▼悪のヒーロー



ポートガス・D・エースは昔から、どうにも名前のことが好きになれなかった。
へらへらと笑って戦おうとしない名前の様子は、若いエースにとっては理解しがたいものだった。いくら噛みつこうとものらりくらりとかわす名前は、それでもなぜかクルーからは慕われていて、それがまた気に食わなかった。悪循環。

だからエースは、名前があの戦争のときあの場所に来たことが信じられなかった。だって、昔からいたくせに何の未練もなさそうにある日ふらりと船からおりていった名前が、自分のためにあの場所に来てくれるなんて思いもしなかったのである。

若いもんは生きにゃあならん、なんていつも言っていた台詞をいつものように吐いて、望まれた命だと言った名前に、泣いたのは横にいたじじいの方だった。


「若ェうちからそんな諦めた目をしてたら碌な大人にならんぞ」

「うるせえもう大人だ」


憎まれ口をたたくエースににやりと笑った名前は正直、正義のヒーローのようだった。海賊相手にいうのもとんとおかしな話だ。



140123
やっぱりどこか、彼は彼の大嫌いな“正義のヒーロー”
この後バギーとエースのstkっぷりにドン引く主人公


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