29 バトルトレーニングin禁じられた森 てことで。禁じられた森なう。 いや、うん。ダメと言われたところでここしか場所がないのだから仕方がない。 リオルも順調に育ってきてていて、今が一番伸びる時期であるのだ。バトルの基礎となる身体能力や運動神経はこの時期が最もよく延びる。そしてポケモンとトレーナーとの絆を作りやすい時期でもある。 こういった考え方は賛否両論ではあるが、仲良くなれるならいいのではないのかというのが私の意見だ。 それに他のポケモン達も、ずっとボールの中にいれっぱなしという訳にもいかない。本人達にもストレスがたまるし、いざというときに体がなまっていては困る。それは私にも言えることで、バトルでのとっさの判断力や勘といったものが鈍る。 さすがに部屋の中だけで出来ることでもなく、こうして夜中に寮を抜け出し定期的に禁じられた森に来ている。 多分ダンブルドアはしってんじゃないかとは思うが、一応規則で禁止されているのでこっそりと。おかげで昼間が非常に眠いがそこは若さでカバーである。成長期の成長を考え、さすがに毎晩というわけにはいかないが、ぶっちゃけ授業より楽しいのだから仕方がない。色々やらかしてはきたが、結局は私も根っからのトレーナーであるのだ。 いつ誰に見られるか分からないので全員いっぺんに出してやるわけにはいかないが、リザードンやラグラージなど何かあっても自力で対応できるだろう子達は私が戻る時間までには帰るよう伝え森に放している。何度か見慣れない生き物を見かけたので、あくまでレベルと攻撃値がずばぬけて高い組だけだが。 育児放棄ではない。断じて。 リオルは一番教えることがうまいダークライに戦闘訓練と指導をしてもらっている。私は横で軽くリオルに指示と助言を出す程度だ。 ポケモン同士でまず戦い方、体の動きを覚えさせたところで私の指示に従って戦うための訓練をする。始めから指示通りに動ける子は数少ないからだ。技以外での戦い方や戦闘方法はベテランに教えさせた方が早い。特にダークライは性格も含めバランスが良いので教師にはもってこいだ。 私の横ではメタグロスがリオルの数値測定をしている。私は基本的ににポケモンの種ごとに出されている基礎値や個体値などはあまり信用していない。参考程度だ。 まああの某黄色い悪魔を見た後では誰だって疑いたくもなるだろう。それにブリーダー達が行っている数値での選別というものがあまり好きになれないこともある。ポケモン達を使った実験を黙認していた私がいうのもあまり説得力はないが。 しかし個体それぞれに能力のばらつきがあるのは事実だ。でも多分それは、その子その子の得意不得意に関係しているのだと思う。 事実、向こうに残してきた私のゴーリキーはバトルは嫌いなくせに料理の腕はプロ顔負けだ。最近はなにやら一人で勉強して栄養かなにかの資格を取っていたような。あ、考えたらお腹すいてきた。 得意な所を伸ばし、不得意なところは足を引っ張ることのないレベルまで訓練してやる。 克服させるという手もあるが、私はそこまではやっていない。その子が苦手なこと、出来ないことはそれが得意な子にやらせれば良い。 ただ、その事によって何かを諦めなければならないとか、大怪我をおうとか、そういったことを避けるため、ある程度まではフォローはするけれど。 それが私のスタイルだ。 それでは強いポケモンは育たないと評論家とやらに散々たたかれた時期もあったが、これで四天王までいったのだからある程度私のやり方は証明された。と、思う。たぶん。 「リオル」 「はいますたー!」 「よけられるもの、防御できるものはきちんと防ぐ!確かに攻撃は最大の防御とは言うけど、それは基礎がきちんと出来てからでいい。」 「はい!」 「返事だけはいい子なんだからほんと…」 リオルの戦い方はあまり丁寧とはいいがたかった。周りが強いポケモンしかいないため、すこし焦っているのかもしれない。もしくは背伸びがしたいお年頃なのか。 ものすごく血気盛んというか、大胆というか。 ポケモンセンターのないこの世界では、その戦い方では少し不安が残る。私は誰一人欠けることなく向こうに帰りたい。 全く誰に似たのかと思ったがいやしかしもの凄く心当たりはある。 リザードンだ。リオルの攻撃一択の戦闘スタイルをそのまま強くしたのがリザードンだ。しかも彼はお祭り騒ぎとか乱闘とかそんな血気盛んな事が好きな半ヤクザみたいな性格をしている。あかん。あいつはあかん。 その割に不器用に甘えただからまたそこがたまらな…じゃなかった。頼むからリオルはバランスよく育ってね…そうは思うが多分無駄なんだろうなーと思う。小さな頃の性格はそう簡単には変わらない。進化の過程である程度は変わっても(たまにがらりと変わる子もいるが)根本となる所はそうそう変わるものではない。三つ子の魂百までである。 その性格の割に地味に面倒見が良いリザードンに最初リオルを任せていたのが間違いだったのかもしれない。バトルとはなんぞやという間違ったイメージが植え付けられている…気がしなくもない。 後ろからレントラーからまた似たようなのが増えたのかといったじっとりとした視線を感じた。そんなレントラーは夜の森のナイター代わりである。 大きなライト持参のこの夜の特訓の電気供給源。ついでに壁の向こうをも見渡せるその目で辺りの警戒まで任せっきり。 こんど何か美味しいものを献上しようと思います。まる。 ** レントラーのおかげで主人公のナイター設備は整っています…。 130401 bkm index ×
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