▼雛鳥バギー



ひな鳥のように後ろを歩く男に名前は隠しもせずため息を吐いた。
あの戦争で名前を見つけたバギーは、こうして暇があれば名前のもとへやってきていた。そして口を開けば阿呆の様に同じ事を繰り返す。

「なぁ、仲間になれよ」

「誰にもの頼んでんだ」

「仲間になって下さい」

あっさりと言い換えるバギーに何度目かのため息。大きくなった。立派に成長した。信頼できる仲間も出来た。十分じゃないか、お前はもうひとりぼっちで泣く必要は無い。

「なぁ、あんたがいないと駄目なんだ」

クサい台詞だ。そういって笑う名前にバギーはなおも言いつのる。そういってまた同じ事を繰り返すバギーの顔はあのときの子供と同じで、名前はやっぱりあのときと同じ事を口にする。


「お前さんの明日が、今日よりもっと良い日である事を祈っているよ」


何十年も前の約束をずっと守って道化を演じるバギーはちゃんと自分のこころを隠せるようになっていた。だというのに、名前の言葉に歪んだバギーの顔は、あのときからちっとも成長なんてしてやいなかった。



140123
バギー割と感情垂れ流しですが(笑)、こころ=一番弱い部分、みたいな意味でとってもらえれば。ロジャー海賊団にバギーを入れてやって小さなバギーとお別れした主人公。



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