俺は生きた | ナノ


  16 お前は、


『……そう』


柳くんはそう話す。
けど、私はそんなことどうでも良かった。


『ねえ、柳くん。蓮一は? 蓮一は、ちゃんといるの?』
「……ああ。少し深い眠りだが……ちゃんと、いる」


良かった……

ホッと胸を撫で下ろす。

そんな私を見て、柳くんは言った。


「……お前は、"蓮一"が好きなのか……?」


ハッとして柳くんを見る。

瞳は柳くんの色。
思わず蓮一の瞳の色を思い出して比較してしまう。


『……柳くんは、蓮一が表に出ている時の記憶ってあるの?』


柳くんの質問に答えず、こう聞いた。
でも柳くんは答えてくれた。


「……ああ、ある。彼奴がやった事、感じた事、考えた事……全部、知っている」
『じゃあ……蓮一が私をどう思っているか も……?』
「……」


柳くんは黙った。


「……それは俺が言うことじゃない」
『……そうだよね』


遊園地の出口に着き、遊園地を出る。


『さっき……蓮一のこと、好きかどうか……聞いたよね』
「……ああ」
『好きだよ。……私は、"蓮一"が、好き』
「……そうか」


柳くんは寂しそうな表情をした。


『どこを好きになった、とかはわからない。いつの間にか……息をするみたいに、好きになってた』
「……そうか」
『これが恋心なのかもわからない。けど、蓮一に対して"好き"っていう感情があることだけはわかる』


私はまだ15年しか生きてないから、詳しいことはわからない。
でも、純粋に、"好き"っていう感情があるのはわかる。


「……そういうことは、本人に伝えてやってくれ」
『え?』


ガクン、と柳くんの身体から力が抜け、私にもたれ掛かる。


『柳くん!?』

prev / next

[ back to top ]


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -