17 いない
蓮一……
神崎は……
お前のことが好きなんだと……
……お前、俺の存在を知ってたのかよ
……知ってたさ。
随分昔から……
……蓮二?
……神崎は、俺ではなく……お前を……望んでいる
蓮、二……?
俺は……必要ない
何言ってんだよ、蓮二
神崎はお前が好きなんだ。
お前が神崎の傍にいれば、神崎は幸せなんだ。
どうしたんだよ、蓮二……?
……じゃあな、蓮一
蓮二……?
神崎を幸せにしてやれよ……
俺の、たった一人の兄弟……
蓮二っっ!!!!
*
『柳くん!? 柳くん!!』
「ぅ……」
『柳くん!!』
柳くんが目を開けた。
――この色……
『……蓮一?』
「……蓮二が……、」
『え……?』
「蓮二が……いない」
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