俺は生きた | ナノ


  23 きっと、最後


『蓮、一……?』


震える手で、膝に落ちた手を握る。


『蓮一……?ねぇ、蓮一、返事してよ……蓮一!』


ぼろ、と何かが私の頬を伝った。


嘘でしょ?

ねぇ、嘘って言ってよ……

私、まだ蓮一に何も伝えてないんだよ……?



……人間、いついなくなるかわからない



幸村くんの言葉が脳裏を過ぎる。


違う。

いなくなってない。

蓮一は、いなくなってない。

言うだけ言っていなくなるなんて許さない。


『蓮一……っ』


お願いだから、


『蓮一!!』


返事をしてよ


蓮一


「……大丈夫、」
『!柳くん、』


柳くんが目を開けた。


「引き止めて、おいた……まだ、ちゃんと、いるから、安心しろ……」
『!』


良かった……


安心からか、また涙が零れた。

柳くんの手が、そっと涙をすくう。


『引き止めておいたってことは……出ていこうとしたの……?』
「……ああ。……すまない、今日は疲れた……眠っても、いいか……?」


びくっと身体が震えたのが自分でもわかった。


「大丈夫、絶対いなくなったりはしない……明日、また来てくれるか……?」
『……明日も、あさっても、来るから』


だから、ずっと、引き止めておいて


「……そうか」


柳くんは ふ、と笑って眠りに落ちた。




……ねぇ、蓮一。
もう身体の限界が来ているの?

だから、柳くんを救う為に出ていこうとしたの?

ねぇ……


私は、貴方がいなくなったら、どうすればいいのかわからない。

だから、いなくならないで。


……なんて、他人の私が言うことじゃないけど……



私は柳くんの額にかかった髪をそっとよけた。



ねぇ、蓮一。


蓮一は、もう決めたのね。


だから、あんなこと言ったんだね。



……わかってる。
引き止めちゃいけないなんて、わかってる。
引き止めたら、二人とも死んでしまうことも、わかってる。


でもね、悲しい。

寂しい。

辛い。


辛いよ……


『ぅ……』


ボロボロと、また涙が零れる。








……きっと、

















蓮一と会うのは
























明日が最後。





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