１ヶ月前。


「嘘、じゃろ……?」
「……残念ながら」


雪先輩が、火事で亡くなった。

雪先輩の義父親のタバコの火の不始末が原因だった。


雪先輩には、義理の父親がいた。
先輩が小さい頃に両親が離婚した後、母親に育てられ、最近になって母親が再婚した と聞いている。


火事で、その義理の父親も、母親も、皆亡くなった。

火事が起こったのは夜中で、皆寝ていたせいか、逃げるのが遅れたらしい。




雪先輩が亡くなってから、部活動に身が入らなくなった。
それは先輩たちも一緒だった。

無理に普通にしていようとして、作り笑いしかできていない先輩たちは、見るに堪えなかった。



雪先輩は、皆に好かれていた。

俺は入部した当初、雪先輩を"ミーハー"だと思っていたが、違った。

たった１人のマネージャーで、レギュラーの分も、平部員の分も、しっかりドリンクを作って、部活動の時はあちこち走り回っていた。

あんなに働いているマネージャーは、初めて見た。

皆、雪先輩が大好きだった。




でも、雪先輩には仁王先輩がいた。

誰から見ても幸せなカップルだった。

仁王先輩は、誰よりも一番雪先輩を愛していた。












だから、雪先輩が亡くなった後、一番仁王先輩がおかしくなった。





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