▼チビと出会う



名前にとっては正義も悪も、比較的どうでも良いことだった。もとより望んでこのいたちごっこな戦争に加わったわけではなかった。とうの昔に嘆くだけ嘆いたし、どうしてという問いにも飽いていた。今更どうということもない。

だから自分のイノセンスにぱくりといかれたときも、そう驚くことでもなかった。もとより反抗的なイノセンスだった。それでも長い付き合い、最期の最期はこれでよかったのだと名前は思っていた。


「お前は何をそんなに泣いている」


気がつけば戦場ではない場所にいて、はてここはあのイノセンスの腹の中かと思えば目の前で子供が泣いている。わんわんと泣く子供にこれは良くないことだと感じる。名前にとっては見慣れた泣き方だった。腐るほど見てきた、愛しい人を想って泣く涙だった。これではAKUMAに付けいられても文句は言えまい。

将来の敵は少しでも減らしておきたい。小さな芽からこつこつと。いくら有望だとはいえ、名前にとって戦争に次々と投入される若い戦力は頭の痛い話だった。


「泣くんじゃない、つけいられるぞ」


それがバギーが後に運命と語り、名前が面倒な偶然であったと語る、二人の出会いである。



140122
感じ方は人それぞれ


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