俺は生きた | ナノ


  24 正直に


「ありがとう、陽毬……」



待て蓮一。何をする気だ



……蓮二。もうお前も気付いているはずだ。
――この身体が、限界だって。


……出ていく、つもりなのか



それしか方法はない。



……だがしかし、このままお前がいなくなっては……



陽毬はお前に任せた。
お前が陽毬を幸せにしてやるんだ。



お前はこのままでいいのか?
神崎のこと……



……いいも何も、……早く俺がこの身体から出ていかないと、お前も俺も、身体ごと死ぬんだぞ?



俺が聞いているのはそういうことじゃない。
"お前は"それで満足なのかと聞いているんだ。



……満足も何もねぇよ。元々存在しないはずの俺は消えて当然だ。



その言葉、神崎の前でも言えるのか?



……お前は何がしたいんだ。



もっと、神崎に伝えたいことがあるんじゃないのか?



だから、何を だ。



まだわからないのか?



……。



……ケリをつけろと言っているんだ。



……。



これはお前の為だけではない。
神崎の為でもある。



陽毬の……?



別に出ていくのは止めないがお前は、一方的に言いたいこと言ってきたな。



……。



神崎の言葉を聞かずに。



……陽毬の、……。



向き合え。
神崎と、向き合え。
神崎がお前にしてくれたように、ちゃんと向き合え。



向き、合う……



現実から逃げるな。
お前に残された時間はあと少ししかないんだ。
……後悔したって、もう遅い時もあるんだ……。



……蓮二、お前……



とにかく明日だ。
神崎のことだから、もうお前の考えていることは予測しているだろう。
……俺は助太刀しないからな。



……わかってるさ。



わかってるのか。



……自分が、逃げていたことくらい、わかってる。
でも、怖かった。



……怖い?



初めて触れる、この感情に、執着しそうで……
現に俺は今この感情のせいでまだここにいるというわけだ。



……そうだな。



なあ、兄弟。
俺はどうすればいい?



……そんなこと知るか。



はは、いつになく冷たいな。



……ただ、



……ただ?



……自分の気持ちを正直に伝えれば、いいさ。



……そうか。



……そうだ。



……そう、だな……

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