17 狂う
まず、部活に来なくなった。
そして、学校にも来なくなった。
家に押しかけた時もあったが、取り次いでくれなかった。
嫌な予感しかしなかった。
そして、雪先輩が亡くなって2週間後の事だった。
ヴー……
「ん?」
仁王先輩から、皆に一斉送信でメールがきた。
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from:仁王先輩
件名:無題
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ありがとう
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慌てて仁王先輩の家に向かった。
幸村部長や、真田副部長、柳先輩たち皆も同じように仁王先輩の家に走った。
そこには既に救急車がとまっていた。
全身の血が抜けた感覚がした。
俺たちは、雪先輩を失ったばかりなのに……
仁王先輩まで……?
家の中から、誰かが担架で運ばれてくる。
"雅治っ!!"と、必死に仁王先輩の名前を叫ぶ、仁王先輩のお姉さんの声がした。
俺たちは荷物を投げ捨てて担架に駆け寄った。
「っ!!」
そこには、青白い顔で、唇が紫色になった仁王先輩が、力無く横たわっていた。
運ばれる衝撃で、だらんと左腕が担架から落ちる。
その腕も血の気はなく、爪が紫色をしていた。
自分でもどうしてそうしたのかわからないが、俺は垂れ下がった仁王先輩の左手を掴んでいた。
冷 タ イ「ぁ……」
あまりの冷たさにパッと手を離す。
呆然としているうちに仁王先輩は救急車の中に運ばれた。
仁王先輩のお姉さんが一緒に中に入って、音を鳴らしながら救急車は俺たちから離れていった。
仁王先輩…………
嘘でしょう…………?
俺たちは、大切な人を何人亡くせばいいんスか…………?
いつの間にか、俺の目からは涙が溢れていた。
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