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そう言うと、ニット帽の男は目を見開いた。
「お前……俺を知っているのか?」
『? 立海で柳くんを知らない人はいないと思うよ?』
だって三強のうちの一人じゃん。
私は遠目にしか見たことなかったし、同じクラスになったことも無かったからよくわかんないけど。
すると突然、柳くんはクッと笑った。
『や、柳……くん?』
「なんだ?」
『いや……』
柳くんってこんなに妖しい笑いする人だったっけ?
ってゆーかこんな時間にそんな格好でいること自体驚きなんだけど……
『私のイメージしてた柳くんじゃなかったから……ちょっと驚いてる』
「……クッ……まぁそうだろうな」
『は? どういう、』
「これからは明るい道通って帰れよ」
どういう意味?と聞こうとしたが、それは彼の言葉で掻き消されてしまった。
左手をズボンのポケットに入れ、右手を軽く挙げて颯爽と去る柳くん。
『柳くん……』
私は柳くんを正反対にイメージしていたみたいだ。
明日にでもお礼言いに行こう。
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