3 どうして?
「ふふ、先を越されてたみたいだね」
10時少し前。
幸村たちがまとまって一気に来た。
雅治の荷物が別荘の外に置いてあるのを見て、笑っていた。
もうちょっと雅治と二人でいたかったな…
「幸村、こっちやきに」
『んもう、もう少し遅く来ても良かったんだよ?』
雅治と二人で窓から顔を出す。
ドサ……
『ん?』
みんながこっちを見て、目を見開き、荷物を落とす。
どうしたんだろう?
「……雪……?」
「…………雪……先輩………?」
みんなは私の名前を呼ぶ。
『何? どうしたの?』
私は問い掛けるが、みんなはこっちを変な顔で見るだけ。
何?
雅治と顔を見合わせるが、雅治も"わからん"と言うように首を傾げる。
「雪……なの?」
幸村が私に問い掛けた。
何その変な質問。
『私以外に誰がいるの?』
「みんなどうしたんじゃ?」
「仁王……?」
幸村たちが雅治を見る。
「仁王、これはどういうこと?」
「は?」
「どうして……どうして、雪がいるの?」
『え?』
どうして私がいるの……?
何、それ……
私に来て欲しくなかったみたいな言い方……
「雪はマネージャーじゃし、ここを貸してくれる人じゃろ。何じゃ、みんなして」
「え……いや、だって雪先輩は
「赤也」……え、」
幸村が赤也の言葉を遮る。
「赤也、言うな」
「え……でも、」
「赤也」
「…………わかったっス」
「みんなも。いいね」
真田や柳、赤也たちが頷く。
さっきからどうしたの?
「ごめん、何でもないよ。早速練習に取り掛かろうか」
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