8 昼ご飯に
『そろそろお昼ご飯にしようか』
練習になっていないメンバーの様子を見て、私は 早めに練習を切り上げるように仕向けた。
『お昼ご飯作るから、何人か手伝って欲しいな』
「今行くやき」
「あ、俺も行くっス」
雅治と赤也が来てくれた。
『じゃあ他の人たちはテーブルのセッティングお願いね』
『赤也、もう大丈夫?』
「え?」
キョトンとする赤也。
さっき涙ボロボロだったくせに。
少し考えてからさっきの事を思い出した赤也は、笑った。
「あ、もう大丈夫っス。へへ、」
『そう?』
……下手な作り笑顔。
キッチンで手を洗って、エプロンと三角巾をする。
「何作るんじゃ?」
『オムライス。卵いっぱいあるから』
冷蔵庫から2パック分の卵を出した。
「何すればいいっスか?」
『んー、じゃあ、赤也はハムと野菜を細かく切って。雅治はご飯を釜ごと持ってきて。もう炊けてるはずだから』
「了解やきに」
赤也は不器用でおぼつかない手つきで野菜を切り始める。
雅治は炊飯器の方へ向かった。
私は 既に切ってある肉を炒めようと、フライパンを出した。
山の中だからいまだにガスの台所だ。
フライパンの下を横から眺めながら黒いツマミを回して火をつける。
―――あ つ い …
『っえ、』
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