2 ニット帽の男
「あ?」
ニット帽の男が路地裏に入って来た。
こいつらの、仲間?
来ないでよっ!
ギュッと目を閉じた瞬間、ドサドサと人が倒れる音がした。
『え……?』
掴まれていた左腕に感触は無く、目を開けると不良たちが倒れていた。
パンパンと手についた汚れを落とすニット帽の男。
……こいつがやったの?
仲間じゃないの?
『あ……の、ありがとうございました』
「別に。暇だったしな」
ニット帽の男は私を一瞥した。
凍てつく瞳が月明かりに照らされ、妖しく光る。
あれ……?
『……何処かでお会いしました?』
「……いや?」
そうだよね。
こんなインパクトある瞳の人、忘れるわけ……
……ん?
この瞳……
『柳くん……?』
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