聞き間違いかと思ったが、名前と特徴がよく知る人物、いや人物ではなくOSと同じだった。

「あ、この前エドに譲ったメモリも、元はそいつからの貰い物だから、ついでに礼言っとけよ」

友人の言葉を聞き終わらないうちに、取るものも取り敢えずエドワードは機械科実習室に走った。
アルフォンスと名乗ったOS、無駄に男前の顔、そしてメモリの元々の持ち主――ここまでくれば、偶然だという方が白々しい。



NASAの工作員は、意外と身近に潜伏していた。


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