10 わかってる
「……幸村部長……」
仁王が雪を部屋に運んで寝かせている間、赤也が幸村に話し掛けた。
「……何だい」
「……もう……無理っスよ……俺……」
「赤也、」
ボロ、と 赤也の目から涙が零れる。
「もう……見てられないっス……」
「赤也……」
「もし本当に雪先輩がいたとしても……俺は、幸せじゃないっス……」
赤也の言葉に、みんなが俯く。
「幸村部長、ちゃんと現実を見て下さい……」
幸村はギュッと拳を握りしめる。
「雪先輩は……」
「わかってるよ」
「火事で、」
「
わかってるっ!!!!!」
「死んだんです」
prev /
next