9 火
足から力が抜け、ガタンッと音をたてて尻餅をつく。
――助けて……
――熱い……熱いよ……『……ぁ……』
火を見ると、頭に流れる画像。
ガタガタと訳もわからず体が震え出す。
「先輩? ……雪先輩っ!!」
『ぁ……ぃや…………助けて…………熱い…………』
焦点が定まらない。
体の震えが止まらない。
一瞬にして、世界がモノクロに変わる。
そんな中、唯一鮮やかな色を放っているのは――
火『
いやああああああああああああああああああっっ!!!!!!!!』
「雪っ!!??」
「雪っ!!」
雅治や幸村たちが悲鳴を聞いて慌ててキッチンに駆け込む。
「雪っ!!」
『いやっ!! 助けて!! 助けて!!!!』
「雪!!!」
雅治が私の肩を掴み、必死に私の名前を呼ぶが、私には 雅治すらもモノクロに見えていた。
そんな雪の様子を見て、幸村が赤也に叫ぶ。
「赤也っ!! 火だ!! 火を消せ!!!!」
「っ、わかったっス!!!」
赤也はツマミを回して、火を消す。
「雪……?」
『誰か……助け……て………』
私は雅治にもたれ掛かるように気を失った。
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